山村振興全国連絡協議会(都道府県の山村振興担当課長で組織)の平成22年度のブロック会議が次のとおり開催された。
     
 東海・北陸ブロック
   東海・北陸ブロック会議が10月7日(木)〜8日(金)の両日、福井県池田町のファームハウスコムニタにおいて開催された。
   会議には、東海・北陸各県、農林水産省、北陸農政局、東海農政局、全国山村振興連盟から14名が参加した。最初に、主催者である福井県農林水産部農林水産振興課の嶋田奥左ヱ門課長から挨拶があり、出席者の紹介の後、来賓の農林水産省中山間地域振興課の進藤栄治調整係長、全国山村振興連盟の川上博志常務理事からそれぞれ挨拶が行われた。
   ついで議事に入り、最初に「中央情勢報告」として、中山間地域振興課の進藤係長から、平成23年度山村振興関連予算概算要求の内容、山村税制改正要望等について説明があった。次に全国山村振興連盟の川上常務理事から「全国山村振興連盟事業報告」として山村振興関連施策・予算に関する要望活動等について説明があった。
   次に、「都市と山村の交流の取り組みについて」として、各県から資料に基づき報告が行われた。主な報告の内容は次のとおりとなっている。
  岐阜県: 移住・定住対策推進のための対策室の設置。情報発信、交流・体験機会の提供、住宅・職業・暮らしの支援、受入体制の整備。
  愛知県: 愛知県交流居住センターの概要。山里のアート巡り「きてみん!奥三河事業」の概要
  三重県: 都市との共生による農山漁村再生事業。グリーンツーリズムネットワーク拡充事業。子ども農山漁村交流プロジェクト推進事業。地域ツーリズム振興によるふるさと雇用再生事業。
  新潟県: 特定地域の元気応援事業(NPOにいがた奥阿賀ネットワーク、NPO越後妻有里 山協働機構)
  富山県: 都市との交流による農山漁村地域の活性化に関する条例。とやまグリーンツーリズム・半定住推進事業。とやま都市農山漁村交流活性化支援事業。都市との交流地域ネットワーク連携事業。子ども農山漁村交流プロジェクト推進事業。全国素人そば打ち最高段位認定会補助事業。
  石川県: いしかわ農村ボランティア制度(農村役立ち隊の隊員募集・登録、受け入れ隊の隊員募集・登録、マッチング及び協働活動のサポート)
  福井県: 小原ECOプロジェクト(再生古民家を拠点としたエコツーリズムによる地域再生)
    最後に、平成23年度の開催県について協議され、新潟県での開催が決定された。
   翌日は、ファームハウスコムニタ及び池田町の取組内容の説明を受けた後、漬物加工施設「おこもじ屋」、まちの駅「ゆいマート」、農産物直売所「こっぽい屋」を視察し、説明を受けた。なお、「おこもじ」、「こっぽい」とは、池田町の言葉で、それぞれ「漬物」、「有難う」という意味であるとのこと。


