【地域活性化事業債に関する取扱要領】
(平成14年4月26日付け総財地第148号)


平成14年度の地域活性化事業債の取扱いについては、以下のとおりとする。

 
1 対象事業等に係る留意点
 
 地域活性化事業債は、地域の活性化に向けた喫緊の政策課題である循環型社会の形成、少子・高齢化対策、地域資源活用促進、都市再生、科学技術の振興、世界最先端のIT社会の実現を図るため必要となる基盤整備を行う単独事業を対象とするものであるが、以下の事項については、それぞれに示す取扱いとしているものであること。

(1)いわゆる箱物の整備について
 

1)
 箱物とは、建築基準法に定める建築物とおおむね一致するものであるがこれらのうち、住民一般を対象とする集会施設、スポーツ・レクリェーション施設、教養文化施設、展示・普及施設、研修施設、休養施設、宿舎施設、販売施設、その他これに準ずる施設の整備については、原則として対象としないものであること。
 ただし、各事業の目的を達成するために必要不可欠な機能を有する施設であって、各事業要綱で特に必要と認めるものについては対象とするものであること。

2)

 事業を行うに当たっては、既存施設の増・改築等による有効活用を原則とするものであり、新たに雑物を整備する場合にあっても、各機能に直接必要な部分に限り、地域活性化事業債の対象とするものであること。

  

(2)庁舎等の公用施設の整備事業

 庁舎等の公用施設は、その性格上、原則として対象としないものであること。(また、行政機関として試験研究を行う試験研究施設については、広範な住民の用に供することを目的とし、かつ、実際の運営上においても広範な住民の利用に供することが確保されている部分を除き、対象としないものであること。)
 公の施設と公用施設を合築等により併せて整備する場合には、当該公の施設部分についての設置管理条例の制定が予定され、かつ公の施設としての利用が予定される部分が構造上の一団のまとまり及び独立した機能を持ち、自主的・主体的な施設として運用される場合に限り、対象とするものであること。この場合に、共用部分については、公の施設部分と専ら公用に使用される部分との面積比率に応じて按分のうえ、対象とするものであること。
 なお、庁舎との合築に係る共用部分については、上記にかかわらず、庁舎の整備費で対処するものであること。

  

(3)収益性がある施設の整備事業
 以下の例示のように、事業の性格から主として料金収入等により運営することが適当であると認められる施設の整備事業は、対象としないものであること。
 ただし、事業計画全体が広く住民を対象とするものであり、全体計画の一部にだけ下記の施設が含まれる場合には、対象とするものであるが、当該施設の整備に係る事業費については、対象としないものであること。

販売施設等(工房、喫茶店、レストラン、土産物コーナー等)

本来その提供するサービスに見合った料金収入により運営できると考えられるもの(スキー場(リフト)等の観光施設)

直接又は間接に製造の用に供する施設

公営競技施設

 なお、地域資源の活用促進のための直接又は間接に製造の用に供する施設等のうち、設置管理条例において地域経済再生に資する目的を明らかにして設置され、入居する個人・企業が広く募集されるものであって入居者をあらかじめ特定せず、かつ該当施設から生じる料金収入のみによっては運営することが困難であるものは、対象とするものであること。

  

(4)特定受益者のために整備されると認められる施設の整備事業

 地域活性化事業債による建築物等の建設は、原則として、条例設置が可能なものを対象としており、一定の個人、企業に受益が特定するものについては、対象としないものであること。したがって、関係団体等の事務所が主として入居することを予定する会館等の建設事業は対象としないものであること。

  

(5)民間と競合する公的施設の取扱い

 「民間と競合する公的施設の改革について」(平成12年6月9日付け自治事務次官通知)に基づき、会館、宿泊施設、会議場、結婚式場、健康増進施設、総合保養施設、勤労者リフレッシュ施設その他これに準ずる施設の新設及び増築については、当該施設の設置目的、規模、利用形態、設置場所等からみて民間施設と競合すると認められるものは対象としないものであること。

  

(6)用地のみの取得事業又は用地取得面積が過大な事業

 地域活性化事業債は、地方公共団体が地域の活性化に向けた喫緊の政策課題に対応するための事業を対象としていることから、用地のみの取得事業は、対象としないものであること。
 また、原則として、取得する用地の面積が対象施設に直接必要となる用地の面積に対し一定水準を超える部分に係る経費は対象としないものであること。
 ただし、地域資源活用促進事業(地域文化財・歴史的遺産活用事業)における地方指定文化財等の取得や、環境型社会形成事業(国土保全対象事業)における森林の公有化等は、上記にかかわらずその全額を対象とするものであること。

  

(7)他団体への負担金、第三セクター等に対する出資金、貸付金、補助金
 地域活性化事業債は、地方公共団体が実施する地域の活性化に資する基盤整備事業等を対象とするものであり、第三セクター等に対する出資金、貸付金、補助金は原則として対象としないものであること。
 ただし、循環型社会形成事業(国土保全対策事業)のうち公共的団体に対する助成事業、地域資源活用促進事業のうち公共的団体が行うものに対する助成事業、都道府県事業に対する市町村負担金のうち地域情報通信基盤整備事業については、対象とするものであること。
 また、複数の市町村が共同して行う事業について、特定の市町村を事業主体とし、他の市町村が負担金を拠出する場合については、次のような条件を満たす場合には対象とするものであること。

