政府は、7月21日「平成19年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」(いわゆる)概算要求基準)を閣議了解として決定した。
 これによると、平成19年度予算概算要求については、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定。以下「基本方針2006」という。)で示された今後5年間の新たな改革に向けた出発点となる重要な予算であり、これまでの財政健全化の努力を今後とも継続していく。このため、引き続き歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、歳出の抑制と所管を越えた予算配分の重点化・効率化を実施する、とされている。
 このような基本的考え方を踏まえ、平成19年度予算概算要求について具体的な措置が盛り込まれているが、その概要は次のとおりとなっている。

1.

各省庁は、各所管ごとに、以下の(1)、(3)@及びAに規定する額並びに(2)@、(3)C  及び(4)@に規定する要望の上限額の範囲内において、適正に積算を行い、要求・要望を行う。

(1)

年金・医療等に係る経費
補充費途として指定されている経費等のうち、年金、医療等に係る経費(以下「年金・医療等に係る経費」という。)については、高齢化等に伴う増加等から各般にわたる制度・施策の見直しによる削減・合理化を図り、その増(各所管計5,500億円)を前年度当初予算における年金・医療等に係る経費に相当する額に加算した額の範囲内において、各所管ごとに、要求する。

(2)

公共事業関係費
@公共事業関係費に係る予算措置の総額については、前年度当初予算における公共事業関係費に相当する額に100分の97を乗じた額の範囲内に抑制する。
公共事業関係費に係る各省庁の要望については、各所管ごとに、前年度当初予算における公共事業関係費に相当する額に100分の97を乗じた額(以下「要望基礎額」という。)を算出した上で、当該要望基礎額に100分の120を乗じた額を上限とする。

(3)

その他の経費

@

人件費
人件費については、「行革推進法」、「基本方針2006」等を踏まえ、各所管ごとに、前年度当初予算における人件費に相当する額に、給与構造改革の効果を反映しつつ、平年度化等の増減を加減算するとともに、「国の行政機関の定員の純減について」(平成18年6月30日閣議決定)における重点事項別の純減目標数を踏まえた人件費の減(要求の時点で盛り込むことが困難な配置転換等を伴う純減分は除く。)を減算した額の範囲内において要求する。
総人件費改革の内容については、要求の時点では盛り込まれなかった事項を含め、予算編成過程において、着実に実現する。

A

義務的経費

以下の(i)ないし(iv)に掲げる経費(以下「義務的経費」という。)については、各所管ごとに、前年度当初予算における各経費の合計額に相当する額の範囲内において、要求する。
(i)補充費途として指定されている経費
(iv)予備費及び産業投資特別会計へ繰入に要する経費

義務的経費については、制度の根元にまで踏み込んだ抜本的見直しを行い、歳出の抑制を図る。

B

その他経費
その他の経費のうち、人件費及び義務的経費を除く経費(以下「その他経費」という。)に係る予算措置の総額については、各経費ごとに以下の額を上限として縮減を図る。

その他
前年度当初予算における(3)Bイ科学技術振興費、ロ国立大学法人運営費、ハ私立学校助成費、ニ防衛関係費に規定する経費以外の経費に相当する額に100分の97を乗じた額

C

その他経費に係る各省庁の要望については、各所管ごとに、以下のイ、ロ及びハにより算出される額の合計額(以下(3)Cにおいて「要望基礎額」という。)を算出した上で、当該要望基礎額に100分の120を乗じた額を上限とする。

前年度当初予算における(3)Bイ科学技術振興費の経費に相当する額

前年度当初予算における(3)Bロ国立大学法人運営費、ハ私立学校助成費、ニ防衛関係費の経費に相当する額に100分の99を乗じた額

前年度当初予算における(3)Bホの経費に相当する額に100分の97を乗じた額

(4)

経済成長戦略推進要望

@

「経済成長戦略大綱」(平成18年7月6日財政・経済一体改革会議)の推進のために経済成長戦略推進要望を行う場合は、(2)@及び(3)Cに規定する公共事業関係費及びその他経費に係る各省庁の要望の上限額に、(2)@及び(3)Cに規定する要望基礎額に100分の2を乗じた額(経済成長戦略推進要望の額が要望基礎額の100分の2に満たない場合は当該額)を加算することができる。
(注)(4)において、「経済成長戦略推進要望」とは、「経済成長戦略大綱」に掲げられたもののうち、新規性の高い事業・技術開発、民間需要の誘発効果の特に高い事業、地域経済の活性化効果の特に高い事業、規制改革等と一体となって構造改革につながる事業、又は高度で先進的な人材育成等生産性向上効果の特に高い事業に必要な経費に係るものとして、各省庁が要望するものをいう。

A

各省庁は、経済成長戦略推進要望の対象となる経費について、その旨を記載した上で要望する。

B

経済成長戦略推進要望については、その内容を「経済成長戦略大綱」に照らし十分に精査し、同大綱を推進し、我が国経済の成長力強化のために真に必要と認められる経費の確保を図る。

