祝辞
[自由民主党総合農政調査会長 谷洋一氏挨拶要旨]
 本日、自由民主党の山村振興対策特別委員会の大原委員長は、税調の会議で手が離せず、私が代わって後挨拶を申し上げます。
 山村は、国土の47%の大きなウエイトを占めております。しかしながら、そこには4%の人口しか住んでいないという極端な現状であります。そういうことからこの山村振興法がつくられたわけでございます。
 ここに全国町村会長の黒澤さんがいらっしゃいますが、黒澤さんのお顔を見るごとに顔に山村と書いてあるような気がするわけでございまして、終始一貫山村振興に打ち込んでいらっしゃる姿に、これが本当の山を愛する方だなとつくづく思っております。どうか皆さん方もこの黒澤先輩に負けず劣らずがんばっていただきますことを切にお願いしたいと思います。
 私ども国会におきましても、皆様方の熱いこの熱情を感じまして何としても大きな手を打ち、過疎の状態になって本当に困り果てている現状を何とかしなければと日夜励んでおるわけですが、1195ある市長村が奮起すれば何でもできるというお気持ちになってがんばっていただきたいと思います。
 私は、過疎法が平成12年の3月に期限切れになるので、来年の5月か6月には法文化したいということで、目下、全国各地をまわり意見を聞いている最中で、すでに8カ所をまわりいろいろ聞かせていただいたのですが、もう一つ町村長さんが中山間地域の問題についてしりごみをしているような気がしてなりません。もっと積極的に取り組んで優良農地等の活用をしっかりとお願いしたいと思うのです。
 これはいわば、私の町でもそうなんです。私の町で60歳以上の方に聞くと、「今、息子は一緒に住んでいるけれども、息子の百姓する姿を見ていたらどうも俺が死んでしまったらあとは続けてくれないような気がしてならん」ということを皆さんおっしゃる。また都会に出ている子供さんの場合は、「とても帰らんと思う」とおっしゃる親御さんも多いが、こういうことをおっしゃる親御さんは、ご自分が山村に住む喜びを知っていらっしゃるのだろうかと思います。そういうことであってはならない。やはり四季折々変わる潤いのある山村というものをもっともっと見つめていただいて、しっかりと足を踏まえて、山村を愛していただくと同時に山村に活力を与えていただくようにお願いしたいと思います。
 それにはやはり、中山間地域の問題についてここにいらっしゃる皆様方にもう一段の奮起をしてやっていただくことが一番大事なことだと思っております。そういうことで我々も政府を督励いたしまして、今、二つの問題が解決しつつあります。
 ひとつは、平成10年度から国土の保全という立場で、交付税の算定基準を変えていただきました。これは先程らいお話がありましたように、山のもつ意義というものは、非常に多面的で大きいわけであります。国土の保全という立場、空気の清浄化とか、あるいは、環境の問題とか水資源の涵養とかそういうことをみんな国民全体が切実に思っておりますけれども、山を大切にするということ、皆さん口ではおっしゃるが、自ら山を愛するということはなさっていない。そういうことを考えて、交付税で国土保全ということで、山も水田も畑地も総合的な点数にして出して金額を決めるということを10年から踏み切っていただきました。これは大きな変革でございます。
 また、森林組合と各市町村がタイアップして巡視する森林巡視制度という方途を自治省がおつくりになった。これは、自治省・国土庁・林野庁の森林山村問題検討会の結論として出していただき、実施に移しております。こういうふうに山村にも光があたってきたというふうに考えていただければありがたいと思います。
 もうひとつの問題は、今、新しい農業基本法制定にあたって論議されておりますが、この12月10日には党の基本方針をまとめたいと思っており、この中に条件不利地域というふうな中山間地域に対する国庫補償をしようという考え方であります。これは、国土保全という大きな立場で立ち向かっているからで、その点、ヨーロッパでは、そういうことを実施しているところもあるわけで、遅きに失したかもしれませんが平成12年度からは、完全に給付、個人個人に給付するようにしたい.こういうことで10年度中にこれをきちっとまとめ、11年度から実施方式の具体的なものを示して御了解を得、12年度からは、いよいよ実施ということにしたいと思っております。
 これらの問題につきましては、全国山村振興連盟会員市町村の皆様方が結束した力で、力強く応援をしていただくがためにできるわけですから、今後とも全国山村振興連盟を通じ、また、玉澤会長を通じまして団結をして、皆様方の意気を示していただきたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。



祝辞
[全国町村会長 黒澤丈夫氏(同副会長 宮城県柴田町長 平野 博氏代読)]
 本日ここに、全国山村振興連盟の臨時総会がかくも多数の関係者の御出席の下に、盛大に開かれましたことを心からお慶び申し上げます。
 私ども全国町村会は、全国市町村林野振興対策協議会を組織しまして、地域林業の振興と山村地域の活性化をめざした活動を進めておりますが、全国山村振興連盟の皆様には、日頃、格別な御支援と御協力を頂戴しておりますことをこの機会にお礼を申し上げます。
 さて、山村地域は、近年、若者の流出による過疎化、高齢化が進み、地域社会の活力の低下、基幹産業である農林業の低迷、あるいは農林地の維持管理の粗放化等の困難な状況下にあり、山村が有する国土・環境の保全、水資源の涵養、潤いと安らぎの場の提供等の公益的な役割を果たしていくには、より一層の山村活性化対策の充実が必要と思われます。 このような状況において、来年度の新対策として要求されている複合的な地域産業振興、山村・都市交流の促進、豊かな自然環境と担い手の確保に重点をおいた新山村振興等農林漁業特別対策事業が実現されますことを皆さんとともに期待いたしております。
 本年は、国有林野の管理運営を木材生産から公益的機能重視に転換しまして、民間事業者を活用しつつ効率的な業務運営を推進するという趣旨のもと、国有林野事業改革関連法が成立するとともに、森林法の一部改正により、市町村が森林整備の推進に主導的な役割を担うこととなりました。これらの改正は今後の地域森林の維持管理において大きな影響を及ぼすものと思われ、更なる財政基盤の充実が求められております。
 さて、農業においては、去る9月、新たな農業基本法のあり方と中長期的な食料・農業・農村政策について答申が出されまして、来年には関連法案が提出されることとなっております。
 この答申にあります中山間地域に対する直接所得補償の導入に関しましては、農業・農村とともに林業・山村の果たしている公益的機能について十分配慮し、その具体策については地域自治体の意見が反映されることが、必要と考えられます。
 私どもは今後とも、全国山村振興連盟の皆様方と力を合わせ、山村地域の振興、発展に鋭意取り組むとともに、都市住民による森林整備への積極的参加等の価値観の変化を力として、美しい国土の保全のため、また、活力に満ちた山村社会の実現に向けて最大の努力を傾けていく所存でございます。
 終わりに臨み、本日の総会を機に、全国山村振興連盟がますます組織を充実強化され、山村地域の活性化のため、積極的な活動を展開されることを心から御期待申し上げまして、お祝いの御挨拶といたします。



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