U ゆとりすとカントリー「おおとよ」 高知県大豊町長 岩ア憲郎 私の町は四国のど真ん中、徳島県、愛媛県、高知県の県境の接する地点にあり、面積は320q2、昭和30年に4村が合併して、当時は22,000人の人口が先の国勢調査では4,720人と、半世紀の間に人口が約20%という状況になってきています。同じく過疎化に伴い高齢化も進み、現在、高齢者の割合が53%で、約5千人の平均年齢は61歳となっています。 本日事例報告の機会を与えられましたが、皆さんにお示しできるそうした優れた取組はされていないというか自慢できるものがありませんので、林業について一点だけ話をさせていただきたいと思います。 私の町では今、年間10万m3の大型の製材工場を誘致しようということで取り組んでいますが、皆さんご承知のとおり、林業については木材が昭和30年代に自由化に段階的に取り組み39年には完全自由化ということで、以来半世紀近くが経過しました。 その中で国内対策ということでいろんな施策が採られてきましたが、木材の価格は皆さんご承知のように下がる一方です。そして、現在、国際的な商品としては1m3当たり100ドルと言われていますが、山村で1m3当たり100ドルで林業ができるでしょうか。山で林業ができる、魅力的な林業を可能にする木材の価格が、皆さんの地域でも私の地域でも実現していない。半世紀にわたりいろんな施策を講じられきましたし、現在も加速化基金とかいろんな予算が組まれ林業対策が進められていますが、本当に山で魅力的な林業が可能となる木材の価格というものが実現していません。 今までの取り組みというのは、私の一方的な見方かも分かりませんが、国際価格に合わす、そのしわ寄せが山元に一方的に押しつけられた。その結果として、現在、我々の地域、皆さんの地域の林業の置かれている現状があると思います。私は、国内対策として、林業再生プランとかいろいろ行われていますが、やはり、ここで考え方というか施策の根本を転換して、国際価格に合わせる林業ではなく、魅力的な林業を可能とする木材価格を基本に施策を考えることが必要ではないかと思います。この両方の考え方、やることは一緒かもしれませんが、私は山で木をいくらの価格にすれば皆が林業に取り組めるか、それを基本にして施策を考えていくべきではないかと考えています。そうした点を皆さん方に訴えさせていただき、そして危機感をもって共にこの林業に取り組んでいきたいと思います。 私の町には資源としては、考えて見ますと森しかありません。9割が森林でそのうち9割が民有林でその7割が人口林となっています。17,000haの山のうち50年を超えた森林が80%近くあります。資源を活かしきれていないのが今の山、山村の現実だと思います。ですから、私は皆さん方もそういう視点で、これからいろんな面で発言もしていただきたいと思います。「山で魅力的な林業ができる木材の価格」これを基本に考える。ですから、国際商品である木材の国際価格と山で魅力的な林業ができる価格との差額をしっかりと補完する政策が必要だと思います。それなくして、林業、山村の再生はあり得ないと思います。 どうか、皆さん方にもそういう視点に立って考えていただければと思います。共に危機感を持ちながら林業に取り組んでいければと思います。 私の町、過疎、高齢化が進んでいますが、一点だけ皆さんのお役に立てるかも分からないことがあります。それはどういうことかといいますと、中国地方のある過疎山村の皆さんが私の町に視察に来、帰る時に言われたことが「ここで頑張っているのだから、我々も頑張らなければ」、というふうに実感として感じて帰られました。 もし、やる気を失ったり、意気消沈する方がいましたら、是非大豊町へお出でいただければと思います。 |