 北海道・東北ブロック
   北海道・東北ブロック会議が10月14日(木)〜15日(金)の両日、北海道県札幌市の北海道庁本庁舎5F総合政策部会議室において開催された。
   会議には、北海道・東北各県、東北農政局、全国山村振興連盟から10名が参加した。最初に、主催者である北海道総合政策部地域づくり支援局安達亮介参事から挨拶があった。
   ついで出席者の自己紹介が行われた後、議事に入り、東北農政局小倉係長より「東北管内における山村振興対策の取組状況等」及び「その他、山村振興対策に係る課題等」として、主として「農山漁村活性化プロジェクト支援交付金」について説明が行われた。さらに、「全国山村振興連盟事業報告」として、全国山村振興連盟 川上常務理事から、山村振興関連施策・予算に関する要望活動等について説明があった。
   次に、「各道県の山村振興対策の取組状況等について」として、各道県から資料に基づき報告があった。その主な内容は次のとおりとなっている。
  青森県: 東北町における農山漁村活性化プロジェクト支援交付金事業等を活用した農林水産物直売・食材提供供給施設、中山間地域等直接支払制度の交付金を有効に活用した平川市小国中山間地組合(農産物直売所)と青森市本郷B協定(農林漁業体験民宿)並びに県のグリーン・ツーリズムへの取組状況
  秋田県: 平成22年度分の農山漁村プロジェクト支援交付金事業等の取組状況一覧[県計画…秋田地区(秋田市他2市)及び秋田3期地区(横手市他9市町村)、市町村計画…大潟村]
  福島県: 下郷町鶴賀ケ池地区における農山漁村活性化プロジェクト支援交付金を活用した農林漁業体験施設整備事業、いわき市好間町榊小屋地区における農林水産物直売・食材提供供給施設整備、農林漁業体験施設整備
  山形県: 県が関与して山村振興対策に取り組んできた地区は、平成21年度で全て完了したため、完了地区のフォローアップを実施中、山村振興計画の策定市町村は振興山村地域を有する26市町村中3市町村(担当者欠席のため、資料のみ)
  北海道: せたな町、鶴居村、別海町、清里町、上士幌町、蘭越町、枝幸町、広尾町等における農山漁村活性化プロジェクト支援交付金事業を活用した取組状況
   次に、平成23年度開催県について協議され、青森県での開催が決定された。
   翌日は、長沼町の花き共選集出荷施設・トマト選果選別施設、米の館(集出荷、貯蔵施設)、道の駅マオイの丘公園(農林水産物直売所等)を視察し、説明を受けた。
     
 近畿ブロック
   近畿ブロック会議が10月19日(火)〜20日(水)の両日、滋賀県米原市宇賀野の近江母の郷文化センターにおいて開催された。
   会議には、近畿各県、農林水産省、近畿農政局、全国山村振興連盟から10名が参加した。最初に、主催者である滋賀県農政水産部農村振興課大谷隆参事から挨拶があった。ついで出席者の自己紹介が行われた後、議事に入った。
   まず、農林水産省農村振興局中山間地域振興課進藤栄治係長から「平成23年度概算要求の概要等」について説明があった。
   ついで、近畿農政局整備部地域整備課島川勝至山村振興係長から「平成22年度農山漁村活性化プロジェクト支援交付金事業の実施等」について説明があった。
   次に、近畿農政局整備部地域整備課本間正範中山間指導係長から「近畿農業・農村6次産業倶楽部の加入募集」について説明が行われた。
   さらに、「全国山村振興連盟の活動」として、全国山村振興連盟川上常務理事から、山村振興関連施策・予算に関する要望活動等について説明があった。
   次に、検討会が行われ、各府県での懸案事項の検討及び独自の取組等について説明及び質疑・意見交換が行われた。その主な内容は次のとおりとなっている。
  1.山村振興対策推進上の問題点(課題・要望)等
   ・ 計画策定時の目標達成が困難となっている場合の対応状況如何?(市町村合併により目標数値の算出が困難となった地域や施設の指定管理者が地域外の材料を使用して収益確保をしている場合など)
   ・ 事業の要望があっても県費の上乗せができない状況
   ・ 山間部の小規模な生産者グループに対する支援を手厚くできないか?
   ・ 過去に整備した施設の維持管理に限界が来ており、耕作放棄地の拡大が懸念される。
  2.農山漁村プロジェクト交付金に関する問題点(課題・要望)等
   ・ 市町村単独計画と県・市町村共同計画の基準についての対応状況いかん?
   ・ 市町村単独計画の把握及び府県の補助の有無いかん?
  3.山村振興計画に関する問題点(課題・要望)等
   ・ 「できる規定」になれば、策定市町村が出てこなくなろう。
   ・ 過疎・半島等の類似計画が重複し、事務負担が過重であり、みなし規定はできないか?
   ・ 計画を樹立した場合の優遇措置(メリット)が明確でない。
   次に、山村振興全国連絡協議会への役員推薦について協議が行われ、また、次期開催県は奈良県を予定することとなった。
    翌日、米原市水源の里振興室担当者及び東草野町づくり懇話会代表者より市の取組と懇話会の活動について説明を受けた後、甲津原交流センター(地域特産物直売・漬物加工施設)及び道の駅伊吹の里「旬彩の森」を視察した。
 

