平成13年度全国山村振興連盟臨時総会開催される 政府予算要望事項等決議 |
全国山村振興連盟の平成13年度臨時総会は、11月29日(木)午前10時半から東京内幸町のイイノホールにおいて、遠藤農林水産副大臣をはじめ衆参国会議員、政府関係者等の来賓多数が出席のもとに連盟会員、支部事務局員など900名余が参加して盛大に開催された。 以上で議事を終了し、西副会長(徳島県木屋平村長)の閉会の辞及び同副会長の発声により万歳を三唱し、総会を終了した。 |
【保利会長挨拶】 |
![]() 本日は公務ご多端の中、ご来賓として遠藤農林水産副大臣、国会議員の先生方をはじめ多数の方々にご出席をいただき、心から感謝申し上げます。 さて、山村は総人口の数パーセントの人口で、国土の5割、森林の6割を管理し、国土・自然環境の保全、清浄な水や空気の提供、健康増進の場、あるいは青少年の教育鍛練の場の提供など、重要かつ多面的な役割を果たしてきております。しかし、そのような重要な役割を担っている山村の現状は、皆様、ご承知のとおり大変厳しいものがございます。 このような状況を打開し、山村の活力を向上させていくことが喫緊の課題となっております。今年、7月森林・林業基本法が新たに制定をされまして、これに基づいて、このたび、森林・林業基本計画が閣議決定され、森林の有する多面的機能の発揮、林業の持続的かつ健全な発展という基本理念の実現に向けて、総合的かっ計画的に政策が推進されることになりました。また、国際的な課題となっております地球温暖化対策において、森林の二酸化炭素吸収源としての機能が重要視されております。 このような状況を踏まえて、山村にとって極めて重要な森林・林業について、これから思い切った対策が講じられることを期待し、また私どもとしても最大限の努力をしていきたいと決意を新たにしております。 ところで、我が国の経済社会は、現在、景気の後退、財政事情の悪化など厳しい状況にあり、経済財政各般にわたる構造改革の推進が求められており、このようなことが山村地域へどのような影響をもたらすか懸念されるところであります。 私ども全国山村振興連盟といたしましては、山村の果たしている役割の重要性について幅広く関係者、国民の理解を求め、山村の役割、山村地域の状況を十分踏まえて政策が推進されるよう、強力に行動していかなければなりません。 今回の臨時総会においては、平成14年度予算編成等について政府・国会への要望活動について審議決定されることとなっておりますが、私どもの要望事項が貫徹できますよう、ご列席の先生方の格段のお力添えとともに、会員の皆様の力を結集して努力して頑張ってまいりたいと思います。 さらに、今日おいででございます自民党の山村振興特別委員会委員長の上杉先生並びに委員長代理の松岡先生には、一昨日、関係各大臣へ自民党山村振興委員会からの強力な山村振興への申し入れをしていただいていることを、当連盟会長として心から御礼を申し上げますとともに、また遠藤副大臣、農林水産大臣にご尽力をいただいて、日本の山村がすばらしい山村になりますように、お力をおかしいただきますようにお願いを申し上げ、さらにご列席の皆様方の輝かしい活動をお願い申し上げまして、私の会長としてのごあいさつにさせていただきます。 |
【遠藤農林水産副大臣祝辞】 |
![]() 我が国の山林面積は7割、山村地域は5割を占めておるわけで、多くの方々がそこで暮らしを営んでおられるわけであります。日ごろ、皆様方には農林水産行政について本当にご協力いただき、心から御礼を申し上げ、また敬意を表する次第でございます。 先の国会において、先生方のご指導とご支援によりまして、森林・林業基本法が制定され、10月末の閣議において森林・林業の基本計画がまとめられました。これからは本当の意味での山村の振興、いわば都市と豊かさを分かち合えるような、そういう山村地域として、都市との交流、対流を促進しながら、豊かな山村地域の建設に向かってまいりたいと思っております。どうか、今後とも皆様方のご指導とご協力を賜りますよう、心からお願いを申し上げる次第でございます。 さて、大変残念なことでありますが、我が国は世界で19番目、アジアで初のBSE、誰がつけたかわかりませんが狂牛病などという、ひどい病気でありますが、発症国となり、地方の農業経済にも少なからぬ影響を及ぼしていることに対して非常に心を痛め、深刻かつ重大に受けとめております。この上は一刻も早く感染源を突きとめ、感染ルートを明らかにし、さらには監視安全検査体制を徹底的に強化をして、大きく揺らいだ国民の食への不信を払拭すべく全力を尽くしておるところでございます。 さらにまた、予期しておったこととはいえ2頭目が発生いたしました。まことに残念であります。しかし、考えようによっては、最初に出た牛と共通のものもいろいろ発見されております。感染源や感染ルートを追求する上で何らかの手がかりにしていきたいものだなと思っているとろでございます。 