第36回全国山村振興連盟中国・四国ブロック会議が、7月10日、11日広島県支部(支部長 豊平町長 前田達郎氏)の主催で広島市において連盟会員市町村、支部事務局員その他関係者160余名が出席して盛大に開催された。
会議は、広島県支部事務局長平昭治氏の司会で進められ、盛谷副支部長(口和町長)の開会の挨拶があり、地元広島県支部の前田支部長の挨拶のあと、来賓として出席した農林水産省農村振興局農村政策課課長補佐 鶴園重幸氏、国土交通省都市・地域整備局地方整備課農山漁村係長 近藤泉氏、総務省自治行政局地域振興課事務官 小鍋泰弘氏、広島県農林水産部農業経営総室長 阿部修一氏よりそれぞれ挨拶があった。
ついで、議長に地元広島県支部長 前田達郎氏を選び議事に入った。まず全国山村振興連盟三井常務理事から全国山村振興連盟の活動状況報告並びに最近の山村振興をめぐる中央情勢についての報告が行われた。
次に各県提出議題の審議に入り、それぞれ提出県を代表して提案理由の説明があった。
これに対し農林水産省鶴園課長補佐、国土交通省近藤係長、総務省小鍋事務官からそれぞれの事項について見解の表明があった。
なお、次期開催県については岡山県に決定した。
続いて、現在、山村振興上の大きな問題となっている農林業の鳥獣害対策のあり方を啓発するため、平成13年度に全国山村振興連盟が農林水産省から委託を受けた「人と野生生物が共生する農山漁村地域構築(鳥獣害対策情報伝達セミナー)」が開催され、講師として近畿中国四国農業研究センター 江口祐輔氏の「イノシシによる農作物被害とその対策について」と題しての講演があった。
イノシシの生態、行動またその防除方法等スライド・ビデオ等を交えながらの講演に、参加者は熱心に聞き入っていた。
また、翌日は、豊平町の山村振興事業の視察、並びにイノシシ捕獲用箱わなの提示物等を、関係業者から現物を見ながら説明を受けた。
当日提案された事項は次のとおりである。
〔各県提出議題〕
1.林道・集落道整備に対する施策の充実について(岡山県)
(要旨)
山村地域は農業及び林業生産の場であるとともに、国土の保全、水源涵養、自然環境の保全の場であるが、地形的な条件不利や少子高齢化等により、農地や森林の管理水準が低下している状況である。
このような状況の中、農地や森林の維持管理を行うためには、山林の育成・保護のための林道整備、生活環境の改善のための集落道の整備が必要不可欠である。
このため、過疎債・辺地債の予算枠の拡充、地方交付税等の地方財政措置、更には財源委譲による必要財源の確保を要望する。
2.山村地域社会の振興と公的機能について(愛媛県)
(要旨)
森林は、資源が皆無に等しい我が国にあって、唯一のものと云って過言ではない。
それにもかかわらず、その果たしている役割に対する理解は、特に都市部において極めて乏しい。
ついては、是非、森林が果たしている国土保全力、水源涵養力、酸素供給力、自然界保全力等公的機能を理解願い、それを守り育て管理する『山村』を活性化するため、山村の自助努力と併せた支援を国民的課題として認識願うよう、関係機関への要望を展開するとともに、その応えとして、国・政府においては山村地域振興に繋がる各種事業の推進を早急に実行されることを強く要望する。
3.広葉樹による森づくりについて(徳島県)
(要旨)
自然環境保護(小動物やほたる等)及び水源涵養を図るため、針葉樹の間伐、ボランティアによるけやき、山さくらの植林を行うなど、広葉樹による森づくりに積極的に取り組んでいる。
ついては、自然環境の改善、地球温暖化の防止に向け、今後山村地域において積極的に広葉樹による森づくりを進められるよう要望する。
併せて国に対しては、森づくりに対する柔軟な支援施策を策定されるよう要望する。
4.地域材の需要拡大と林業従事者等支援策の実施について(高知県)
(要旨)
安全で安心できる暮らしや生活の質的向上を重視する方向へと国民意識が変化してきたこと等に伴い、森林の持つ国土保全や水資源の涵養等の公益的機能の発揮に対する期待が一層高まってきている。
また、身近に自然を感じることのできる良好な生活環境の形成や森林とのふれあいの場の提供など保健・文化・教育的利用、さらには二酸化炭素の吸収・固定等の地球温暖化防止機能の重要性が認識されるなど森林に対する要請は多様化・高度化する方向にある。
しかしながら、森林を守り育てた林業は、長期にわたる木材価格の低迷等から採算性が低下し、停滞している。
平成11年度の全国の木材総需要量は約1億立方メートルで、30年前の昭和44年とほぼ同量である。しかし、この中で国産材の占める割合である木材自給率は、昭和44年の49.0%に対し、平成11年は19.2%と外材の占める割合が高くなっている。さらに、スギ立木1立方メートルの山元価格は、昭和55年の22,707円/立方メートルをピークに下落し、平成11年には、8,191円/立方メートルにまで落ち込んでいる。このため、森林所有者の間伐意欲が減退し、森林の持つ公益的機能の低下が心配されるばかりでなく、林業、木材産業を基幹産業としている山村振興地域にとっても極めて危機的な状況となっている。
このような状況のなか、政府においても、緊急間伐5ケ年計画が平成12年度から実施されるなど森林整備を推進するほか、間伐材利用も促進されている。また、山村地域でも、新山村振興等農林漁業特別対策事業の補助事業を導入し、道路事情や労働力の問題など経済活動には不利な条件の中知恵をしぼり、地域材の需要拡大等林業、木材産業の活性化、森林のもつ公益的機能の発揮のための適切な森林整備の推進に日々努めているが、山村の林業、木材産業を取り巻く状況は、依然厳しいものとなっている。
このため、公共施設の建設に地域材を使用する場合の補助の引き上げなどの地域材の需要拡大策や地域の林業、木材産業、森林整備を担う林業従事者等の所得の安定及び定住条件の整備のための支援策のほか、長期的な視野での新たな林業支援策の実施等、特段の配慮を願うものである。
5.山村振興のための財政基盤の充実強化について(広島県)
(要旨)
政府は「聖域なき構造改革」の一環として、地方財政制度の抜本的な改革の検討を進められているが、水源の涵養や国土の保全等、公益的機能を担う山村地域の振興発展は国民的課題であり、山村地域の逼迫した現状からすると法の目的に沿った施策を推進するためには、なお一層の財政基盤の充実強化が必要である。

鳥獣害対策情報伝達セミナー現地視察(イノシシ捕獲用わな)
〈お知らせ〉
月山「水」フォラム2001
― 水・生命・ブナ林 ―
期間
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8月31日(金)
歓迎レセプション
会場:
弓張平
パークプラザ |
9月1日(土)
シンポジウム
会場:
西川町民体育館 |
9月2日(日)
自然体験プログラム |
主催:山形県西川町・山形県
申込み・詳細の紹介は:
『山形県西川町大字海味510
西川町企画開発課 内
月山「水」フォーラム2001事務局』
TEL:0237-74-2111 FAX:0237-74-2601 E-mail:n.kikaku@gassan.co.jp
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