全国山村振興連盟主催の「平成15年度山村振興実務研修会」が、去る6月5日(木)、6日(金)に、全国町村会館2階ホールAにおいて開催された。今回の研修には、平成15年度第五期山村振興計画を策定する市町村及び都道府県等の山村振興行政・実務担当者120名余が参加した。
 研修会は、冒頭、全国山村振興連盟米田博正事務局長から開会の挨拶及び山村振興をめぐる近年の動向について説明があり、続いて農林水産省農村振興局佐藤憲雄農村政策課長から、挨拶に続き「都市と農山漁村の共生・対流について」と題して講演が行われた。続いて関係各省庁の担当官から、15年度の各種施策等について講演が行われた。

  

【佐藤憲雄課長講演要旨】 

 農林水産省では、平成14年4月、今後の農林水産政策の基本として掲げた「『食』と『農』の再生プラン」において、『都市と農山漁村の共生・対流」を「食の安全と安心の確保」、「農業の構造改革の加速化」と並ぶ農林水産政策の3本柱の一つと位置づけた。
 平成14年6月閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」において「農林水産省は、関係府省と協力して、都市と農山漁村を双方で行き交うライフスタイルの実現に向け、国民運動として民間の取組の拡大を図るとともに、特区手法を含め、都市と農山漁村の共生と対流を推進する。」ことを決定した。
 平成14年9月には、副大臣会議が開かれ「都市と農山漁村の共生・対流に関する副大臣プロジェクトチーム」が設置され検討を開始した。この中でホームページの立ち上げが合意され3月末に共生・対流ホームページができた。また、都市と農山漁村の共生・対流に向けた国民運動を進める推進組織のあり方について議論を行い、旅行・観光や輸送関連の企業、NPO、公共団体、学校関係団体等共生・対流に関わる様々な主体が参画する民間主体の推進組織が、本年6月には立ち上がるよう、関係府省一体となって関係方面に働きかけることとしている。6月下旬には推進組織設立の予定である。(6月23日通称「オーライ!ニッポン会議」が設立)

農山漁村でゆとりとやすらぎを
〜都市と農山漁村の共生・対流〜
http://www.kyosei-tairyu.jp
  
【農林水産省農村振興局農村政策課 森山昌人課長補佐】

「第五期山村振興対策及び山村振興計画の樹立について」
◆山村振興計画について、山村振興計画の性格、計画の内容、計画協議、計画に基づく事業の実施の説明及び山村計画の一部変更と振興山村の地域の概要の説明が行われた。
◆山村振興法の概要について、山村振興法の制定・改正の経緯、山村振興法の主な内容、体系及び山村振興計画樹立市町村等への優遇措置等について説明が行われた。また、法に基づく認定法人制度の概要(第3セクターの支援措置)が説明された。

  
【環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部浄化槽対策室 
 小川眞佐子室長補佐】

「山村における浄化槽の整備促進について」
◆汚水処理施設の整備状況について、合併処理浄化槽の特徴として、処理性能が優れ設置コストが安いことから、山村での汚水処理施設としては有効である。また、平成13年度末までの整備の状況や、経済財政諮問会議でも、経済性効率性等の観点からその分担を見直し、連携を図ることとしている。汚水処理原価でも公共下水道より安い状況である。
◆平成15年度浄化槽関係予算については、厳しい予算事情の中で大幅増額が認められている。浄化槽市町村整備推進事業として国庫補助を行い整備の推進を図ることとしている。このような中で、自然を守る合併処理浄化槽等の設置をする市町村設置型の事業推進の重要性が説明された。

  
【総務省情報通信政策局地域通信振興課 
 山碕良志課長補佐】

「山村地域における情報化の推進について」
◆情報通信対策として、地域公共ネットワークの全国整備の計画とりまとめ、整備状況、関連予算等について説明が行われた。
◆地域イントラネット基盤施設整備事業等では、地域の教育、行政、福祉、医療、防災等の高度化を図るため、高速・超高速で接続する地域公共ネットワークの整備に取組む地方公共団体等を支援することとしている。その他整備事業(新世代地域ケーブルテレビ施設、移動通信用鉄塔施設、地域インターネット導入促進等)による各地域の情報通信整備と活用が説明された。

  
【総務省財政局調整課 目貫誠地域財政係長】

「森林・山村対策等に係る地方財政措置について」
◆地方債制度と地方交付税制度について、地方債制度の概要として地方債の意義と機能、法制度、平成15年度地方債計画の説明が行われた。地方交付税制度の概要として地方交付税のしくみ、地方財政計画と地方交付税の関係、地方交付税による財源調整と財源保障等の説明が行われた。また、基準財政需要額や基準財政収入額は各地方公共団体の財政需要・財政力を合理的に測定するためのものであること。また、特別交付税の説明も行われた。
◆平成15年度農山漁村関連の地方単独施策について、農山漁村地域活性化対策、森林・林野振興対策、地域材利用促進対策、国土保全対策等の事業に対し必要な地方財政措置を講じることの説明が行われた。

  
【国土交通省道路局地方道・環境課地域道路調整室 
 遠藤和重課長補佐】

「山村振興と道路の役割について」
市町村道整備事業実施上の留意点として次のような説明が行われた。
◆これからの地方道事業のあり方として、生活の質の低下を防ぐために行動圏の拡大には自動車は必要であるが、道路幅については、地域の特性により[1.5車線」ローカルルールを取り入れながら早急な道路の整備が必要である。
◆市町村道事業を進めるにあたって、整備目的・整備効果の明確化、地域づくりの視点にたって、国は市町村道の整備を支援している。また、道路行政における国と地方の役割分担等が説明された。

  
【林野庁森林整備部計画課森林総合利用・山村振興室 
 吉村洋課長補佐】

「森林・山村の諸問題について」
林野庁が取組んでいる「森の聞き書き甲子園」(森の名手・名人)、[食」と[農」の再生プラン、地球温暖化対策推進大綱の概要と地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策の概要、国民参加の緑づくり活動推進事業、都市と山村の共生・対流による山村振興等々並びに森林ボランティア活動の現状などの説明が行われた。
  
【農林水産省農村振興局地域振興課 
 熊木令夫指導調整係長】

「新山村振興等農林漁業特別対策事業について」
食料・農業・農村基本法に基づく中山間地域対策と本事業の役割及び事業実施の留意 点等が説明された。

   

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