いずれにせよ、我が国経済に与えた影響は大でありまして、行政を預かる者としても大変重大な責任を感じておるところでございます。我が国の畜産、牛だけで460万頭おりますが、自給できる飼料は1割も満たしておりません。また我が国の食料は4割が自給できる範囲でありまして、6割は外国に仰いでいるわけであります。いわば我が国の畜産、ひいては農業・食料の危うさというものを感ぜずにはおれません。その意味におきましても、農山村で日々ご努力、ご精進されている皆さん方が日本の農業の危うさに思いをいたしながら、どうやったら打開策があるだろうかということをお考えくださいまして、私どもにご示唆を賜れば大変ありがたいと存じます。 今後とも、ご来賓としてご出席の先生方初め保利連盟会長のご指導を得ながら、本当に農村漁村が豊かさを共有できるような、そういう政策の展開のために一層精励してまいる所存でございますので、よろしくご指導くださいますようお願い申し上げ、ごあいさつといたします。 |
【自由民主党上杉光弘山村振興委員会委員長祝辞】 |
![]() 国家とは何だろうという考え方に立っと、私はこう言わざるを得ない。全国3,300の3分の1を占める市町村が山村にあります。その山村といえども都市部を含めて国家存立の基盤は国土であります。そこに総体の人口の約4%しか住んでいない。しかし、山村の果たしている役割は極めて大きいわけであります。 私は、昨年予算編成とあわせて国独自で多面的な機能国家存立の基盤である国土保全あるいは水資源の涵養、空気の浄化でありますとか、また、災害があれば、これはと感じるけれども、それが終わると忘れてしまう、水や空気というのはそんなものであります。国土というのはそんなものだと私は思うんです。 しかし、そのことを常に私どもは意識して忘れることはありませんが、そのような国土の5割を占める山村が多面的な機能と役割を果たしておるわけでありますから、それについて定性的な評価ではなくて、これを定量的な評価にする、数理学的に、科学的に、これを学術的な面からどのような役割を果たしておるのか、まず都市部に住む人も、山村に住む人も、同じようにこれを理解し、評価し、そしてそこから立ち上がっていくという国のありようというもの、国づくりというものを考えていかなければならない。 これが私の提案をした大きな哲学であり、理念であります。 それを農林水産大臣に取り上げていただきまして、谷津農林水産大臣の名をもって昨年予算編成とあわせて日本学術会議にこれを諮問をいたしまして、今年のこの11月にこれらの方向づけが学術会議で出たわけであります。 そのような意味からすれば、これから定量的な日本学術会議、権威のある日本学術会議が出した1つの答えというものを国民に対するメッセージとして送りながら、我々は山村の振興に立ち上がっていかなければならないわけであります。山村振興法は40年にできました。過疎法ができてから六十数兆円の巨額を投じておりますが、過疎にはまだ歯どめがかかっておりません。農山村の高齢化は他の地域よりも加速的にこれが進んでおります。14万あった集落は、この3年間で5,000がなくなりました。混住化社会も含めて高齢化等で消滅した集落が5,000であります。こういう実態を私どもはよく理解した上に、今後の対応を考えいかなければならない。 もう一つは何かというと、災害危険個所です。一時期20万とも云われたものが22万になり、今、23万カ所の災害危険個所があると調査の結果が出ておるわけであります。 国の長期計画を見れば、その国の明日がわかると言われるように、長期計画は極めて大切であります。山村に関係するものは、例えば治山治水、急傾斜地土砂崩壊であります。海岸には海岸保全の長期計画があります。これらに投ずる財投も含めた年間の財政負担は4兆5,000億であります。このような事実を考えると、我が国は国家存立の基盤である国土に世界一コストのかかる国になってしまった。国民の生命と財産は災害危険個所に示されるように非常に危ないものと隣合わせになっておる。 こうした事実を我々は考えた上で対応しなければならない幾つかの課題があります。それは、私は集落の再編整備であると思います。14万と言われたものが13万5,000になった。この集落をいかに適正に配置して公共的な施設も含めてどう整備していくかは、明日の国づくりの基本だと思う。しかし、それを進めていくためには、集落整備法がありましても、これは義務的なものにはなっていない協力法でありますから何の役にも立たない。私は基本立法として地域基本立法的な集落再編整備としての農山村計画法的なものが必要ではないかという考え方を持つものであります。 そのような考え方を持って、もう一つやらなければならないのは、集落を再編整備、統合して住環境の整備をしても、それだけで定住は促進できません。もう一つ必要なことは所得補償政策であります。生活が厳しい、雇用しようにも雇用のしようがない。