農林水産省は、3月14日「野生鳥獣被害防止マニュアル」をまとめ地方公共団体や関係団体等に配布した。なお、同マニュアルは農林水産省ホームページに掲載されている。
 近年、野生鳥獣による農林水産被害は、過疎化、高齢化の進展等による耕作放棄地の増加や集落コミュニティの崩壊等に伴い、全国的に中山間地域を中心に深刻化しており、平成16年度の農作物被害金額は約206億円に上っている。
 農林水産省は、環境省や都道府県と連携し、効果的・効率的な防除技術の研究開発や各地域における自衛体制づくりや電気柵等の被害防止施設の整備等についても積極的に推進してきたが、必ずしも被害が軽減されていない実態にある。 特に、被害が深刻化しているイノシシ、シカ、サルについては、その生態行動と被害発生地域において取り組むことが期待されており、このような獣害における農作物等の被害防止対策を取りまとめた基礎編である。そのため、今後、鳥獣害対策に新たな知見等が蓄積されれば順次マニュアル化し、充実させていくこととしている。

1 獣種別対策として、

(1)

イノシシについては、 @ 忍び返し柵と防護柵の組合わせが効果的であること、A 移動ルートを考慮した効果的な柵と罠の組合せにより効果が高まること、B 牛等の放牧が獣害回避に効果があること等。

(2)

シカについては、@ 防護柵にもぐり込み侵入が多いため、これを防ぐ対策が重要であること。A メスを多く捕獲することが効果的であること、B 冬期に雑草を繁茂させないことで近寄せないこと、B 柵の設置は雑草地も取り囲むこと等。

(3)

サルについては、@ しなる支柱とネットの組合せによる防護柵が効果があること、A ロケット花火等による追払いが有効であること等
について写真を多く用いて紹介している。
2 総合的な被害防止対策として、

(1)

被害管理について @ 里の餌場価値を下げる、A 防護柵等の設置、B 被害にあいにくい農業形態を保持(耕作放棄地の解消等)等

(2)

個体(群)管理について@ 特定計画に基づく計画的な捕獲、A生息地への追払い等

(3)

生息地管理について @ 里山・人工林の整備や広葉樹の植栽、A緩衝地帯の設置等を総合的にバランスよく行うことが重要であること。
等を紹介している。
その他、捕獲許可の手続き、狩猟免許の手続き、農作物被害の届出等を紹介している。

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