会長挨拶
[全国山村振興連盟会長 玉澤徳一郎氏]
 本日は、全国各地から会員の皆様方、多数御参集をいただき臨時総会をこのように盛会裡に開催出来ましたことは、私の深く喜びにたえないところでありまして心から感謝を申し上げます。また、国土政務次官をはじめ、来賓の方々には公務極めて御多忙の中にもかかわらず御臨席を賜わり心から厚く御礼申し上げます。
 今日、我が国の経済は、誠に厳しい状況にありますが、先の国会において制定されました金融早期健全化法や第三次補正予算を含む緊急経済対策によりまして、早期に景気の回復を果たすべく固い決意の下に政策を展開しているところであります。
 我が国の山村は、社会的に不利な条件の下で、全国会員各位のたゆまざる努力と政府・国会をはじめとする関係各方面の並々ならぬ御支援・御指導によりまして今日の状況を維持してまいりました。
 このことによって、国土のおよそ半分を占める山村は、農林産物の生産、水資源のかん養、国土・自然環境の保全など国民生活にとって非常に重要な働きを守ってきたのであります。しかしながら、景気低迷の中で、山村は過疎化、高齢化の進行の加えて、基幹産業の停滞などから、自治体の財政力並びに住民の生活は誠に緊迫した状況にあります。
 このような状況で推移すれば、国土保全に不可欠な山村地域社会の維持そのものが困難になることさえ懸念されているのであります。
 これらの状況を打開するため、我々の最大の関心事は、山村に対する公的支援のあり方がどのように展開をされているかというところにあります。
 国土庁においては次期山村振興対策を国土審議会山村振興対策特別委員会において、また、内閣では、新農業基本法の制定に向けた食料・農業・農村基本問題調査会において、審議が行われてまいりました。
 国土審議会は、本日午後に最終報告書の審議が行われる予定と聞いておりますが、基本問題調査会は去る9月17日に答申が出されております。
 この答申で、我が国としましては初めて中山間地域への直接支払いの制度化の方向が示されておりますことは、一歩前進と受け止めます。我々もこの実現ために全力を挙げて努力してまいりたいと考えております。
 また、当面は、10年度補正予算を中心とした緊急経済対策と年末に編成される11年度政府予算を切れ目なく実施することが景気の回復のために必要であり、山村振興のためにも必要であります。皆様方には、山村の果たしている役割の重要性、緊迫した状況を一般国民に理解していただきながら、景気回復に向けて、予算の確保並びに山村振興対策の一層の推進に、活動されるように心からお願い申し上げる次第であります。私は、全国山村振興連盟会長、山村振興を推進する国会議員のひとりといたしまして山村振興施策の推進、税制の改正、予算の確保に皆さんと一緒になりまして最大の努力を傾注する決意でありますことを、お誓いを申し上げますと同時に、何卒、本日御臨席の政府・国会の先生方におかれましては、連盟の意のあるところをお汲み取りいただき、今後の山村振興対策の推進につき、なお一層の御指導、御支援を賜わりますよう心からお願い申し上げる次第であります。
 本日の総会が所期の目的を達成できますよう会員各位皆様方の御協力を切にお願い申し上げますと同時に、皆様の一層の御健勝を心からお祈り申し上げまして私の御挨拶と致します。



祝辞
[国務大臣 国土庁長官 井上吉夫氏(国土政務次官 谷川秀善氏代読)]
 本日ここに、全国山村振興連盟平成10年度臨時総会が開催されるにあたり、一言お祝いを申しあげます。
 貴連盟は、昭和38年に設立されて以来、現在の山村振興対策の基本となっております山村振興法の制定に大きく貢献されましたことを始めとして、一貫して山村振興運動に取り組んでこられました。ここに深く敬意を表する次第であります。
 さて、山村振興につきましては、山村振興法に基づき産業基盤や生活環境の整備等の関連施策を関係省庁と一体となって推進してまいりました。この間、関係各位の御努力により道路や水道等の基盤整備が進み、山村住民の生活上の利便性が向上するなど、着実にその成果を挙げてきてところであります。
 しかしながら、依然として若者を中心とした人口の減少と高齢化が進行しており、このまま推移すれば、山村地域の活力の低下や担い手不足等による森林や農地の管理水準の低下が懸念されるに至っております。
 本年3月には、新しい全国総合開発計画を閣議決定いたしました。この中で、中小都市と農山漁村などの豊かな自然環境に恵まれた地域を、21世紀の新たな生活様式を可能とする国土のフロンティアとして位置づける「多自然居住地域の創造」を提唱致しました。
 また、昨年9月から国土審議会山村振興対策特別委員会を開催し、21世紀にふさわしい新たな山村振興対策のあり方などについて、御審議をいただいているところであります。
 これらを踏まえ、国土庁といたしましては、安全で美しい国土の形成に寄与する、活力に満ちた山村社会の形成を図るため関係省庁と連携を密にしながら、各般の施策の推進に一層努力を傾注してまいる所存であります。連盟におかれましても、今後とも御理解と御協力を賜わりますようお願いを申し上げます。最後に、全国山村振興連盟並びに本日御参集の皆様方のますますの御発展と御活躍を祈念いたしまして私の挨拶といたします。



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