山村で生活をする人たちの生活を、都市部に住む人たちと同じようにどう補償してやるかというのは、まさに政治の責任だと私は思っているわけであります。 そのような考え方に立てば、所得補償という政策はどうするのか。中山間地の農業に対して直接支払制度を方向づけしました。これから予算編成を始めますが、山村の森林については全国の約6割です。これについてどうするかというのは、今後の大きな課題でありますが、これにも直接支払制度が必要であります。私は施業別に植林、そして保育に、5、6年かかります。間伐・枝打ち、そして主伐という4段階がありますから、施業別に直接支払制度をすべきだと常に言っておりますけれども、なかなか難しい。 これは面積を中心にした直接支払制度になろうかと思いますが、その方向は必ず出してまいります。 こういうことで農山村の生活を補償する、そこに住んでもらいたい、そういうことをしなければ、我が国の多面的な機能、役割というものは衰退をしていく、機能が退化していく、後退をしていく。そうなったら災害危険個所はもっとふえる。財政負担はもっとふえる。小泉内閣は骨太の財政構造改革や、この予算編成についても言及をいたしておるわけでありますが、それこそ改革でなければならない。これ以上、農山村を衰退させ、これ以上この多面的な機能と役割を後退してはならないわけでありますから、我々はそこに焦点を当てて、今後一生懸命頑張ってまいらなけれぱならない。 今日、役所が来ております。私どもは10月、山村振興委員会を開きまして関係省庁縦割りの弊害をなくすために、あるいは各省庁、関係省庁が協力をして、これらの問題に取り組むために検討協議会の設置を方向づけいたしまして、それが今、動き出したとろであります。楽しみであります。我々は決して皆さんの苦しい実情、あるいは実態というものを知らないわけではない。よく知った上で、これらの方向づけに対して対応してまいりますことを、固く固くお誓い申し上げ、日頃からそうした山村の行政、あるいは森林の事業等に携わる皆さん、ご苦労いただいているわけでありまして、敬意を表しましてごあいさつといたします。 |
【全国町村会会長祝辞】(全国町村会副会長 岡山県和気町長 藤本道生氏代読) |
![]() 本日、ここに全国山村振興連盟の平成13年度臨時総会が関係者多数のご出席のもと盛大に開催されますことは、まことに意義深く、心からお喜びを申し上げます。 貴連盟におかれましては、長年にわたりまして山村地域の振興発展に取り組んでこられました。 そのことに対し、深く敬意を表する次第であります。 私ども全国町村会は、全国市町村林野振興対策協議会を組織いたしまして、地域林業の振興と山村地域の活性化を目指した活動を行っております。全国山村振興連盟の皆様には日頃より格別のご支援をいただいておりますことを、この場をかりまして厚く御礼を申し上げます。 さて、現在、森林は再生産可能な資源である木材の特性や、温暖化防止機能等により大いに注目されております。また、国土保全、水源涵養機能はもとより、都市住民の保健休養の場としても、森林山村の役割はますます重要になっております。 しかしながら、山村地域では、採算性の低下により、適切な管理の行えない森林が拡大し、過疎化、高齢化により、集落の存在、存立が危ぶまれる地域が増加するなど、大変厳しい状況が続いております。このような中で、新たな理念のもとに森林・林業基本法が制定され、その方向づけに沿って、今後の森林・林業施策が具体化されつつあり、私どもは大いに期待いたしておるところでございます。 特に、私ども全国町村会といたしましても、かねてより要望してまいりました林業直接支払制度が、14年度予算におきまして森林整備地域活動支援交付金として概算要求されておりますことは喜ばしい限りでございます。財政力の弱い山村地域の振興を図るためには、今後一層の財政支援と森林整備に対する新たな財源の確保等、国民的支援が必要であります。全国町村会では、都市と農山村が互いに学び合い、日本再生に向けて揺るがない国民的合意をつくり出すことこそ時代の要請であり、都市と農山村の共存を国是とし、そのための町村の役割の重要性と、置かれておる現状について広く国民の理解を得るため、先般、「21世紀の日本にとって農山村がなぜ大切なのか」と題する提言書を取りよとめ、関係要路にお配りし、理解、協力を求めたところであります。私ども山村側は今後も都市と農山村の共存が国民的合意となりますよう、働きかけを行うとともに、地域の振興と発展に鋭意取り組み、貴連盟が9月に開催されましたシンポジウムのテーマにありました「いのち燦めく21世紀の山村の実現」を目指して努力を重ねていく所存でございます。 終わりに臨み、全国山村振興連盟のますますのご発展と、ご参集の皆さん方のご活躍を祈念いたしましてお祝いのごあいさつとさせていただきます。 平成13年11月29日。全国町村会会長山本文男代読。 |
【米田事務局長情勢報告】 |
