内閣府大臣官房政府広報室は、昨年11月に実施した「都市と農山漁村の共生・対流に関する世論調査」の結果をこのほど公表した。「ゆとり」や「やすらぎ」を求める都市住民のニーズと地域の活性化に向けた農山漁村での多様な取組を結びつけることにより、人の行き来を活発にさせる取組(「都市と農山漁村の共生・対流」)は、現在、政府、地方自治体、NPO、企業等が一体となって全国各地で積極的に推進されている。
 この調査は、「都市と農山漁村の共生・対流に関する周知度・関心度・実践願望」、「農山漁村への滞在・二地域居住・定住に対する意識」等について3,000人を対象に調査が行われ、居住地域別、性別、年齢別、職業別、都市規模別に集計されているが、いくつかの項目について特徴的なことを整理すれば、次のとおりとなっている。

1 都市と農山漁村の交流について

(1)

都市地域に住んでいる者及び農山漁村地域に住んでいる者(全回答における割合)
@「都市と農山漁村の共生・対流」という取組の周知度 割 合
  聞いたことがあり、内容も知っている 5.1%
  聞いたことはあるが、内容は知らない 15.6%
  聞いたことがない 73.8%

性別では、「聞いたことがない」の割合が女性で高い。

年齢別では、「聞いたことはあるが、内容は知らない」の割合が60歳代、70歳以上で高く、「聞いたことがない」の割合が30〜40歳代で高くなっている。

職業別では、「聞いたことがない」の割合が管理・専門技術・事務職で高い。
A 都市地域と農山漁村地域の交流の必要性 割 合
  必要である 78.4%
  必要ない 7.7%
B 都市と農山漁村の共生・対流に関する関心度 割 合
  関心がある 52.3%
  関心がない 39.2%

都市規模別では、「関心がある」の割合が中都市で高い。

年齢別では、「関心がある」の割合が50歳代で高く、「関心がない」の割合が70歳以上で高くなっている。

職業別では、「関心がある」の割合が管理・専門技術・事務職で高い。
C 都市と農山漁村の共生・対流に対する実践の願望 割 合
  実践したい願望がある 30.0%
  実践したい願望がない 58.4%
  実践している 1.7%

都市規模別では、「実践したい願望がある」の割合が大都市・中都市で高く、「実践したい願望がない」の割合が小都市で高くなっている。

性別では、「実践したい願望がある」の割合が男性で高く、「実践したい願望がない」    の割合が女性で高くなっている。

年齢別では、「実践したい願望がある」の割合が20歳代と50歳代で高い。

職業別では、「実践したい願望がある」の割合が管理・専門技術・事務職で高い。
2 農山漁村への滞在・二地域居住・定住について

(1)

「都市地域」、「どちらかというと都市地域」に住んでいる者の意識
@ 農山漁村地域に一時滞在する場合に宿泊したい施設 割 合
  ホテル・旅館 41.3%
  ペンション・民宿

37.8%
  公共の宿泊施設 26.9%
  農家(漁家民宿) 22.4%
(複数回答・上位4項目)

性別では、「農家(漁家民宿)」の割合が男性で高い。

年齢別では、「ペンション・民宿」の割合が30歳代から50歳代で高く、「公共の宿泊施設」の割合が40歳代で高くなっている。

職業別では、「ペンション・民宿」の割合が管理・専門技術・事務職で高い。
A 農山漁村地域に滞在中に行いたい活動 割 合
  温泉 58.1%
  観光地めぐり

41.9%
  山歩き、山野草観察 40.9%
  その地域の名物料理を食べる 30.5%
(複数回答・上位4項目)

性別では、「観光地めぐり」の割合が女性で高い。

年齢別では、「温泉」の割合が30歳代で高く、「山歩き、山野草観察」の割合が50歳代で高くなっている。

職業別では、「温泉」の割合が主婦で高く、「山歩き、山野草観察」、「その地域の名物料理を食べる」の割合が管理・専門技術・事務職で高くなっている。
B 滞在場所の情報入手先 割 合
  新聞、一般雑誌 34.3%
  家族、友人、知人等の紹介(口コミ) 33.4%
  テレビ・ラジオ 32.8%
  旅行会社のポスター等 32.0%
  インターネット等の旅行情報 30.9%
  旅行雑誌、ガイドブック等 28.8%
(複数回答・上位6項目)

性別では、「インターネット等の旅行情報」の割合が男性で高く、「旅行雑誌、ガイドブック等」の割合が女性で高くなっている。

年齢別では、「新聞、一般雑誌」の割合が60歳代で高く、「家族、友人、知人等の紹介(口コミ)」の割合が70歳以上で高く、「旅行雑誌、ガイドブック」の割合40歳代で高くなっている。

職業別では、「家族、友人、知人等の紹介(口コミ)」の割合が主婦で高く、「テレビ・ラジオ」の割合がその他・無職で高く、「インターネット等の旅行情報」の割合が管理・専門技術・事務職で高くなっている。
C 家族(親子)が3日以上滞在する場合の問題点 割 合
  親と子どもの休暇が合わないこと 45.3%
  親がまとまった休暇が取りにくいこと 39.5%
  交通費や滞在費が高いこと 27.2%
  子供が学校の授業でまとまった休みが取りにくいこと 20.4%
  農山漁村地域についての情報が少ない 16.6%
(複数回答・上位5項目)

