〔自由民主党山村振興対策特別委員会委員長 大原一三氏祝辞〕

 どうも皆様遠いところご苦労さまでございます。  ご承知のように山村振興法は、自由民主党とともに山村振興の関係市町村の皆様方の絶大なご支援によって昭和40年に制定された法律でございます。私も何代目かの自民党の山村振興対策特別委員会を拝命しておりますが、今日ご参集の自民党の皆様方とともに毎年厳しい予算の中でございますけれども、ほとんどの省庁にわたる山村振興予算の充実に努めてまいりました。
 しかしながら、今、大河原会長、国土庁長官からもお話がありましたように、山村の状況というのは、この33年間を振り返ってみても決して良くはなっていない。厳しさがますます加わっているのではないのかなと、そういう状況の中での闘いでございまして、皆様とともに自由民主党、手を携えて今後も頑張ってまいる所存でございます。
 ご承知のように農林水産省では、目下、新しい農業基本法の制定に努力をしている最中でありまして、内閣総理大臣のもとにおかれた農業基本問題調査会の結論がまもなく出ようとしているわけであります。
 私が農林水産大臣を拝命いたしておりました時に、この調査会をつくったわけでございますけれども、大変な課題を抱えておりながら、なかなか審議状況が順調にいっていないような感じもいたします。
 我々が抱える食料問題というのは、山村振興とも関わりが深いわけでございますけれども、今、ただならぬ世界情勢の響きが聞こえるわけです。50年先には、食料を要する人口が100億になる可能性がございます。
 現在、日本は、食料を600億ドル輸入しているわけですけれども、今後数十年間にその値段が倍にも3倍にも上がる可能性があるわけでございます。にもかかわらず、貿易黒字は同じく600億ドルでございまして、増える可能性はほとんどない。
   そういう地球人口が倍になった時に、いったい、食料を現在と同じ価格で調達できるであろうか、できないに決まっているのです。
 そういうことを考える時に、我々としては、食料自給率をいったいどうすべきかという課題が第一にあるわけでございます。現在食料自給率42%でございますけれども、やはり基本法の中へ数値目標を据えて、60%とか70%とかいう水準を作って、やれるだけのことをやってみようという努力がなされる必要があると思うのです。  ご承知のように食料自給率は、イギリスの場合は、40%から現在70%に上がっております。フランスの場合は、60%から120%に上がっております。ドイツの場合も50%から100%近い食料自給率の水準になっております。
 こういう先進国の例もあるのですから、将来の地球食料危機を考えた場合に、我国が漫然とこの課題に取り組んでいては、大変な事態が起きるのではないか、こういう問題が一つ抱えられているのです。
 それから農業の担い手の問題でございますが、ご承知のように農山村においては、60才以上の方が55%近くを占めております。この方々は、20年経ったら80になってしまうのですね。そうすると、55%の方が働いていた農地や山村をいったい誰が経営するのかということです。
 食料増産に効果的な農地や、あるいはまた、自然環境を守るという中に、山村というものをしかるべき後継者に委譲していかなければなりません。  ところが、今の農林水産省の予算をみますと、そういった農地の維持、増進等に係わる予算は、融資を含めてわずかに1500億円でございます。こんなもので将来の食料自給率を担保しようといったってどだい無理です。やはりその10倍くらいの費用をかけて、申し上げたような農地やあるいは林地の有効利用のための委譲を考えていかなければならない。これが、第二の課題であります。
 第三の課題は、申すまでもなく、中山間地におけるいわゆる厳しい労働条件のなかで、水を守り、空気を守り、食料を守っておられる皆様方に対して、いかに山村に残っていただくかという手段であります。
 現在、幸いに、食料基本問題調査会におきましても、ご承知のようにいわゆるデカップリング、ヨーロッパで行なわれているような所得補償方式を導入していかなければならないという課題に取り組んでいるところでございます。
 フランスに参りまして、その現実を見たわけでございますが、こんなものじゃお話にならないのです。3万円程度の所得補償では、山に残れといっても残らない人が出るかもしれない。そうであるとすれば、やはりそれ相当の所得補償をしないかぎり、山村に残っていただけないであろう、こういう3つの課題を現在、われわれは、取り組んでいるところでございます。
 農業基本法の問題、そしてまた、山を守るための手段を今後、新たに展開しなければ、現状の担保は難しいという状況にあるのではないかと思うわけでございます。我々としては、今日出席の国会議員の先生ともども皆様方のご要望に応えて、今後なおいっそう努力し、問題に取り組んでまいる所存でございます。皆様方と一緒になって頑張ってまいりたいと思います。簡単でございますが、ごあいさつに代えさせていただきます。


〔全国町村会長 黒澤丈夫氏祝辞
(副会長 福岡県添田町長 山本文雄氏代読)〕

 本日は、全国町村会の黒澤会長が主催者側におられますので、私から全国町村会長の祝辞を代読させていただきます。
 本日ここに、全山村振興連盟の通常総会が関係者多数のご出席の下に、盛大に開催されておりますことを、心からお慶びを申し上げます。
 私ども全国町村会は、全国市町村林野振興対策協議会を組織し、地域林業の振興と山村地域の活性化を目指した活動を行っておりますが、全国山村振興連盟の皆様方から、日頃、格別なご支援とご協力を頂いておりますことを、この席を借りて、厚くお礼を申し上げます。
 さて、山村地域は、近年、基幹産業である農林業の不振、若者の流出による過疎化、高齢化等により地域の活力が著しく低下しており、加えて、放棄森林・耕作放棄地等大変多くなっておりましてこれらの問題に直面していることは、ご承知のとおりでございます。
 一方、森林・山村は、美しく安全な国土・環境の保全、水源の確保、都市住民に対する潤いと安らぎを提供する場として国民共通の財産であり、国民の森林への期待と関心は、一層高まってきております。このようななかで、私ども町村長は地元山村地域だけではなく、都市住民の要望にも配慮しながら、森林・林業の活性化をはからねばならない時代が到来していると思われます。こうした視点にたつ時、現在、森林を有する市町村が抱えている諸問題を早急に解決するとともに、森林・山村の公益的機能が高度に発揮できるような条件整備が、国家の重要な使命であると考えます。
 さて、昨年12月に国有林野の管理運営を木材生産から公益的機能重視に転換する国有林野事業の抜本的改革がまとめられ、また、それとともに、森林法の一部改正により、市町村が森林整備の推進に主導的な役割を果たしていく方向がうちだされておりますが、森林の荒廃をこれ以上招くことのないよう関係者の連携と協力が、今強力に求められていると思います。
 私どもは今後とも、山村振興法を中心とした関連施策の拡充・強化を強く政府に申し入れて参りますとともに、全国山村振興連盟の皆様方と力を合わせ、山村地域の振興、発展に、鋭意取り組んでいきたいと考えております。
 終わりに臨み、本日の総会を契機に、全国山村振興連盟がますます組織を強化され、山村地域の活性化のため、積極的な活動を展開されることを心からご期待申し上げまして、お祝いのご挨拶といたします。



戻る/ 次へ