○14年度予算編成をめぐる状況 6月末に経済財政諮問会議及び閣議において決定された構造改革に関する基本方針が、小泉内閣の基本になっており、平成14年度予算概算要求基準はこれに基づき定められ、各省からはこれにより財務省に要求が行われた。 概算要求基準の内容は、歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、思い切った縮減を行う一方、重点的な配分を実現する。公共事業費、一般政策費の1割削減する一方で、7分野の構造特別要求については、一般政策費の1割相当額の要求を認める。 この概算要求については、自民党山村振興委員会において8月末と10月末関係省庁から説明が行われ、自民党としても、先日各省大臣に申し入れを行うなど、予算獲得に向けた努力をいただいている。 関係省庁からの要求については、従来からの継続に加え幾つかの新規事業も盛り込まれており、当連盟としても会員の総力を挙げて予算の獲得に向けた運動を進めていきたいと考えている。 ○地方交付税をめぐる状況 構造改革に関する基本方針においては、地方交付税の段階補正を見直すことなどが盛り込まれている。総務省を中心として、現在、その具体的な内容が検討されている模様であるが、段階補正の見直しについては、4,000人未満の町村を対象として、平成10年度から13年度までに順次実施されてきておるが、今後さらに大幅な見直しが行われることになるとその影響は大きいものとなるのではないかと思う。 この問題についても予算要求の一環として段階補正の見直し等は行わないよう、運動する必要がある。 ○市町村合併をめぐる状況 このことについても構造改革基本方針において、「目途を立てて速やかな市町村の再編を促す」ということで、政府においては8月末に各省庁の政策を盛り込んだ市町村合併支援プランを決定しており、これを活用し市町村合併を強力に推進するという模様である。連盟としては、これまで「いかなる形であれ市町村合併は強制しないこと」を要望してきているが、引き続きこの立場を堅持していく必要がある。 ○山村市町村に対する新たな財政措置・税制措置の要望 当連盟は、山村市町村の財政力強化の観点から地方交付税の配分について面積要素を重視するよう、長年にわたり要望してきたが、人口要素を配分の原則とする現行の地方交付税の下では、その実現には限界があるという状況にあり、そのことを踏まえて7月の理事会において、現行の地方交付税制度に加え、面積要素を基本とする自主財源確保のための新たな税制・財政措置を講ずるよう要望していくことを決定し、要請活動を行ってきた。 このような中で、現在、環境省においては地球温暖化対策の一環として環境税の検討が進められていると承知しており、また、今回の森林・林業基本計画においても、森林整備のための社会的コスト負担について、国及び地方における環境問題に関連する税、課徴金の活用も検討課題の1つとされている。 このような状況を踏まえ、7月の要望を一部手直し山村市町村に対する新たな財政措置の財源として、例えば環境保全税など新たな税制措置を講ずることを要望していくことが適当ではないかと考えている。 ○平成13年度補正予算 先般13年度の補正予算が成立したが、この中心は、改革先行プログラム関連としての雇用対策費等3兆円の規模になっており、特に山村に関連するものとしては、厚生労働省の緊急地域雇用創出特別交付金3,500億円、これに関連した林野庁の新規就業促進雇用対策事業14億円がある。森林作業員を臨時的に雇用して森林整備を進めることも事業の対象となっており、山村においてはその活用が望まれる。 ○連盟の今年度の事業活動の状況 ・全国山村振興シンポジウムを9月3日・4日山口県下関市において開催し、約350人が参加されて、盛会裏に終了した。地元山口県の関係者あるいは参加いただいた方々に厚くお礼を申し上げる。 ・毎年行っているブロック会議では、関係省庁の担当者の出席も得て、山村振興をめぐる諸問題等について協議が行われたが、今年度はこれと併せて鳥獣害対策情報伝達セミナーを行い、山村の鳥獣害問題についての認識を深めた。 ・農林水産省との共催で行っている「日本のふるさと美しい山村第10回フォトコンテスト」は1,000点を超える応募があり、先日、審査会を開催し、入選作を内定した。 |
◎御出席の国会議員(敬称略) |
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◎代理出席の国会議員(敬称略) |
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◎政府関係等の出席者 |
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◎祝電を寄せられた方 |
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