自民党山村振興委員会開催される |
自由民主党山村振興委員会(委員長・上杉光弘参議院議員)が、去る7月25日10時から党本部707号会議室において、多数の衆参両院国会議員の出席の下開催された。 この委員会では、全国山村振興連盟・山村首長からの意見聴取が行われ、黒澤副会長他5人が出席し、意見を述べた。また、14年度末で期限の到来するふるさと林道・農道について関係省からこれまでの措置、今後の方針について説明がなされた。 全国山村振興連盟は、この委員会に別記の要望を配布し、出席町村長は、それぞれ次の様な要望を行った。 |
○群馬県上野村 黒澤村長 | |
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山林経営は、産業として成り立たない状況であり山が荒れ、公益的機能が守れない状況にある。森林整備に国等の公的資金投入することに対する国民の理解は、まだ不十分である一方、森林所有者に管理を訴えてももはや無理である。このような状況の下では国が市町村に対してその預かる国土面積に応じて国土保全税を交付し、市町村が責任を持って国土を管理するということにしなければ方向は見い出せない。 |
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現行の地方交付税の算定は人口中心なので、森林面積も加味して欲しい、山村の国土保全を考慮した算定にしていただきたい。 |
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「ふるさと林道・農道」は、非常に大きな役目をしてきている。制度を継続して欲しい。 |
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就業の場を作ることが大切。我が村では、木工等の職人を一定期間、役場の職員として採用し、技術を習得させるために技術者のところに派遣して取り組んだ。現在は彼を中心に50人余りの職人が木材加工に取り組んでいる。 |
○北海道知内町 脇本町長 | |
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財政調整機能及び財源保障機能を有する地方交付税制度を堅持するとともに、国土保全を担う山村市町村に対する地方交付税を充実していただきたい。 |
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ふるさと林道・農道の15年度以降の継続をお願いする。 |
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国の補助事業は、地方には必要、予算の確保をお願いする。特に新山村振興等農林漁業特別対策の確保を要望する。 |
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緊急地域雇用創出対策は、森林整備、雇用の場の確保に貢献した。本制度の充実強化をお願いする。 |
○石川県鳥越村 板倉村長 | |
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地方交付税のうち普通交付税は13年度の14億円から14年度は13億円に減額した。このような状態が今後も続くとすれば、財政力指数0.14と低い我が村は生き残れない。これ以上の減額はしないようにして欲しい。 |
○宮城県東和町 浅野町長 | |
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山の荒れ方は異常事態である。このまま行くと莫大なお金が必要となる。都市住民と共に山村との共有財産として守っていかなければと考えている。このような視点での施策をお願いする。 |
○兵庫県氷上町 十倉町長 | |
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先月、当町に住んではいないはずのツキノワグマがでたが、過去にはあり得ないことだ。 熊が狂っているのではなくて山が狂っているのだ。山が狂えば、水が狂う、川が狂う、海が狂う。そして人間も動物も狂っていく。是非、山に対する格別の御配慮をお願いする。 |
○鹿児島県霧島町 吉村町長 | |
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都市との交流で、癒しの森を整備している。国有地の伐採跡地を借りて行っているが、国民のための癒しの森を作っているのであるから、無料で貸していただきたい。
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その後、出席国会議員からは、山村市町村に対する力強い激励と山村振興に取り組む決意等が述べられた。 最後に、上杉委員長から本委員会のまとめとして、 |
1) |
ふるさと林道・農道の継続実施は総意である。それを念頭に概算要求のとりまとめに取り組んでいきたい。 |
2) |
黒澤村長の「山は個人では守れない。林業は産業では無くなった。公的資金の投入が必要。」との発言は重みがある。重く受け止めて今後の対応をしていきたい。 |
3) |