(5)

各経費間の要求・要望の調整等

@

(2)@及び(3)Cに規定する公共事業関係費及びその他経費に係る要望基礎額並びに(3)@及びAに規定する人件費及び義務的経費(既存債務の支払いに係る経費を除く。)に係る要求額については、その合計額の範囲内において、各経費間で所要の調整をすることができる。

A

この場合の公共事業関係費及びその他経費に係る各省庁の要望額は、(5)@の調整を行う前の要望基礎額に100分の120を乗じた額((4)@による場合は、(5)@の調整を行う前の要望基礎額を用いて(4)@により算出した額)に、当該調整に係る額を加減算した額を上限とする。

(6)

予算配分の重点化促進のための加算
所管を越えた予算配分の重点化を促進するため、各省庁の要望を踏まえ、予算編成過程において、総額500億円の範囲内で、上記に規定する予算措置の総額の上限に加算することができる。

(7)

各経費の重点化・効率化
「基本方針2006」を踏まえ、従来にも増して、歳出全体の徹底した洗い直しを行い、制度・施策の抜本的な見直しや各経費間の優先順位の厳しい選択を行うとともに、予算配分の重点化・効率化を実施することにより、社会経済情勢の変化を踏まえ緊要と考えられる施策等に必要な経費の確保を図る。

2.

要求・要望に当たっては、行政の効率化・簡素化を進め、財源を最大限有効に活用するとの観点から、民間活力の活用による効率化に努めるとともに、公共サービスの合理化・効率化を織り込み、単価を引き下げ、経費を削減する。また、予算執行の状況並びに決算の状況及び審査結果等を適切に反映するなど積算の適正化、無駄の排除に取り組みつつ、制度・施策の根元にまで踏み込んだ見直しを行うなど、所管の予算を聖域なく抜本的に見直す。更に、「行革推進法」に基づき、事業の仕分け・見直しを行いつつ、行政のスリム化・効率化を一層徹底し、総人件費 改革や特別会計改革、資産・債務改革等について平成19年度予算に適切に反映する。加えて、「行政効率化推進計画」(行政効率化関係省庁連絡会議とりまとめ)を着実に推進する。

(1)

予算の目的・効果等を分かりやすく示すとの観点及び政策評価の精度の向上を図りつつ、評価結果を概算要求に適切に反映するとの観点から、施策等の意図・目的、成果目標、必要性、効率性、有効性等を明らかにする。その際、各省庁は、当該施策等について、執行の結果を把握し、原則として、決算額を施策ごとに把握する。

(7)

補助金等については、「基本方針2006」を踏まえ、全ての施策や事業に関し、国と地方及び官と民の役割分担の見直し、国及び地方を通じた行政のスリム化、更なるコスト効率化等あらゆる観点から、制度改正も含めた聖域なき見直しを徹底し、その整理合理化を一層推進する。このため、

@

地方公共団体に対し交付される国庫補助負担金については、あらゆる施策や事業について、義務的経費に属する国庫補助負担金を含め聖域なく見直しを行い、年金・医療等に係る経費及び国政選挙、国勢調査に必要な経費等を除いた額について、前年度当初予算における額を下回るよう抑制することを目指す。
また、「第2次地方分権推進計画」(平成11年3月26日閣議決定)、「地域再生基本方針」(平成17年4月22日閣議決定)等を踏まえ、地域の自主性・裁量性を拡大する観点から、統合補助金の対象事業の一層の拡充や、省庁の壁を越えた交付金化等の補助金改革を推進する。

A

独立行政法人等への運営費交付金等、公益法人向け補助金等及び特殊法人等への補助金等については、(6)に基づく取組を行い、徹底的な抑制を図る。

(8)

地方公共団体の自主性を尊重し、地方公共団体が実施する事務・事業に対する国の関与を見直し、その廃止・縮減を図ることなどにより、財政資金の効率的使用を図る。
また、地方公共団体の職員数の増加を伴う施策については、厳にこれを抑制する。

3.

国・地方間のバランスを確保しつつ、財政健全化を進めることとし、地方財政については、平成19年度の地方財政計画について所要の地方財政措置を講ずるに当たり、「基  本方針2006」に沿って、国の歳出の徹底した見直しと歩調を合わせつつ、地方団体の自助努力を促していくことを進め、地方公務員人件費、地方単独事業等の徹底した見直しを行うこと等により地方財政計画の歳出規模を引き続き抑制する。このような歳出削減努力等を踏まえ、地方交付税等(一般会計ベース)について、平成18年度の地方交付税の水準、地方の財政収支の状況、国の一般会計予算の状況、地方財源不足に係る最近10年間ほどの国による対応等を踏まえ、適切に対処する。

(資料) 平成19年度一般歳出の概算要求基準の考え方(PDF)

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