祝   辞

[国務大臣 国土庁長官 中山正暉氏]

 ご紹介を頂きました、国土庁長官・建設大臣を仰せつかりました中山正暉でございます。
 10月5日に玉澤先生、保利先生とともに第2次小渕内閣に入閣をいたしました。今日は、ミレニアム、千年紀を目の前に控えて御多忙のなか東京まで御参集をいただきましたこと、国土行政を担当いたす者として、心から感謝を申し上げる次第であります。私若い頃に労働政務次官をやっておりました時に、小渕総理の地元の木材の研究所に行きまして、本当に山深いところだと感じました。
 この度の大臣就任に当たり、小渕総理から山村の問題に特に留意をしてくれというご指示がありました。
 日本は現在、国債依存率が43.4%大変でございます。補正予算も提出しておりますが、国、地方をあわせて608兆円の大変な借金国になってしまいました。
 しかし借金国と言っても外国から借りているわけではありません。国民の皆様方の預貯金いわゆる金融資産というものが1,333兆円あるわけでして、これを借りて知恵を使って活用し、どのように国土形成を成していくか、であります。
 私は大阪市の出身でありますが、国土の均衡ある発展を図るということが重要であると考えております。かつて大阪で花の博覧会というのが行われました。昔、大阪は蔵屋敷でございましたから町人が大きな庭を作りますとお取りつぶしになったために、淀屋辰五郎の淀屋橋ぐらいしか大庭園は残っておりません。その場所で花の博覧会をやりましたときに驚いたことは、1200年前の万葉集の歌の75%は花と緑であった。
 また、須佐之男命が日本を平定したときに、胸毛を抜いたらむくの木になって、すね毛を抜いたら杉の木になったといわれております。昔の日本の指導者が、如何に治山治水に力を入れたかを示唆するようなものが日本は沢山残っております。
 この山紫水明の国家は、大都市ばかりが裕福になってはいけない。我が国は1,230の過疎市町村ございます。また、6,847の島があるわけであります。日本の海岸線はアフリカの海岸線より長いわけでございます。このすばらしい国家、それが今、山が荒れております。材木が山から取れずに海からやってくるという時代がやってきました。
 私は、これからの国士形成に対して万全を期したいと考えております。貴連盟が昭和38年に設立されて以来現在の山村振興施策の基本となっております山村振興法の制定に大きく貢献されたことをはじめとして、一貫して山村地域の活性化や住民の福祉の向上等山村振興に御尽力を賜り厚く御礼を申し上げたいと存じます。
 さて、山村振興につきましては山村振興法に基づき産業基盤や生活環境の整備等の関連施策を関係省庁と一体となって推進してまいりましたが、この間の関係各位のご努力により道路や水道等の基盤整備が進み、山村での生活の利便性が向上するなど着実にその成果を上げてきております。と申しましても道路整備は14,000kmを目標にしておりますが、整備された道路は7,377kmで進捗状況は53%であります。これからも建設大臣としても道路財源の確保に努力をしなければいけないと思っております。
 また、依然として若者を中心とした人口の流出と高齢化が進行しております山村地域の活力の低下や担い手不足等による森林や農地の管理水準の低下と言った諸問題が懸念されております。
 国土庁は、昨年3月新しい全国総合開発計画を策定し、この中で中小都市と農山漁村等の豊かな自然環境に恵まれた地域を21世紀の新たな生活様式を可能とする国土のフロンティアとして位置づけ、多自然居住地域の創造を提唱したところであります。
 山村振興は、国民的課題であるとの認識の下に今年度から第五期山村振興対策を開始しているところでございます。今後一層関係省庁と連携を密にしながら、子供の声がこだまし若者が集い、高齢者が豊かに暮らせる山村地域の構築に向けて各般の施策の推進に一層の努力を傾注して参る所存でございます。
 貴連盟におかれましても今後とも国土行政の推進に御理解と御尽力を賜りますようお願いを申し上げますとともに、全国山村振興連盟及び本日御参集の皆様方の並々の御発展と御活躍を祈念致したいと存じております。大都市には、心の過疎の時代が来ております。日本の心のふるさと、その山村の振興こそは、日本の良き伝統とこころの豊かな地域のよみがえりこそが、日本の21世紀への再生に繋がるものと確信し、今日御参集の大原先生はじめ国会議員の諸先生方と共に、来年度予算並びにこれからの山村地域の振興のために努力を致すことをお誓いを致しまして御挨拶にかえる次第であります。
 有り難うございました。


[自由民主党山村振興対策特別委員会 委員長 大原一三氏]

