全国山村振興連盟九州ブロック
会議開催される

   

 全国山村振興連盟九州ブロック会議が、11月1日、2日の両日熊本県支部(支部長 小国町長 宮崎 暢俊氏)の主催で熊本県高森町において会員、支部事務局員等100余名が出席して盛大に開催された。
 会議は地元熊本県支部井崎事務局長の司会により、まず地元熊本県支部長・小国町長の宮崎暢俊氏の挨拶があり、来賓として出席した自由民主党審議役 岩倉具三氏、国土庁山村豪雪地帯振興課長 守田猛氏・九州農政局長 任田耕一氏、林野庁計画課首席森林計画官 山口昭三氏、熊本県企画開発部次長 鎌倉孝幸氏からそれぞれ挨拶があり、続いて来賓の紹介があった。
 次に情勢報告に移り、連盟三井常務理事から山村振興対策に関わる現在の中央情勢等を中心に報告がなされた。
 ついで議事に入り、宮崎小国町長が議長となり、各県より提出されている議題につきそれぞれ提出県を代表して提案理由の説明があった。これに対し、国土庁守田課長、九州農政局中山構造改善課長、林野庁山口首席計画官、自由民主党岩倉審議役からそれぞれの事項について見解が述べられた。
 また、公務のため出席が遅れていた農林水産省地域振興課長 山下一仁氏から最後に挨拶があつた。
 続いて講演に移り「山村地域活性化のヒント」と題して、(株)地域振興研究所代表取締役 須川一幸氏の講演があり、活性化についての個々の事例等を交えながらの話があり、参加者に多大の感銘を与えた。
 なお、次回開催県は佐賀県に決定した。
 翌日は、高森町の『奥阿蘇物産館』を視察。今までの観光客とは異なる層の来訪を期待し、地域住民の活力の導入を図りながら活動の核となる施設として、山村振興事業費等の補助金を導入し整備を進めたものである。また、久木野村の『そば研修センター(そば道場)』を視察。都市と農山村の交流活動の拠点施設として設置し、久木野村特産のそば粉を使い観光客に実際にそば打ちの体験をしてもらい、自分で打ったそばを、その場で試食してもらう施設で、地元の農家の婦人がそば打ちの指導しており、農家所得の向上にもつながっているようであった。
当日提出された議題は、次のとおりである。

《各県提出議題》

《福岡県支部》
1.新山村振興等農林漁業特別対策事業の予算枠の確保について
[理由]
 新山振事業を計画的に実施し、事業効果を早期に実現するため、計画樹立地域数に見合う事業実施地区数及び予算枠の確保を要望する。

《佐賀県支部》
1.森林等の保全管理に対する補助制度の拡充について
[理由]
 山村では、森林の持つ国土保全、環境保全等の公益的機能の維持・発揮のため努力をしているが、不在地主の増加や木材市況の低迷から小規模林家の多い山村においては、森林管理や林業経営への意欲の喪失を招いている。
 国の林業施策の展開はあるものの、補助事業に取り組む場合、受益者(森林所有者)の負担があることから、適正な保育管理を通じた森林の持つ公益的機能の発揮には厳しい状況となっている。
 このため、山村において、森林管理が十分達成できるよう、対象事業の拡充と補助率アップをお願いしたい。
 併せて、森林及び農地の国土保全機能を維持・発揮させるための保全管理組織が山村地域の若者の新たな雇用の場となり得るよう、新たに設立する保全管理組織の運営に対する支援制度の拡充をお願いしたい。

《佐賀県支部》
1.公共交通機関(乗合バス)の確保に対する補助制度の充実強化について
[理由]
 道路運送法の一部改正により、山村・過疎地域において乗合バスの運行路線の見直しが大幅に行われることが予測されており、赤字路線に対する行政施策がこれまで以上に必要となることは必至である。
 山村においては、交通弱者である高齢者や学生等の移動手段の確保や通勤圏の拡大のための公共交通機関の確保は欠くことができない。
 このため、補助制度の充実強化についてお願いしたい。

《大分県支部》
1.第3セクターに対する支援措置の充実強化について
[理由]
 山村地域については、過疎化の進展に伴い、森林・農用地の急速な荒廃が進んでいる。
このような状況の中で、若者の雇用等山村地域の活性化を図るため第3セクターを設置する市町村が増加している。しかしながら、市町村の財政基盤の脆弱化に伴い、その運営は厳しい状況にあります。
 よって、国において設立時における財政支援や経営の安定を図るための新たな助成措置を要望する。

《大分県支部》
1.振興山村地域への財政支援措置の強化について
[理由]
 山村地域は、食糧の提供、国土保全、水資源のかん養といった役割を担うかけがえのない地域ですが、近年過疎化等の進行とともに、地域全体の活力の低下が懸念されている。振興山村地域を有する市町村は財政基盤が脆弱なため、十分な対策が講じられない状況にある。
 そこで、振興山村を対象に地方債の創設、過疎債、辺地債の拡充とともに、国土保全・管理のための交付税措置など国の支援措置を要望する。

《宮崎県支部》
1.新山村振興等農林漁業特別対策事業の予算の確保について
[理由]
 新山村振興等農林漁業特別対策事業を計画的かつ着実に推進し、事業効果を確実なものとするため、予算の確保をお願いします。

《宮崎県支部》
1.林業・木材産業の活性化対策について
[理由]
 21世紀は、豊かな森林資源を有効に活用していくことが、林業の振興や山村地域の活性化、さらには国土保全を図る上からも極めて重要な課題となっております。
 しかしながら、林業・木材産業は、外材や代替品の攻勢に加え、これまでにない木材不況に直面しており、極めて厳しい状況にあります。
 つきましては、長引く木材不況に鑑み、林業・木材産業の活性化を図るため次の事項について特段の御配慮をお願いします。
(1)木材の拠点的加工・流通施設等を整備し、流域一体となった原木の安定的供給体制の推進、木材産業の体質強化を図ること。また、国産財素材価格の安定を図るための対策を講じること。
(2)公共建物等、国産材の利用促進を図るため、国産材を利用した場合の税制・金融上の優遇措置を拡充すること。また、木材利用に関する情報提供、PR活動を推進すること。

《鹿児島県支部》
1.新山村振興等農林漁業特別対策事業の予算等の確保について
[理由]
 新山村振興等農林漁業特別対策事業を計画的に実施し、事業効果を早期に実現するため、計画樹立地域に見合う事業実施地区数及び予算の確保をお願いします。

《熊本県支部》
1.山村振興計画樹立地区数に見合う新山村振興等農林漁業特別対策事業の事業実施地区数及び予算の確保について
[理由]
 山村振興計画を計画的に実施し事業効果を早期に発現するために、本計画の主な支援措置である新山村振興等農林漁業特別対策事業の事業実施地区数及び予算の確保をお願いしたい。

《熊本県支部》
1.中山間地域等直接支払制度について
 1)地方財政措置について
 2)集落協定活動支援のための新たな事業の創設について
[理由]
 1)直接支払交付金に係る県及び市町村負担については、地方交付税(特別交付税及び普通交付税)措置がなされることとされたが、農林漁業の従業者数により措置されているため、直接支払制度の実施状況が反映されていない。ついては、各県及び各市町村の本制度の負担額を考慮した地方交付税措置とされたい。
 2)中山間地域等において、多面的機能を確保していくためには、担い手育成、集落営農等による農業生産の維持が重要である。
 ついては、協定締結集落を対象に協定に基づく集落営農の確立のための取組の促進に必要な共同利用機械施設の導入や小規模土地基盤整備等を対象とする新たな補助事業を創設されたい。

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