平成24年1月25日付けをもって、総務省自治財政局財政課から各都道府県財政担当課、市町村担当課等に対し、「平成24年度の国の予算につきましては、平成23年12月24日閣議決定されたところであります。この国の予算に関連して、現在平成24年度の地方財政計画の策定を急いでいるところであり、現時点においては細部にわたり確定を見るに至っておりませんが、地方公共団体の予算編成作業の状況に鑑み、さしあたり現段階における地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等について、お知らせいたします。」との通知が行われた。
 この通知のうち、山村振興地域に特に関連のある部分は次のとおりとなっている。

第1 国の予算等
 政府は、平成23年12月16日「平成24年度予算編成の基本方針」を閣議決定するとともに、同月22日に「平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議了解し、これに基づいて同月24日、平成24年度予算政府案を閣議決定した。

平成24年度予算は、「平成24年度予算編成の基本方針」の次のような基本的考え方
 により編成された。
 (1) 平成24年度予算の基本方針(日本再生に向けて)

  平成2 4 年度予算においては、東日本大震災からの復興、経済分野のフロンティアの
 開拓、分厚い中間層の復活、農林漁業の再生、エネルギー・環境政策の再設計の5つ
 の重点分野を中心に、日本再生に全力で取り組む。
  併せて、地域主権改革を確実に推進するとともに、既存予算の不断の見直しを行う。
  @ 東日本大震災からの復興
   ア 被災地の経済社会の再生
     日本再生の一丁目一番地は、東日本大震災の被災地の経済社会の再生であ
    る。被災地の方々が早期に復興を実感できるよう、「東日本大震災からの復興の
    基本方針」(平成23年7月29日東日本大震災復興対策本部決定)に基づき、平成
    23年度補正予算に引き続き、平成24年度予算においても震災復興に全力を挙げ
    る。
   イ 原発事故からの再生
    「福島の再生なくして、日本の再生なし」との考え方で、平成23年度補正予算に引
    き続き、平成24年度予算においても、被災者の支援に加え、放射性物質汚染廃棄
    物処理や土壌の除染等の取組を加速する。
  A 日本再生重点化措置等を通じた経済分野のフロンティア開拓
    平成24年度予算においては、「日本再生重点化措置」を最大限活用し、新たなフ
   ロンティア及び新成長戦略、教育・雇用等の人材育成、地域活性化、安心・安全社会
   の実現といった分野への投資に予算配分の重点化を図る。
  B 分厚い中間層の復活に向けて
    所得中位層に属する階層をかつての水準に回復させること等により、分厚い中間
   層を復活させることが必要である。そのためには、働く能力がある国民が全員参加で
   きる社会の実現を目指すとともに、働く能力を育てる政策が必要であり、平成24年
   度予算において重点的に取り組む。
  C 農林漁業の再生
    「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」(平成23年10月
   25日食と農林漁業の再生推進本部決定)に基づく5年間の行動計画の初年度とし
   て、競争力・体質強化を図り、若者が担う農業を目指して、農地の集約化、若者の新
   規就農を進め、6次産業化を始め、若者が魅力を感じ、安心して創意工夫を生かせ
   る農業への改革を推進する。
  D エネルギー・環境政策の再設計
    福島原発事故の反省を踏まえ、事故収束と原子力安全の強化に万全を期すととも
   に、原子力発電に電力供給の過半を依存するとしてきた現行のエネルギーミックスを
   ゼロベースで見直す。
  E 地域主権改革
    地域主権改革は、地域のことは地域で決めるための重要な改革である。平成23
   年度予算に引き続き、平成24年度予算においても補助金等の一括交付金化を更に
   進め、対象事業の拡大、増額を図るとともに、都道府県に加え、政令指定都市に対
   象を拡大する。
  F 既存予算の不断の見直し
    平成24年度予算は、東日本大震災からの復旧・復興の足取りを確実なものとする
   ために、国民に追加的な負担をお願いしつつ編成される予算であると同時に、社会
   保障・税一体改革を控えた予算であり、これまで以上の緊張感を持って、徹底した無
   駄の排除を進めていく。