 関東ブロック
 
 関東ブロック会議が10月21日(木)〜22日(金)両日、群馬県みなかみ町源泉湯の宿松乃井の会議室において開催された。
   会議には、関東各都県、関東農政局、全国山村振興連盟から19名が参加した。最初に、主催者である群馬県からは企画部地域政策課の中野三智男課長及び農政部農村整備課の若田部満課長が出席していたが、代表して中野課長から主催者挨拶があった。
   ついで、全国山村振興連盟の米田博正参与から来賓挨拶とあわせて山村振興関連施策・予算に関する要望活動等連盟の活動状況について説明があった。
   出席者の自己紹介の後、議事に入り、まず、関東農政局整備部地域整備課の渡辺利津子山村振興係長から「農山漁村活性化プロジェクト支援交付金」に関して、活性化計画の作成においての留意点等について説明があった。
   ついで、意見交換として、各都県から提出された議題に対する検討が行われた。提出された課題について提出都県からの主旨説明が行われた後、各都県から対応状況等について説明がなされ、質疑が行われた。各都県から提出された課題は、次のとおりとなっている。
  茨城県: 「中山間地域等直接支払制度」の実施状況及び課題とその対応策について
  栃木県: 集落のコミュニティ維持・再生のための対策について
  埼玉県: 中山間ふるさと・水と土保全対策事業(基金)の実施状況について
  千葉県: 中山間地域等直接支払制度の取組状況について
  東京都: 広域連携による山村振興対策について
  山梨県: 集落支援員の活用について
  長野県: 山村振興計画の策定状況について
   次に、山村振興全国連絡協議会への役員選出方法について協議が行われた。
   ついで、次期開催県について協議が行われ、長野県に決定した。
   翌日は、次の個所を視察した。
       
  ○ たくみの里(みなかみ町)
     伝統手工芸の伝承・歴史文化の伝承・食文化の伝承・高齢者の生きがい対策を目的に地元にある物を活かし、人を活かして始められた。昭和62年に木工の家・竹細工の家・陶芸の家・わら細工の家・手づり郷土の香りの家の5軒でスタートしたが、現在は25軒のたくみの家が集落に点在していて、どの家でも手軽に手作り体 ができたり、職人の技が見学できる。最近では年間約45万人が訪れている。
  ○ 真沢ファーム交流施設(みなかみ町)
     遊休化しつつある農地を都市住民に開放することにより、農村と都市住民との交流に努め、経済波及効果による地域の活性化と農地の有効利用を図るため、平成8年度から国及び県の補助事業により整備された。施設は、「真沢の森(宿泊棟)」、「市民農園(田:30区画平均35u、畑:23区画平均50u)」及び「温泉棟」で構成されている。
  ○ 田園プラザ川場(川場村)
     川場村の村づくりの基本路線である「農業+観光」の集大成の事業として位置づけ、 川場村の地場産品の振興及び新規開発を担うとともに、川場村の商業・情報・ふれあい の核である“タウンサイト”の形成の場として機能させることを目的として整備された (5haの村有地を活用)。
   就業機会の拡充(約60人の就労の場を確保)、地場産品のPRや村内消費の拡大村の交通のターミナル機能(道の駅に指定)、新たな特産品の開発と販売促進(ミルク・ミート・ ビール・パンの各工房ブルーベリー館、そば処、レストラン)、農地の遊休化の防止(ファーマーズマーケットへの農産物の提供の増大)、村来者と村民との交流の場の提供等が図られている。
   なお、21年度の入場者は約86万人に達している。

 



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