【長﨑屋 圭太 林野庁森林整備部長 挨拶要旨】
今般の豪雨により被災された方々に心からお見舞い申し上げますとともに、最前線でご対応いただいております自治体の皆様に深く敬意を表します。林野庁としても山地の被害の早期把握と復旧に全力で取り組んでまいります。
森林・林業をとりまく最近の状況としては、いわゆるウッドショックやウクライナ情勢などの世界情勢を受けて木材需給が大きく変動しており、輸入材に過度に依存することによるリスクが顕在化しています。こうした中で、国産材を安定的かつ持続的に供給できる体制を構築することが求められています。
また、先ほど進藤先生からお話がありましたように、花粉症への対応も求められています。先般総理の指示の下で関係閣僚会議において花粉症対策の全体像が取りまとめられ、今後10年間でスギ人工林の植替えを加速化するとされました。これらの課題に対応していくため、林野庁としては、まず、次の世代の森林造成を確実にするために広葉樹や花粉の少ない苗木により植え替えすること、採算性を向上させるために新技術を開発し新しい林業を展開すること、国産材の安定供給に向けて木材の加工流通施設を整備すること、最後に「都市(まち)の木造化推進法」を踏まえて木材利用を拡大すること、こういう取組みを進めていくこととしています。
森林経営管理制度並びに森林環境譲与税については、令和元年度のスタートから5年目を迎えています。皆様には各地で森林整備をはじめとして様々な取組を行っていただいています。特に、森林環境譲与税の活用については、譲与開始当初は活用率が5割程度に止まっていましたが、各自治体の皆様のご尽力により着実に活用実績が増加しており、令和5年度においては活用予定額が譲与額を上回って、これまで積み立てきた基金を取り崩すところまできています。先程来お話しがありましたように、譲与基準を見直すべきとの多くのご意見をいただいており、昨年12月の税制改正大綱において検討することとされています。これを踏まえて、林野庁においても譲与基準の見直しに向けて検討を進めているところです。
令和6年度は森林環境税の課税がいよいよ開始される、また、譲与額も現在の500億円から約600億円に増加する節目の年であります。従って、森林環境税の課税の開始に向けても、あるいは譲与基準の見直しに向けても非常に重要な年だと思っていますので、納税者の方々、都市部の自治体の方々の理解を得ながら、なんとか森林整備が加速化されるような結論を得たいと思っています。どうか皆様におかれましても、より一層森林整備が必要であるとの声を上げていただきたいと思います。