 (2) 財政運営戦略の着実な実現
  @ 欧州の政府債務危機の状況も踏まえ、我が国財政への市場の信認を確保していく
   ため、「財政運営戦略」(平成22年6月22日閣議決定)における財政健全化目標の
   達成に向け、行政刷新会議の「提言型政策仕分け」等も活用しつつ既存歳出の見直
   しを進め、「中期財政フレーム(平成24年度〜平成26年度)」(平成23年8月12日
   閣議決定)に基づいて平成24年度予算編成を進めるとともに、「社会保障・税一体
   改革成案」に沿って具体化に向けた検討を進め、次期通常国会への関連法案の提
   出を目指す。
  A 平成24年度当初予算における新規国債発行額(償還財源の確保された復興債を
   除く。)は、平成23年度当初予算の水準である約44兆円を上回らないものとするよ
   う、全力を挙げる。
  B 平成24年度当初予算における基礎的財政収支対象経費については、中期財政フ
   レーム(平成24年度〜平成26年度)に則り、平成23年度当初予算の水準である約
   71兆円(年金差額分(基礎年金国庫負担割合2分の1と36.5%の差額を言う。)
   2.6兆円を除けば68.4兆円)を実質的に上回らないものとする。

このような方針に基づいて編成された平成24年度の一般会計予算の規模は、90兆
 3,339億円(前年度比2兆777億円、2.2%減)で、基礎的財政収支対象経費は、68
 兆3,897億円(前年度比2兆4,728億円、3.5%減)となっている。なお、経済危機
 対応・地域活性化予備費が9,100億円(前年度比1,000億円、12.3%増)計上され
 ている。財政投融資計画の規模は、17兆6,482億円(前年度比2兆7,423億円、
 18.4%増)となっている。
  また、「平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」においては、平成
 24年度の国内総生産は479.6兆円程度、名目成長率は2.0%程度、実質成長率は
 2.2%程度となるものと見込まれている。

 また、平成23年12月10日に閣議決定された「平成24年度税制改正大綱」において
 は、平成22年度・平成23年度税制改正から税制抜本改革へと通じる、税制全体及び
 各税目についての基本的な考え方に立脚しつつ、特に喫緊の対応を要する新成長戦略
 実現に向けた税制措置、税制の公平性確保と課税の適正化に向けた取組・見直しの方
 針(「ふるい」)に基づく租税特別措置等の見直し、地方税の充実と住民自治の確立に向
 けた地方税制度改革、平成23年度税制改正における積残し事項への対応を中心に改
 正を行うこととしている。

第2 平成24年度の地方財政への対応
1 通常収支分
 平成24年度の地方財政への対応に当たっては、「平成24年度予算の概算要求組替え基準について」(平成23年9月20日閣議決定)に基づき、通常収支分と東日本大震災分を区分して整理することとし、通常収支分については、財政運営戦略に基づき定める中期財政フレーム(平成24年度〜平成26年度)に沿って、社会保障関係費の自然増や地域経済の基盤強化などに対応する財源を含め、交付団体始め地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額を平成23年度地方財政計画と実質的に同水準となるよう確保することを基本として所要の対応を行うこととした。
 (1) 地方交付税の確保
   地域主権改革に沿った財源の充実を図るため、地方交付税総額を確保(対前年度
  比811億円、0.5%増)している。
   また、「地方再生対策費」及び「地域活性化・雇用等対策費」については、概算要求
  組替え基準におけつ取扱いと基調を合わせて一定の縮減を図った上で、「地域経済基
  盤強化・雇用等対策費」として整理・統合し、歴史的円高等、地域経済を取り巻く環境
  が激変する中、海外競争力強化等のため、地域が実施する緊急事業に対応するため
  の緊急枠(1,750億円)を含めて計上することとしている(「地域経済基盤強化・雇用
  等対策費」1兆4,950億円)。

