農林水産業の振興に邁進
[玉澤農林水産大臣祝辞 田原農政部長代読]

ご紹介を頂きました、構造改善局農政部長の田原と申します。大臣は、本日のシンポジウムに是非とも出席致しまして、山村振興ということで日夜努力されております皆様方に対しまして、直接御挨拶申し上げたいという強いご意向があったわけでありますが、先程来語が出ておりますけれど、本日、ちょうど総理も出席いたしまして参議院の決算委員会が開かれるということで、どうしてもこの会合に出席できないということで、非常に残念がっておられました。大分県知事さん、山村振興連盟加盟の各市町村長さん、それから今日御出席の皆様方にくれぐれも宜しくということでございましたので、先ずもって、冒頭そのことにつきましてご紹介をさせていただきたいと思います。それでは大臣のメッセージを代読させていただきます。
【農林水産大臣挨拶】
本日ここに、第25回全国山村振興シンポジウムが開催されるに当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。まずもって、本日、御列席の皆様におかれましては、日頃から農林水産行政の展開に御支援、御協力を賜り、この場をお借りして、心から感謝申し上げます。また、先程の台風におきまして被災を受けられました全国の関係の農林漁家の皆様方に対しまして慎んでお見舞いを申し上げます。
私は、昨年7月から農林水産大臣に就任するまで、全国山村振興連盟の会長として「日本の山村は、国の宝であり、山村の活性化なくして民族の発展はあり得ない」という信念の下に、農林漁業や農山漁村の振興、山村をはじめとする国土の発展に取り組んで参りました。去る10月5日に農林水産大臣を命ぜられ、その任務の重大さを痛感しておりますが、国民に信頼される農林水産行政の確立を目指し、全力を尽くす所存であります。
なお、関係団体の長との兼職は控えるとの内閣の申し合わせにより本連盟の会長職を離れることになりましたが、本日御列席の振興山村の町村長をはじめ会員の皆様方には、会長在任中、絶大なる御支援、御協力を頂きましたこと厚く御礼申し上げるとともに、今後とも変わらぬ御支援をお願いいたします。
皆様ご承知のとおり、今日の食料・農業・農村をめぐる状況は、食料自給率の大幅な低下、担い手の減少や高齢化の進展等の問題を抱え、特に中山間地域では、その困難を増している状況にあります。他方で、国民の皆様からは、国産農産物を中心とした食料の安定供給に対する要請や農林水産業及び農山漁村に新たな価値を求める気運が益々高まっており、この声に応え、地域経済や地域社会の中で大きな役割を果たしている農林水産業の振興と農山漁村の発展を図っていく必要があると考えております。
このため、来るべき21世紀に我が国農林水産業・農山漁村が、魅力にあふれ、活力に満ちたものとなるよう、当面する次の課題に全力で取り組む決意であります。
第1に、農業につきましては、新基本法に基づく新たな農政の推進であります。食料自給率の目標をはじめ、新基本法に基づく施策の具体化を年度内に進めてまいります。
第2に、森林・林業・木材産業の基本政策の確立であります。本年7月に「森林・林業・木材産業基本政策検討会」において取りまとめられた今後検討すべき基本的課題について、本年末を目途に具体的な対応方向と対応手順を取りまとめる考えてあります。
第3に、今後の水産基本政策の確立についてであります。本年8月に取りまとめられた「水産基本政策検討会」の報告に示された方向に沿って、新たな海洋秩序にふさわしい基本政策の具体的内容と実施プログラムを本年末を目途に取りまとめる考えてあります。
また、農山漁村の振興という観点からは、振興山村など中山間堆域の振興策が重要な課題となっております。中山間地域は、農家数、耕地面積等の4割を占め、森林の8割を有し、優良な漁場を抱えるなど、食料自給力の維持、国土・自然環境の保全、余暇空間の提供等に重要な役割を果たしております。他方、傾斜地が多くまとまった農地が少ないなど農業の生産条件が不利な地域が多く、耕作放棄地の発生が懸念されているほか、就業機会も乏しく、生活環境の整備も遅れている等定住条件も劣っております。
このような中山間地域の振興を図るため、
第1に、生産基盤の整備や農林水産物の加工・流通施設の整備等による地域の基幹産業である農林漁業の振興
第2に、新規就業者や第3セクター設立への支援等地域の実情に応じた多様な農林水産業の担い手の確保
第3に、都市と農山漁村との交流や農村地域工業等導入による企業誘致など他産業の振興による多様な就業・所得機会の確保
第4に、集落道や集落排水の整備等による生活環境の整備などの施策のさらなる推進に努めてまいる所存であります。
また、農業生産活動等の継続を通じて耕作放棄の発生を防止し多面的機能を確保する観点から、農業生産条件の不利を補正するための直接支払いを実施することとしております。そのため、平成12年度概算要求に国費べ一スで約330億円、事業費総額で約700億円を盛り込んだところであります。
さらに、中山間地域は、自然的・経済的・社会的条件が多様であることから、地域の基幹産業である農林漁業の振興、就業機会の拡大、生活環境の整備等多様な課題を抱えております。生産条件の不利を補正する直接支払いでこれらすべての課題に対応することは困難であり、地域の抱える課題に対応するために各種の施策を総合的・計画的に実施していくことが必要と考えております。
このほか、現下の農林水産行政には、多くの取り組むべき課題があり、いずれも今後の我が国農林水産業・農山漁村の将来を左右する重要なものばかりであります。
これらの課題の解決に当たっては、国民の皆様から信頼される行政運営に努めてまいりたいと考えておりますので、皆様の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。最後に、本シンポジウムが日夜、山村振興に取り組まれている皆様にとって有意義なものとなるとともに、皆様の御健勝を祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。
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