年齢別では、「親と子どもの休暇が合わないこと」の割合が40〜50歳代で高く、「親がまとまった休暇が取りにくいこと」、「交通費や滞在費が高いこと」の割合が30歳代で高く、「子どもが学校の授業のため、まとまった休みをとりにくい」の割合が40歳代で高くなっている。

職業別では、「親がまとまった休暇が取りにくいこと」の割合が管理・専門技術・事務職で高い。
D 二地域居住の願望の有無 割 合
  願望がある 37.6%
  願望がない 58.2%
  既に実践している 0.8%
二地域居住:平日は都市部で生活し、週末は農山漁村地域で生活すること。

年齢別では、「二地域居住の願望がある」の割合が50歳代で高い。

二地域居住の願望を実現するために必要なことについては、多数回答順に、「時間的に余裕があること」、「医療機関(施設)の整備」、「農山漁村地域の居住に必要な家屋・土地を安く入手できること」、「家族の理解・同意」、「農山漁村地域の魅力がわかるような情報」等となっている。
E 農山漁村地域への定住の願望の有無 割 合
  願望がある 20.6%
  願望がない 76.0%

性別では、「願望がある」の割合が男性に高く、「願望がない」の割合が女性、特に、主婦で高くなっている。

年齢別では、「願望がない」の割合が40歳代で高い。

農山漁村地域に定住してみたいという願望を実現するためには、どのようなことが必要と思うかについて、多数回答順に、「医療機関(施設)の整備」、「農山漁村地域の居住に必要な家屋・土地を安く入手できること」、「居住地の決定に必要な情報全般を入手出来ること」、「就業に関する情報を入手できること」、「買い物、娯楽などの生活施設の整備」となっている。

(2)

「農山漁村地域」、「どちらかというと農山漁村地域」に住んでいる者の意識
@ 都市住民の滞在(3日程度)をどう思うか 割 合
  良いことだと思う 69.6%
  良いことだと思わない 11.2%
  どちらともいえない 13.6%

都市住民の滞在(3日程度)の機会を増やすにはどうすれば良いと思うかについては、多数回答順に、「農作業などを体験できる施設や指導できる人材を増やす」、「都市住民に農山漁村地域の魅力が伝わるように効果的に情報を発信する」、「地域ぐるみで協力し合い受け入れる体制の整備を図る」、「農山漁村地域住民と都市住民が交流できる場を提供する」、「宿泊施設や観光施設を増やす」となっている。
A 都市住民の二地域居住をどう思うか 割 合
  良いことだと思う 64.7%
  良いことだと思わない 15.0%
  どちらともいえない 13.7%

性別では、「良いことだと思わない」の割合が男性で高い。

職業別では、「良いことだと思う」の割合が管理・専門技術・事務職で高い。

都市住民が二地域居住する際の問題点
都市住民が二地域居住する際の問題点は何だと思うかについて、多数回答順に、「都市住民を受け入れるサポート体制が整備されていない」、「買い物、娯楽などの生活施設が少ない」、「地域住民が都市住民の受け入れに消極的」、「農山漁村地域に来るまでの交通手段等が不便」、「医療機関(施設)が少ない」、「農山漁村地域内での移動のための交通手段が不便」となっている。「都市住民を受け入れるサポート体制が整備されていない」は、回答者全体に多く、「農山漁村地域内での移動のための交通手段が不便」は、小都市、40歳代、主婦の回答で多くなっている。
B 都市住民の農山漁村地域での定住をどう思うか 割 合
  良いことだと思う 65.7%
  良いことだと思わない 13.3%
  どちらともいえない 16.5%

都市規模別では、「良いことだと思う」の割合が小都市で高い。

年齢別では、「良いと思わない」の割合が70歳以上で高い。

都市住民の農山漁村地域での定住する際の問題点
都市住民の農山漁村地域での定住する際の問題点は何だと思うかについては、多数回答順に、「都市住民が定住するための仕事がない」、「都市住民を受け入れるサポート体制が整備されていない」、「買い物、娯楽などの生活施設が少ない」、「医療機関(施設)が少ない」、「地域住民が都市住民の受け入れに消極的」等となっている。「都市住民が定住するための仕事がない」との回答は、小都市、女性に多い。また、「都市住民を受け入れるサポート体制が整備されていない」との回答は、60歳代に多い。

3 学校での体験学習について
都市地域に住んでいる者及び農山漁村地域に住んでいる者(全回答における割合)
@ 学校が提供する体験学習をどのように考えるか 割 合
  取り組むべきである 88.8%
  取り組むべきでない 3.0%

年齢別では、「取り組むべきである」の割合が20歳代で高い。
A 農山漁村地域での体験学習で心配なこと 割 合
  ケガなどの事故がおきる 26.8%
  親の経済的負担の増加 22.1%
  国語や算数・数学といった教科の学習時間が少なくなる 18.6%
  子どもの健康面に問題が生ずる 10.4%
  宿泊が伴う場合、学校外の活動(習い事等)に参加できない 10.1%
  特にない 32.4%

性別では、「国語や算数・数学と言った教科の学習時間が少なくなる」の割合が女性で高い。

年齢別では、「国語や算数・数学といった教科の学習時間が少なくなる」の割合が20歳代で高い。

職業別では、「親の経済的負担の増加」の割合が労務職で高い。

《前へ》《次へ》