![]() 本日、ここに全国山村振興連盟臨時総会を開催致しましたところ、会員各位には遠路上京して御出席を賜わり総会を盛んにして下され、厚く御礼申し上げます。 また、国土庁長官を始め、御来賓の諸先生には、御多用の折柄、貴重な時間を割いて御臨席の栄を賜わり、私達を勇気づけると共に、総会に花を添えて下され、感謝の至りに存じます。 先般の内閣改造に際し、会長の玉澤先生、会長代行の保利先生が、共に大臣に御就任になりまして、誠にお目出度い次第でありますが、当連盟と致しましては、会長の代行者を別に定めなければならないことになりまして、玉澤会長から私黒澤が指名されて、暫く会長職を代行することとなりました。 素より、不徳非才ではありますが、皆様の御教導を得つつ、重責を果し度いと念じて居りますので、御支援のほど宜しくお願い致します。 さて、私達山村は、昭和40年に山村振興法が制定されて以来、この法律の恩恵による有利な補助金や起債等を国や都道府県から受けて諸々の事業を実行し、その成果は相当挙がったのでありますが、率直に言って、山村をはじめとする中山間地域は、今尚都会並みに魅力ある社会を創出することが出来ず、地域社会を安定的に存続出来る振興策を完成し得た市町村は極めて稀であります。この結果、中山間地域の多くの市町村は、長きに亙って若者を定住せしめ得ず、為に赤ちゃんの出生数が急速に減少して、所謂深刻な少子、高齢化の状況に在って、市町村社会の維持存続すら憂慮される現況であります。 私は、この最大の原因は、かって農林業が主産業であった中山間地域に、都市並みの所得が得られる職場を創出することが困難であることに在ると考えます。 そこで私たちは、現状から脱却して、明るい展望の持てる山村を開く為に、従来型の施策と共に、新しい抜本的な施策を求めて運動を強化しなければならないと考えます。 他方では、人類の限りない物質文明の追求が、地球上の生活環境を悪化させ、その回復の為に、森林が果す役割りへの期待が高まっています。 今こそ、我が国の森林の大部分が存在する、国土の五割を占める山村を預かる私達が、声を大にして主張すべき時であります。 本日、この総会にお諮りし決定して実行に移したい重要な事項は、此処に掲げた所に重点を置く、政府、国会等に対する要望事項でありますが、是非これを貫徹して一日も早く、真の山村振興に成功し度いものであります。聴くとこうに依ると、政府は今尚沈滞している景気を回復させる為、来年度も積極的な予算を組んで、経済の再生を図る方針との事で、私達山村に関係する予算についても関係省庁からきめ細かく幅広くかつ、積極的に要求して頂いている由ですが、情報通信や環境を重視する経済再生特別枠を設けて査定するとの事でありますので、減額される憂いがあります。 そこで、会員の皆様方には、山村の逼迫した現状や果している役割の重要性を広く説いて、政府・国会や国民の理解を深めて、要望する予算が確保出来るよう御活躍をお願い致します。 国政は、兎角人口の多い都市の声に動かされがちでありますが、都市は都市だけで存立し得ているのではありません。 地方の支えに依る所が多いのでありますが、森林の大部分を預かって、水源を涵養し、空気を浄化し、国土を保全して都市を大きく支えているのは、私達山村住民であります。 御互い様自信を持って山村を主張して、要望を貫徹しようではありませんか。 最後に、この総会が会員の団結と振興運動を強くすることを祈りつつ御挨拶を終わります。ありがとうございました。 |