 計画段階において、負担金拠出市町村の主体性が確保されていること。

 施設が、広域的に調整された計画に基づいて整備されるものであること。

 条例、規則、協定等により負担金拠出市町村の住民の利益(利用)が十分確保されること(事業が負担金拠出団体の地域づくりにも資するものであること)。

 利用率等合理的な算定により負担金(率)が設定されていること。

  

(8)法令上、国庫負担で実施することとされている事業

 国が経費を義務的に負担することとされている施設については、国と地方との財政秩序を保つ観点から、対象としないものであること。

  

(9)国庫補助負担事業の地方負担分及び継ぎ足し単独事業

 地域活性化事業債は、国庫補助負担事業(以下、「補助事業」という。)の地方負担分はもとより、いわゆる継ぎ足し単独事業及び超過負担分とみなされるものは対象としないものであること。
 ただし、都市再生事業及び地域情報通信基盤整備事業において、補助事業と単独事業を併せて推進することによって各事業の目的を達成するため、各事業要綱で特に必要と認める補助事業については対象とするものであること。

  

(10)補助事業等との合併施工等

 補助事業等との合築や補助事業と同時に施工する事業については、一般的に、いわゆる継ぎ足し単独事業等との区分が困難であることから、原則として対象としないものであること(なお、このような場合には、別途一般単独事業等で所要の地方債措置を講ずるものであること。)
 ただし、単独事業により整備される部分が構造上の一団のまとまり及び独立した機能を持ち、それぞれ公の施設の設置管理条例の制定が予定されているなど、補助事業で整備される施設の機能の単なる補完等ではなく自主的・主体的な施設として運用されるものであって、かつ、地域の活性化のために特に必要と考えられる場合には、対象とすることができるものであること。

  

(11)民間施設との合築等

 民間施設との合築により整備する施設については、公の施設としての設置管理条例の制定が予定され、かつ公の施設としての利用が予定される部分が構造上の一団のまとまり及び独立した機能を持ち、単なる民間施設の機能を補完するものではなく自主的・主体的な施設として運用される場合については対象とするものであること。
 なお、公の施設の整備に当たって、民間施設全体の買い取りや民間の建造物の一部の区分所有権の買い取り等の手法による場合も対象とするものであること(区分所有権の買い取りの手法による場合は、共有部分に係る持分権の取得も対象に含まれる。)

  

(12)既存施設の改良、改築等

 公共施設の新設に限らず、既存の施設の増築や改築、大規模な模様替等のリニューアル事業についても、既存の施設の機能に新しい機能を大幅に附加し、あるいは、構造を大きく変えるなど実質的な内容があるものは対象とするものであること。したがって、単なる床、壁等の張り替え、施設内の照明施設の取り替え、空調等各種施設の追加等、維持補修程度の事業は対象としないものであること。
 また、補助事業等で整備した施設の増築や改築、大規模の模様替等のリニューアル事業も対象とするものであるが、原則として、当該施設に係る補助負担金の交付に当たっての処分制限年限を超えている場合等、補助負担金等の交付要件によって地方公共団体の取り組みが左右されない場合に限られるものであること。

  

(13)建設単価の高い施設や大規模施設等の整備

 施設等の建設費の単価が標準単価(50万/m2)を超える事業、地域住民の利用に必要な水準を大きく超える大規模な施設の整備事業については、その超える部分に係る経費を算定に当たっての基礎から控除することとされていること。
 ただし、地域住民の利活用等を促進する場合においては、必要に応じ、標準単価の1.3倍に相当する額までの範囲内で標準単価を増額することができるものであること。

  

(14)事務費の算入比率等
 事業費の算入比率については、全体事業費の2.75%以内とするものであること。ただし、補助事業に係る事務費については、補助基準によるものとすること。事務費とは、事業を実施するために直接必要な事務的経費であって、職員旅費、消耗品費、備品費、通信運搬費、印刷製本費等の物件費及び人件費をいうものであること。
 なお、用地の取得に当たっては直接必要とする交渉費及び測量費等の経費については、用地費に含む取扱とするものであること。また、全体事業費とは、用地費及び事務費を除いた対象事業費をいうものであること。
 設計監督を外部に委託する場合には、当該委託費の実所要額を起債対象とするものであること。
 建設事業に伴い必要とされる解体工事に要する経費についても、起債対象に含まれるものであること。

  

2 対象事業の実施期間
  
 対象事業の実施期間は、原則として、事業開始年度以降3ヶ年度以内であるが、特に必要がある場合には5ヶ年度以内とすることができるものであること。

  

3 地域活性化事業債の財政措置
  
(1)充当率等
 

 地域活性化事業債は、単独事業については対象事業費について、補助事業については補助事業費から国庫支出金等を排除した地方負担額について、おおむね75%を充当するものであること。
 また、その元利償還金については、後年度、その30%に相当する額について、普通交付税の基準財政需要額に算入するものであること。

  

(2)特に推進すべき事業の充当率の取扱い
 特に推進すべき事業として、少子・高齢化対策事業及び地域情報通信基盤整備事業において、各事業要綱に定めるものについては、さらに財源対策債15%を許可し、その元利償還金については、後年度、50%相当額を普通交付税の基準財政需要額に算入するものであること。

  
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