平成15年度全国山村振興連盟関東ブロック会議は、去る9月11日〜12日に、群馬県支部(支部長:割田良次高山村長)主催により、関東ブロック県内の山村市町村長等約90名が出席して群馬県神流町「神流町活性化センター」において開催された。
 会議は、地元群馬県支部の群馬県地域創造課 田中一雄次長の司会で進められ、まず地元割田支部長の主催者挨拶があり、来賓として出席された農林水産省農村振興局農村政策課 森山昌人課長補佐、国土交通省都市・地域整備局地方整備課 川村文洋課長補佐、総務省自治行政局地域振興課 柴田昇事務官からそれぞれ挨拶が述べられ、続いて来賓の紹介が行われた。
 議事に移り、全国山村振興連盟 米田博正常務理事から情勢報告がなされた、続いて各県から要望事項の説明並びに提案が行われ、農林水産省農村振興局農村政策課 森山昌人課長補佐及び農林水産省農村振興局地域振興課 安中康夫中山間事業係長から見解が述べられた。
 事例紹介として、群馬県神流町小林一夫助役から「地域資源を活かした町の活性化事業」と題して「地域資源の恐竜の足跡を活かし、恐竜王国を設立、地域の化石発掘、モンゴルの恐竜化石の展示等を通じ不況を乗り越え、地域の活性化を図った。」との事例紹介がなされた。
 記念講演として、高崎経済大学教授 西野寿章氏から「山村の再生を模索して−研究と実践−」と題する講演がなされた。
 最後に平成16年度の関東ブロック会議は、栃木県で開催することを決定した。
 翌日は、群馬県上野村に建設中の揚水式水力発電「東京電力神流川発電所」及び上野村ふれあい館・スカイブリッジ・まほーばの森を視察した。

 各県の要望事項は次のとおりである。

 
各 県 提 出 要 望 事 項
 
 主な要望事項については既に全国山村振興連盟が総会、理事会においてとりまとめ関係省庁に提出しており、ここに提出する事項は新たに要望するものである。
  
1.山村振興法が平成17年3月で失効するので延長してほしい

(静岡県)

 山村振興法は昭和40年に制定され、山村地域の振興や活性化のために大きな成果をあげてきた。しかし、山村地域は過疎化、担い手の高齢化、外材輸入による木材価格の低迷等により、地域経済は弱体の一途をたどり森林の荒廃が強く懸念されている。
 このままの状態が続けば、日本の森林をはじめ国土や環境の保全等、多面的な機能を確保することは至難である。山村の危機的状態を救うため、平成17年3月をもって期限の切れる山村振興法が継続されるよう政府・国会に強く要望する。

 
2.森林の伐採が世界的規模ですすみ地球環境に大きく影響を及ぼしているので、わが国では今一度、森林の多面的役割を見直して行政と生産者、木材使用業界の三者一体の取り組みを真剣に求め、この財政的支援を国と政府に要望する

(静岡県)

 「森林の伐採が世界的規模ですすみ地球環境に大きく影響考及ぼしている」これは今年の森林・林業白書にみる要約であり、木材の国内消費の80%は海外に依存しているという。
 国内の山林は需要の低迷から荒廃し、森林としての機能が低下しているが、森林のもつ多面的な役割を見直す必要がある。今後、経済が豊かになれば世界的には木材の需要は伸びて2010年には今より15%増が予想され、他面では水不足に悩む人も多くなると国連は予測している。
 国土面積の67%を占める日本の森林は悩みが深刻である。長引く木材価格の低迷から国産材の供給はピーク時の30%に落ちている。後継者不足から管理に手が回らず、森林は資源として劣化が進んでいる。森林資源を維持するには、適切な管理と間伐材等の利用が欠かせない。それには行政と生産者、木材使用業界の三者一体の取り組みが求められる。消費者に国産材の利用が森林資源の維持に役立っことを知らしめる必要がある。
 以上、国・政府は地球温暖化防止など森林が環境を守るということを、森林政策の中にはっきり受け止め予算措置をしてもらいたい。

  
3.中山間地域等直接支払制度と森林地域活動支援交付金の単価や諸要件の見直し及び市町村の財政的・事務的負担の軽減について

(群馬県)

 両制度の十分な活用を通して農地及び森林の適正な維持管理を推進し、農山村が有する多面的・公益的機能を一層発揮させるため、交付単価の引き上げや勾配・面積・齢級等の各要件の緩和、地方における裁量の拡大を行い、地域においてさらなる普及定着が図られるよう制度内容を検討されたい。
 また、市町村の財政的・事務的負担を軽減するため、地方財政措置の充実及び制度の仕組みや事務手続きの簡素化を図られたい。

  
  
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