 皆さんこんにちは。私は、自民党の山村振興特別委員長になってから、ここへ立って何回も挨拶を致しましたが、どうも侘びしいんです。ここへ立って挨拶するのが。
 山はひどいです。山は泣いてます。何とかして下さいという声がだんだん、だんだん大きくなるばかりで小さくならない。今日、お集まりの先生方と一緒に、先日自民党本部において皆さん方のご要請並びに各省の幹部を全部呼びまして、関連の予算を大蔵省へ持ち込んであります。これも微に入り、細にわたった予算が山ほどあるんですね。これも大事なそれぞれ予算項目でありますから、どうか一つ皆さん方の地域から今日お集まりの先生方へ積極的に働きかけていただいて、満額予算の確保にご努力なされるよう私からもお願い申し上げる次第であります。
 私は、農林大臣をやってこの山特委員長の職を引き受けたわけでありますが、今日来ておられる林野庁長官が、先だって私のところに来ていただいていろいろお話をしました。山村に係わる林野庁の公共予算4,000億円であります。この中には木を植えるのに半分が補助金が出てるんです。農業ではそう言うことはありません。みかんの木を植えてもほ場整備には補助金が出ますが、木を植えるのには補助金は出ない。
 また、造林、治山、林道全部5割の補助金です。それがさっき申した僅かな4,000億円です。さて、この4,000億円を倍にしますと国が山村を経営することになるんです。これが私が申し上げたいことであります。37万km2の広大な山に、新規学卒者が僅か120人しか帰ってこない。山村の人口は国民の1割弱であります。
 その中の半分はご老体、働く人は日本の国土面積の7割のところに5%の国民しかいないんです。大都市の知事方は、山村に水を下さい、空気を下さいと言っても働く人は国民のたった5%でありますから、この大都市に水を供給する能力もなければ、新たな空気を提供する役割も果たせないわけであります。
 1万円のビフテキを食っている人が、山は誰かが経営するか、の如き他力本願的考え方に立っていることはそもそもの間違いであります。僅か5%の人が日本国民に水を供給し、空気を提供する義務も責任もありません。
 そういう意味で、山の役割に、10年計画でも15年計画でもいい、4,000億円を8,000億円にして、国費で山の経営が安定出来るようにしたいわけであります。
 細かい予算も大事でございますけれども、どうかひとつその辺のところに皆さん方の要求の焦点を合わせていただいて、疲弊し行く山村の防衛に我々と一緒になって頑張って頂きたいと思います。また、今日お集まりの自民党の先生方にそれぞれの地域から、きついご要請を遠慮なく寄せて頂きますようにお願い申し上げまして私の御挨拶といたします。有り難うございました。,


[全国町村会長(代理全国町村会副会長 石川県川北町長)西中耕豊氏]

 本日、私どもの会長、出席することができなくなりましたので、副会長の西田でございますが、祝辞を預かって参りましたのでよろしくお願いをいたします。
 本日ここに、全国山村振興連盟の平成11年度臨時総会が関係者多数のご出席の下、盛大に開催をされますことは誠に意義深く、心からお慶び申し上げます。
 貴連盟におかれましては、長年にわたりまして山村地域の振興・発展に取り組んでこられましたことに対し、ここに深く敬意を表する次第でございます。私ども全国町村会は、全国市町村林野振興対策協議会を組織を致しまして、地域林業の振興と山村地域の活性化を目指した活動を行っており、全国山村振興連盟の皆様方には、日頃より、格別なご支援とご協力を頂いておりますことを、厚くお礼申し上げます。
 さて、近年、山村における林業経営が木材価格の低迷や過疎化・高齢化の進行により危機に直面し、森林の管理が放棄されつつある地域が増加してきております。
 水源のかん養、国土保全など森林・山村の果たしている重要な公益的機能の低下が懸念されており、森林を緊急かつ計画的に整備・管理する施策の充実が大いに待たれるところであります。森林の整備については、地域住民のみならず、社会全体で支える必要があるという国民的理解の醸成をはかるとともに、山村地域においても自らの公共建物への地域材の活用等、自主的な取り組みが必要であろうかと思われます。
 また、山村地域では農業と林業が一体として営まれており、森林・林業を対象とした直接支払制度の検討も必要であります。そして、国・地方とも厳しい財政事情ではございますが、財政力の弱い町村の多い農山村に対しては、一層の財政支援策が求められております。私どもは、今後とも、全国山村振興連盟の皆様方と力を合わせ、私どもが誇りとする美しい山村の保全と、魅力ある山村社会の実現を目指しまして、引き続き努力を重ねていく所存でございます。
 終わりに臨みまして、全国山村振興連盟のますますの御発展と御参集の皆様方の御活躍をお祈りをさせていただき、ご挨拶といたします。

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