 (2) 財源不足とその補填措置
   平成24年度においては、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入が緩や
  かに回復することが見込まれる一方で、社会保障関係費の自然増や公債費が高い水
  準で推移することなどにより、経費全般について徹底した節減合理化に努めたが、13
  兆(昭和25年法律第211号)第6条の3第2項の規定に該当することとなった。
   このため、財源不足のうち建設地方債(財源対策債)の増発、別枠加算等に加えて、
  新たに平成24年度から平成26年度まで地方公共団体金融機構の公庫債権金利変
  動準備金(管理勘定。以下同じ。)の活用により対処することとした残余については、平
  成23年度に講じた平成25年度までの制度改正に基づき、国と地方が折半して補填す
  ることとし、国負担分については、国の一般会計から交付税特別会計への繰入れによ
  る加算(臨時財政対策特例加算)により、地方負担分については、「地方財政法」(昭
  和23年法律第109号)第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)により補填措置
  を講じることとするとともに、臨時財政対策債の元利償還金相当額については、その全
  額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入することとしている。
   上記の考え方に基づき、平成24年度の財源不足額13兆6,846億円のうち、「折
  半対象以外の財源不足」については、
  ア 公共事業等債等の充当率の臨時的引上げ等による建設地方債(財源対策債)の
    増発
                                             8,200億円
  イ 地方交付税の増額                            2兆8,952億円
   (ア)平成23年度以前の地方財政対策等に基づき「地方交付税法」の定めるところ
     により平成24年度に加算することとされている額(以下「既往法定分」という。)
     等の交付税特別会計への繰入れ
                                             9,752億円
   (イ) 地方の財源不足の状況を踏まえた別枠の加算の交付税特別会計への繰入れ
                                             1兆500億円
   (ウ)交付税特別会計剰余金の活用                    5,200億円
   (エ)地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用   3,500億円
  ウ 地方が負担する過去に発行された臨時財政対策債の元利償還等に係る臨時財政
    対策債の発行
                                           2兆2,972億円
により補填することとした。その上で、これらを除く、7兆6,722億円について、国と地方が折半してそれぞれ補填措置を講じることとしている。
その他の留意点は以下のとおりである。
 @ 国の一般会計からの既往法定分等の加算額9,752億円の内訳は、「地方交付税
  法」附則第4条の2第2項(平成19年度における国から地方公共団体への税源移譲
  に伴う地方交付税総額の減少影響の緩和措置額)に基づく加算額867億円、同条第
  3項(平成23年度における地域活性化・雇用等対策費の上乗せ分に対応した加算額)
  等に基づく加算額2,150億円及び同条第4項(公共事業等臨時特例債の利子負担
  額)に基づく加算額6,235億円並びに投資的経費(単独)と一般行政経費年度(単
  独)の一体的かい離是正分の一般財源に相当する地方財源不足分について、後に
  地方交付税総額に加算することにより調整することとされた額(以下「かい離是正分
  加算」という。)のうち平成17年度のかい離是正に係るもの1,750億円のうちの
  500億円であること。
 A 折半対象財源不足額(7兆6,722億円)のうち国負担分3兆8,361億円について
  は、臨時財政対策特例加算により補填措置を講じることとしていること。
 B 平成24年度における臨時財政対策債の発行額は、折半対象財源不足額のうち地
  方負担分(3兆8,361億円)に地方の負担である過去に発行された臨時財政対策債
  の元利償還等に係る次の発行額の合算額(2兆2,972億円)を加えた6兆1,333億
  円とすることとしていること。
  ア 平成13年度以降に発行した既往の臨時財政対策債の元利償還に起因する財源
   不足額                                    2兆1,159億円
  イ 交付税特別会計借入金の利払費予算額(2,428億円)の3分の2に相当する額
                                             1,619億円
  ウ 交付税特別会計借入金の償還のため発行する額(かい離是正分加算500億円を
   控除した額)                                     500億円
  エ 「地方交付税法」附則第4条の2第6項に基づき平成24年度において交付税の総
   額から減額することとしている額について国・地方の適切な負担調整を行う観点から
   発行する額                                     827億円
  オ 平成23年度分の交付税特別会計借入金の利払費予算額と実際に要すると見込ま
   れる額の差額のうち、平成24年度の地方交付税の増額に活用した額(3,400億
   円)の3分の1に相当する額(平成23年度においては利払費の3分の2を地方負担
   としたことによる調整分)                           △1,133億円
 臨時財政対策債の配分方法については、財政力の弱い地方公共団体に配慮し、財源調整機能を強化する観点から、平成23年度より、3年間で段階的に、不交付団体を含む全団体に配分する方式(各団体の人口を基礎として算出)を廃止し、不交付団体には配分しない方式(各団体の財源不足額を基礎として算出)に移行することとしていること。