地方交付税の補正係数のあり方等について、地方切り捨てにならないようにすること。 特に、地方自治は憲法で保証されているものであり、地方分権の時代においてはさらに重要になっていること。 |
4) |
水質改善の問題について、カルキを投入しなくても飲めるような水にすることが本当の姿である。国民は、ミネラルウォーターは高くても買って飲んでいる。水質改善について、関係省庁において十分協議し、概算要求の中で対応してもらいたい。 |
5) |
国土保全的な税制上の措置について連携会議で検討して欲しい。 |
【山村地域の町村長からの山村振興施策の充実に関する要望】 |
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1. |
山村振興対策を総合的かつ計画的に推進していただきたい。 |
1. |
森林・山村対策、農山漁村対策、国土保全対策等の地方財政措置を充実していただきたい。特に、ふるさと農道・林道緊急整備事業を15年度以降も継続実施していただきたい。 |
1. |
財政調整機能及び財源保障機能を果たす地方交付税制度を堅持し、国土保全を担う山村市町村に対する地方交付税措置を充実していただきたい。 |
1. |
国土保全・環境保全を担う山村市町村に対する新たな財政措置及びその財源としての税制措置(「環境保全税等」(仮称))を講じていただきたい。 |
1. |
二酸化炭素吸収源として大きな役割を担う森林の整備・保全の推進、木材の利用の推進等を国家的課題として大幅に政策の拡充・強化を図るとともに、山村市町村に対する支援を充実していただきたい。 |
1. |
第5期山村振興対策を計画的かつ着実に推進していただきたい。 特に、新山村振興等農林漁業特別対策事業について所要の予算を確保していただきたい。 |
1. |
中山間地域等直接支払い制度、森林整備地域活動支援交付金制度の円滑な推進を図っていただきたい。 |
1. |
山村の道路、情報通信基盤の整備に必要な予算を確保していただきたい。(国道、都道府県道、市町村道等の整備、情報化促進のための施設整備) |
1. |
山村の農業、林業その他の産業を振興するとともに、担い手を確保するための対策を強化していただきたい。(雇用の場の創出を促進するための支援措置の充実強化を含む。) |
1. |
むらづくり維新対策等山村と都市の共生・対流を促進するための対策を充実強化していただきたい。(森林体験学習の推進、ボランティア活動支援を含む。) |
1. |
山村の生活環境の整備を促進するための予算を確保していただきたい。(地方バス路線維持対策、簡易水道の整備、廃棄物処理対策等) |
1. |
山村の医療・保健・福祉対策を充実強化していただきたい。 (へき地診療所の運営、へき地保育所の運営等に対する助成措置) |
1. |
山村の教育・文化を振興するための対策を充実強化していただきたい。 (学校施設整備、文化財の保護等に対する助成措置) |
(山村振興委員会出席者名簿)(敬称略・順不同) 【国会議員】 |
委 員 長 | 上杉 光弘 | 参 議 院 | (宮崎) |
委員長代理 | 松岡 利勝 | 衆 議 院 | (熊本3) |
事務局長 | 日出 英輔 | 参 議 院 | (比例) |
堀之内久男 保利 耕輔 小渕 優子 金田 英行 熊谷 市雄 小泉 龍司 竹下 亘 谷 洋一 西川 京子 細田 博之 山本 有二 山口 俊一 大仁田 厚 太田 豊秋 後藤 博子 中川 義雄 真鍋 賢二 吉田 博美 若林 正俊 |
衆 議 院 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 参 議 院 〃 〃 〃 〃 〃 〃 |
(比例九州) (佐賀3) (群馬5) (北海道7) (比例東北) (埼玉11) (島根2) (兵庫5) (比例九州) (島根1) (高知3) (徳島2) (比例) (福島) (大分) (北海道) (香川) (長野) (長野) |
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吉田 修 | 自民党政調会事務副部長 | ||
花井 幸二 | 自民党政調会 |
【全国山村振興連盟】 |
副 会 長 〃 〃 〃 〃 〃 常務理事 |
脇本 哲也 浅野 敬 黒澤 丈夫 板倉 武雄 十倉 昭三 吉村 久則 米田 博正 |
(北海道知内町長) (宮城県東和町長) (群馬県上野村長) (石川県鳥越村長) (兵庫県氷上町長) (鹿児島県霧島町長) |
【政 府 側】 |
農林水産省 | 農村振興局長、大臣官房高津審議官、農村政策課長、地域振興課長、農地整備課長 |
林 野 庁 | 森林整備部計画課長、森林整備部整備課長 |
国土交通省 | 都市・地域整備局地方整備課長、道路局地方道・環境課地域道路調整室長 |
総 務 省 | 自治行政局地域振興課長、自治財政局調整課長、情報通信政策局地域通信振興課長 |
文部科学省 | 初等中等教育局施設助成課長 |
文 化 庁 | 文化部芸術文化課長 |
厚生労働省 | 職業安定局雇用開発課農山村雇用対策室長 |
経済産業省 | 経済産業政策局立地環境整備課統括地域活性化企画官 |
環 境 省 | 自然環境局自然環境整備課長、自然環境局野生生物課鳥獣保護業務室長 |