林野庁は、「地球温暖化防止吸収源対策の推進のための国民支援に関する研究会」を平成15年4月21日発足、5月15日に第2回、6月25日に第3回を開催して地球温暖化防止吸収源対策の推進のための国民支援について検討した。7月中旬を目途に中間報告を取りまとめることとしている。

これまでの委員の主な発言内容は、次のとおりである。

  
【第2回】

森林を伐採して木材として消費するとCO2として放出されるが、実はその分は森林の吸収によって大気から回収されたものであるから、これを消費しても大気中のCO2はニュートラルに保たれていることの説明が必要。

スウェーデンでは全エネルギーの2割がバイオマスエネルギーで賄われているが、日本の場合、未利用間伐材等の木質資源をバイオマスエネルギーに活用するため、技術開発や搬出を促進するための施策が必要。

森林は放置するのではなく、適切に整備を進めなければ健全に成長しないし、CO2の吸収する力も衰えるということを広く国民に理解していただくことが重要。

現在の財政措置や森林・林業基本計画を支援する制度では森林吸収量が3.9%を大幅に下回ることについて、理解を得ることが国民支援につながるのではないか。

他の政策手段との比較において、森林吸収源対策の即効性・確実性・継続性を強調すべき。また、森林が国民生活に根ざしているという点で、循環型社会の構築に資するものであることも強調すべき。

  
【第3回】

森林整備は温暖化防止だけでなく多面的な機能を持っており重要であることは理解できるが、森林整備で3.9%を確保することについて、費用面でわかりやすく説明することが必要でないか。

森林整備には複数の効果があり、その中で地球温暖化防止効果だけを抜き出すのは難しい問題であるが、3.9%はやらなくてはならないものであり、そこに財源を投入することは必要である。

森林吸収源対策は、複合的な効果で地球温暖化対策に貢献しているという部分を一般の方々にPRしていくことも重要である。

地方で独自課税の動きが見られるが、今後、新たな税制の検討に当たって、吸収源対策の観点から国と地方との役割についての考え方を記述すべきである。

先進諸国の中で、我が国のように森林経営を高水準で保っている国は他にない。将来、森林との共生について、国際的に訴えていくことも念頭に置いた取組をしていただきたい。
【研究会の委員】(敬称略・五十音順)
 五十畑  隆 経済評論家、産経新聞客員論説委員
 佐々木 惠 彦 日本大学生物資源科学部長
 佐 藤 友美子 サントリー不易流行研究所部長
 高 橋   弘 三菱総合研究所研究理事
 安 原  正 (株)サンシャインシティ代表取締役会長
 横 山  彰 中央大学大学院総合政策研究科委員長
 横 山 裕 道 淑徳大学国際コミュニケーション学部人間環境学科教授
 吉 田 弘 正 自治医科大学理事長

  

《前へ》《次へ》