 (3) 地方交付税の総額

  平成24年度の地方交付税の総額は17兆4,545億円(前年度比811億円、0.5%
 増)となっており、その内訳は以下のとおりである。
  @ 地方交付税の法定率分等                      10兆7,233億円
   ア 国税5税分の法定率分                         11兆517億円
   イ 国税決算精算分(平成19、20年度)、平成20年度補正予算(第2号)における臨
     時財政対策債振替加算相当額の減額分               △4,464億円
   ウ 交付税特別会計借入金償還額                    △1,000億円
   エ 交付税特別会計借入金支払利子                   △2,428億円
   オ 平成23年度からの繰越金                        4,608億円
      (うち第2次補正関係1,000億円、第4次補正関係3,608億円)
  A 一般会計における加算措置等                    6兆3,813億円
   ア 折半対象以外の財源不足における補填(既往法定分等)   1兆4,952億円
   (ア)法定加算(既往法定分等)                       9,752億円
   (イ)交付税特別会計剰余金の活用                     5,200億円
   イ 地方の財源不足の状況を踏まえた別枠加算             1兆500億円
   ウ 臨時財政対策特例加算                       3兆8,361億円
  B 地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用     3,500億円
   ア 「地方公共団体金融機構法」(平成19年法律第64号)附則第14条に基づき、地
    方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金3,500億円を国に帰属させ、
    その全額を交付税特別会計に繰り入れることとしている。
   イ 地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用は、中期財政フレー
    ムの期間(平成24年度〜平成26年度)中、総額1兆円を目途としている。
   また、次の@からBまでに掲げる額の合計額については、新たに平成30年度以降
  の地方交付税の総額に加算することとし、その旨法律に定めることとしている(法定加
  算)。
  @ 平成4年度までの投資的経費に係る国庫補助負担率の引下げ措置に伴い一般会
   計から交付税特別会計に繰り入れることとしていた額            612億円
  A 平成9年度の地方消費税の未平年度化の影響に関し、一般会計から交付税特別
   会計に繰り入れることとしていた額                         30億円
  B 平成10年度における交付税特別会計借入金に関し、一般会計から交付税特別会
   計に繰り入れることとしていた利子相当額                     2億円

 (4) 地方長期債務残高の抑制

   財政運営戦略等を踏まえ、地方財政の健全化を図る観点から、以下の取組を行うこ
  ととしている。
  @ 財政運営戦略に沿って、一般財源総額について平成23年度と同水準を確保した
   上で、臨時財政対策債を抑制(前年度比260億円、0.4%減)することとしているこ
   と。
  A 交付税特別会計借入金について、1,000億円の償還を実施することとしているこ
   と。
    なお、交付税特別会計借入金については、近年の低金利や借入の実態等も踏ま
   え、利払費に係る積算金利を見直し、財政融資資金からの借入金については0.
   3%引き下げ、民間資金からの借入金については0.7%引き下げるとともに、民間
   入札による調達額を徐々に拡大する等により、利払費予算額を1,933億円縮減す
   ることとしていること。今後とも、利払費の縮減を推進するためには、民間入札の円
   滑化が重要となるため、各地方公共団体においても、地域の金融機関等に交付税
   特別会計借入金(平成14年より日本銀行の適格担保制度の対象)に対する応札や
   入札参加者への登録等について積極的なIR等に取り組まれたい。
 (5) 地方税の改正  省略
 (6) 通常収支分の規模
   通常収支分の歳入歳出規模(平成24年度地方財政計画ベース)は81兆8,700億
  円程度(前年度比6,400億円程度、0.8%程度減)、歳出のうち公債費(公営企業
  繰出金中企業債償還費普通会計負担分を含む。)及び不交付団体水準超経費を除く
  地方一般歳出の規模は66兆4,600億円程度(前年度比3,700億円程度、0.6%
  程度減)となる見込みである。
   また、通常収支分の一般財源(地方税、地方譲与税、地方特例交付金、地方交付税
  及び臨時財政対策債の合計額をいう。)の総額は59兆6,241億円(前年度比1,25
  1億円、0.2%増)となる見込みであり、一般財源の総額から不交付団体水準超経費
  に相当する額を控除した額は58兆9,741億円(前年度比1,951億円、0.3%増)
  となる見込みである(別表)
   さらに、地方債依存度は13.6%程度(前年度13.9%)となる見込みであり、交付
  税特別会計借入金残高を含む地方財政の平成24年度末借入金残高(東日本大震災
  分を含む。)は200兆4,900億円程度(前年度末200兆3,900億円程度、前年度
  比1,000億円程度増)となる見込みである。

2 東日本大震災分
 東日本大震災からの復旧・復興に当たっては、被災団体が全力で取り組めるようにするとともに、被災団体以外の地方公共団体の負担に影響を及ぼすことがないよう、東日本大震災の復旧・復興事業及び東日本大震災の教訓を踏まえ全国的に緊急に実施する防災・減災事業について、通常収支とはそれぞれ別枠で整理し、所要の事業費及び財源を確保することとしている。
 (1) 東日本大震災復旧・復興事業
   東日本大震災復旧・復興事業の歳入歳出規模(平成24年度地方財政計画ベース)
  は1兆7,800億円程度となる見込みである。
   また、東日本大震災に係る復旧・復興事業等の実施のための特別の財政需要等を
  考慮して交付することとしている震災復興特別交付税により、以下に掲げる地方負担
  分等の全額を措置することとしている。
  @ 直轄・補助事業に係る地方負担分(但し、公営企業債、公営住宅建設事業債及び
   貸付金の財源に充てるための地方債の対象となる地方負担額並びに農地農林施設
   に係る地方負担額のうち受益者負担により賄うこととされている地方負担額(以下
   「措置対象外地方負担額」という。)を除く。)
  A 地方単独事業分
   ア 「地方自治法」(昭和22年法律第67号)に基づく職員の派遣、放射性物質により
    汚染された土壌等の除染及び投資単独事業に係る経費等
   イ 平成23年度特別交付税による対応を見込んでいた東日本大震災に係る災害復
    旧事業費に基づく算定分のうち平成24年度に繰り越すこととしたもの
  B 東日本大震災への税制上の対応として、被災者等の負担の軽減及び復旧・復興へ
   向けた取組の推進を図るために講じる以下に掲げる税制上の臨時特例措置等に伴
   う減収分
   ア 地方税法等に基づく特例措置分      省略
   イ 条例減免分                  省略
   ウ 復興特区法等に基づく特例措置分    省略
 (2) 緊急防災・減災事業
   緊急防災・減災事業の歳入歳出規模(平成24年度地方財政計画ベース)は、全国
  防災対策費に係る直轄事業負担金及び補助事業費が4,900億円程度、地方単独事
  業費が1,400億円程度となり、総計で6,300億円程度となる見込みである。

3 予算編成の基本的考え方
 第1、第2を踏まえ、平成24年度の予算編成に当たりご留意いただきたい点は、以下のとおりである。
 1 平成24年度の国内総生産の成長率は、名目2.0%程度、実質2.2%程度と見込ま
  れているが、景気の動向は地域や業種によって異なるものと考えられる。
 2 地方公共団体においては、引き続き、国・地方を通じた厳しい財政状況と税財政制度
  上の対応を見通し、また、政府における行政刷新会議等の動向にも注視しながら、簡
  素で効率的な行財政システムを構築し、行財政運営について透明性を高め、公共サー
  ビスの質の向上に努めるなど、自主的に行政改革に取り組むことが必要と考えられる
  のでご配慮いただきたい。
 3 定員及び給与については、定員管理及び給与水準等の適正化を図り、公務の能率的
  運営を推進することが重要であると考えられるので、次の事項にご留意いただきたい。
   (1)〜(4) 省略
 4.〜12. 省略
 13 平成23年度に創設された地域自主戦略交付金については、平成24年度は、都道
  府県分について、社会福祉施設等施設整備費補助金、農山漁村活性化対策整備交
  付金、農業・食品産業強化対策整備交付金等の一部等を新たに対象とするなど、
  対象事業を拡大し、増額するほか、政令指定都市に導入(学校施設環境改善交付
  金、水道施設整備費補助、社会資本整備総合交付金等の一部等)することとされてい
  る(6,754億円。うち政令指定都市分1,239億円程度。)。
   また、経常補助金及び政令指定都市以外の市町村分の投資補助金については、引
  き続き検討を進めることとされている。
 14〜18   省略
 19 地域の医師不足等が深刻である状況を踏まえ、都道府県が実施する医学部生に対
  する奨学金貸与事業及び後期研修医に対する修学資金等貸与事業や、過酷な夜間・
  休日の救急を担う勤務医や産科医・新生児科医等の手当への財政支援などの医師確
  保対策等の推進に係る国庫補助事業の地方負担について、地方交付税措置を講じる
  こととしている。
 20〜21   省略
 22 「農山漁村地域活性化対策」のうち、「農地・水保全管理支払交付金」の一部である
  共同活動支援交付金については平成23年度末までとされていたが、集落を支える体
  制の強化や仕組みの簡素化を図った上で、平成28年度まで継続することとされてお
  り、これに伴い地方単独事業に要する経費について、地方交付税措置を講じることとし
  ている。
 23 「森林・林業振興対策」のうち、「森林整備地域活動支援交付金」については、平成2
  4年度からの新たな森林経営計画制度の施行に合わせ、計画的に集約化施業を行う
  取組を重点的に支援することとした上で、平成28年度まで継続することとされており、
  これに伴い地方単独事業に要する経費について、地方交付税措置を講じることとして
  いる。
 24 省略
 25 自然環境、食料、再生可能エネルギー、歴史文化資産等の地域資源や域内での資
  金循環等を最大限活用し、地域の活性化、絆の再生を図り、「地域から人材、資源、
  資金が流出する中央集権型の社会構造」を、分散自立・地産地消・低炭素型としてい
  くことにより、「地域の自給力と創富力(富を生み出す力)を高める地域主権型社会」
  への転換を目指す「緑の分権改革」の取組に要する経費について、地方交付税措置を
  講じることとしている。
 26〜27  省略
 28 平成24年度税制改正大綱を踏まえ、地球温暖化対策に係る地方財源の確保・充実
  の仕組みについて、平成25年度実施に向けた成案が得られるまでの措置として、国
  産・地域材の利活用、再生可能エネルギーの導入など、地方公共団体が森林吸収源
  対策等を一層推進できるよう、地方交付税措置を講じることとしている。
 29 過疎対策の推進に当たっては、「過疎地域自立促進特別措置法」(平成12年法律第
  15号)に基づき、ハード事業及び地域の実情に応じた主体的かつ創意工夫に富んだ
  ソフト事業に対して、財政措置を講じることとしている。
 30   省略
 31 地域力創造対策、市町村合併、地域情報化推進事業、外国人住民に係る既存住民
  基本台帳システム等の改修、中小企業金融対策、消費者行政費、国際化推進対策
  (外国青年招致事業を含む。)、特定疾患治療研究事業及び小児慢性特定疾患治療
  研究事業、子育て支援事業、妊婦健診、認定こども園、公共施設等耐震化事業、消防
  救急デジタル無線整備事業、国民保護対策、消防広域化支援対策、定住自立圏構想
  及び地域の人材力活性化等については、引き続き、地方交付税等による措置を講じ
  ることとしているが、特に、以下の点にご留意いただきたい。
  (1) 〜 (2)  省略
  (3) 定住自立圏構想については、地域住民の生活実態やニーズに応じ圏域ごとにその
   生活に必要な機能を確保して、圏域全体の活性化を図る取組を支援するため、定住
   自立圏共生ビジョンを策定した中心市及びその周辺市町村の取組、外部人材の活
   用等に対する地方交付税措置を講じることとしていること。
    また、大都市圏の企業に勤務する入社後概ね3年から5年を経た社員が、一定期
   間市町村に出向し、地域独自の魅力や価値の向上につながる業務に携わることによ
   り、地域の活性化、地方と大都市圏の交流を推進する「若手企業人地域交流プログ
   ラム」を実施することとしており、市町村による若手企業人の受入れに対して、地方
   交付税措置を講じることとしていること。
  (4) 地域の人材力活性化については、地域おこし協力隊、集落支援員及び地域力創
   造のための外部人材の活用に対する地方交付税措置を講じることとしていること。
    また、東日本大震災により被災した地方公共団体において、被災地に居住しなが
   ら、被災者の見守りやケア、集落での地域おこし活動に幅広く従事する復興支援員
   の配置について、地方交付税措置を講じることとしていること。
 32〜35   省略

第4 通常収支分の歳入歳出
1 歳入
 (1) 地方税        省略
 (2) 地方譲与税     省略
 (3) 地方特例交付金  省略
 (4) 地方交付税
   平成24年度の地方交付税に係る国の一般会計からの繰入れは、所得税及び酒税
  の32%相当額、法人税の34%相当額、消費税の29.5%相当額並びにたばこ税の
  25%相当額の合計額10兆6,053億円(平成19年度、平成20年度に係る精算額
  のうち平成24年度精算額3,637億円及び平成20年度補正予算(第2号)における
  臨時財政対策債振替加算に相当する額のうち平成24年度に減額する額827億円を
  減額した後の額)に国の一般会計における加算額5兆8,613億円(既往法定分等
  (9,752億円)、地方の財源不足の状況を踏まえた別枠加算(1兆500億円)及び臨
  時財政対策特例加算(3兆8,361億円)の合計額)を加えた16兆4,665億円であ
  り、前年度当初に比し697億円、0.4%の増となっている。
   地方公共団体に交付される地方交付税の総額は、これに前年度からの繰越金4,6
  08億円、交付税特別会計における剰余金5,200億円及び地方公共団体金融機構
  の公庫債権金利変動準備金の活用による3,500億円を加算し、交付税特別会計借
  入金に係る償還額1,000億円及び利子支払額2,428億円を減額した17兆4,54
  5億円であり、前年度に比し811億円、0.5%の増となっている。
   各地方公共団体における地方交付税の額を見込むに当たっては、前年度の決定額
  に単純に地方交付税総額の対前年度比を乗じるなどの方法を用いることにより、結果
  として過大な見積りを行うことのないよう、次の事項に特にご留意いただきたい。

  @ 普通交付税
   ア 基準財政需要額
   (ア) 地方財政計画の歳出における特別枠「地域経済基盤強化・雇用等対策費」
     (1兆4,950億円)に対応し、次のとおり措置を講じることしていること。
    (@)「地方再生対策費」(前年度3,000億円程度)及び「雇用対策・地域資源活用
      推進費」(前年度4,500億円程度)を縮減した上で、「地域経済・雇用対策費」
      (仮称。以下同じ。)として整理・統合するとともに、緊急加算分(1,750億円)
      を含め、7,400億円程度(道府県分3,300億円程度、市町村分4,100億円
      程度)を算定することとしていること。
       「地域経済・雇用対策費」は、歴史的円高等を踏まえ、海外競争力強化等をは
      じめ地域経済の活性化や、雇用機会の創出を図るとともに、高齢者の生活支援
      など、住民のニーズに適切に対応した行政サービスを展開できるよう措置する
      こととしていること。
    (A)特別枠のうち「地域経済・雇用対策費」以外の基準財政需要額への対応につ
      いては、次のとおり普通交付税措置(単位費用措置)を講じることとしているこ
      と。
      ・住民生活に光をそそぐ事業(第3の26前段に掲げる措置、350億円程度(前
       年度300億円程度))
      ・子育て支援サービス充実推進事業(第3の27に掲げる措置、1,000億円程
       度(前年度同額))
      ・地球温暖化対策暫定事業(第3の28に掲げる措置、100億円程度(前年度同
       額))
      ・安心して暮らせる地域づくりや、疲弊した地域の活性化など、地方公共団体が
       住民のニーズに適切に対応した行政サービスを提供できるよう、関係費目に
       おいて措置(6,100億円程度(前年度同額))
   (イ)基準財政需要額の増減は、各地方公共団体における公債費のウェイト等により
     各地方公共団体ごとにかなりの差が生じるものと見込まれること。
  イ〜エ
    省略

  A 特別交付税
   ア 平成24年度の特別交付税(震災復興特別交付税を除く。以下同じ。)の総額は、
    平成23年度に比し0.5%の増となっているが、東日本大震災への対応のための平
    成23年度補正予算(第1号)及び補正予算(第2号)による増額後(補正予算
    (第2号)関係の1,000億円の繰越金を除く。)との比較では31.1%の減となって
    いる。予算計上に当たっては、過大に計上することのないよう慎重に見積もること
    にご留意いただきたいこと。
     特に、平成23年度において、災害対策等年度によって激変する項目のほか、被
    災地域への職員派遣及び被災者の受入れなどの東日本大震災への支援等を含
    む震災関連経費として多額の交付を受ける地方公共団体にあっては、これらの事
    由による特別交付税の減少を確実に見込むこと。
   イ 被災団体以外の団体における東日本大震災に係る特別の財政需要については、
    原則として、特別交付税により適切に対処することとしていること。
   ウ 地方交付税の算定方法の簡素化・透明化の取組の一環として、交付税総額にお
    ける特別交付税の割合(現行6%)を平成26年度に5%、平成27年度以降は4%
    へと段階的に引き下げ、その部分を普通交付税に移行させることとなっているこ
   と。
 (5) 国庫支出金      省略
 (6) 地方債         省略
 (7) 使用料・手数料等  省略
2 歳出   省略

第5 東日本大震災分の歳入歳出  省略 
第6 地方公営企業省略
第7 社会保障・税一体改革  省略


 別表 平成24年度地方財政収支見通しの概要(通常収支分)
 



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