「生活交通確保のための新しい
地方バス補助制度」決まる

   
――国土交通省――

    

 国土交通省は、改正「道路運送法(平成12年5月)」の施行に伴う「生活交通確保のための新しい地方バス補助制度」について検討を進めてきたが、この度その内容を決定し、平成13年5月15日付けで「バス運行対策費補助金交付要綱」等の改正を都道府県知事に通知した。
 新制度の主な改正点は、(1)補助対象事業者を「路線バス事業者で経常欠損等の事業者」から「乗合バス事業者」に改め、(2)補助対象路線を「1日当たりの平均乗車密度、運行回数等が一定の範囲内にある路線」から「広域行政圏都市中心等にアクセスする路線であり、平均乗車密度に運行回数を乗じて得られる1日当たりの輸送量が一定の範囲内にある路線」に改め、(3)補助対象経費を「3/10」から「9/20」に引き上げる等である。

【地方バス補助制度新旧比較】

項  目

地方バス補助制度(旧制度)

地方バス補助御度(新制度)
補  助  率 ・都道府県が事'業者に補助をし、国は都道府県に対して、その1/2を補助。 ・都道府県が事業者に補助をし、国は都道府県に対して、その1/2を補助。
補助対象事業者 ・補助対象事業者は、路線バス事業で経常欠損かつ配当率8%以下の事業者。 ・補助対象事業者は、乗合バス事業者
補助対象路線 ・補助対象路線は、第2種生活路纏(平均乗車密度5人以上15人以下の路線で1日の運行回数が原則として10以下のもの)に係るもの。
・運行系統別の路線競合率が50%以上(平成10年度国庫補助金交付要綱において、第1類事業者及ぴ特殊事業者であった事業者は除く)の路線は除く。
・補助対象路線は、国が定める基準(複数市町村にまたがり、系統キロが10km以上、1日当たりの運行回数が3回以上、1日当たりの輸送量が15〜150人、広域行政圏中心にアクセスしてること)に該当する生活路線。
・広域行政圏中心都市等にアクセスする路線とは以下の路線のことをいう。
運行形態が次に掲げるいずれかの要件を満たすもの
(ア)広域行政圏の中心市町への需要に対応して設定されるもの
(イ)都道府県庁所在地への需要に対応して設定されるもの
(ウ)広域行政圏の中心市町以外の市町村であって、絵合病院等医療機関、学校等の公共施設及ぴ商業施設等が存在するなど、広域行政圏の中心市町に準ずる生活基盤が整備されていると認められるものとして、都道府県知事が指定し、国土交通大臣の承認を受けたものへの需要に対応して設定されるもの
・輸送量とは平均乗車密度に運行回数を乗じて得られる数値とするが、平均乗車密度が5人以下の場合においてはこの運行回数の適正を判断する手段として平均輸送量を1回当たり最低確保すべき平均乗車度(5人:第2種生活路線の最低基準)にて除することにより、標準の運行回教を求め、この標準運行回数(端数切り捨て)として補助することとする。
・運行系統の競合率が50%以上の系統であって、当該競合区間の総輸送量が150人・日を超えるものは、補助対象経費に総キロ程に占める競合区間キロ程割合に応じ補助額をカット。
補助対象経費の額 ・補助対象経費の額(キロ当たり補助単価×実車走行キロ)は、補助対象経常費用と経常収益の差額(補助対象系統ごと)。
・補助対象経常費用は、事業者のキロ当たり経常費用と地域キロ当たり標準経常費用のどちらか少ない額。
ただし、事業者のキロ当たり経常費用が全国キロ当たり標準経常費用より少ない場合は、全国と地域キロ当たり標準経常費用のどちらか少ない方の額から事業者のキロ当たり経常費用の差額の10%がインセンティブとしてキロ当たり経常費用に加算される.
・補助対象経費の額は、経常費用の3/10を限度とする。
・市町村の負担は、経常収益が経常費用の7/10に満たない路線について、経常費用の3/20を限度として負担する。
・市街地カットは、当該運行系統が人口15万人以上の都市にその一部又は全部が含まれる場合における補助対象経費は、次の計算式から計算して得られた額の合計額とする。
市街地率に係る係数は、市街地率が20%未満の系統は1.0、同20%以上50%未満の系統は0.75、同50%以上の系統は0.5とする。
補助対象経費の額×市街地率×市街地率に係る係数
・補助対象経費の額(キロ当たり補助単価×実車走行キロ)は、補助対象経常費用と経常収益の差額(補助対象系統ごと)。
・補助対象経常費用は、事業者のキロ当たり経常費用と地域キロ当たり標準経常費用のどちらか少ない額。
・補助対象経費の額は、経常費用の9/20を限度とする。
経営改善査定制度 ・経営改善制度は、補助対象期間の路線バス事業の経常収支率が平均経常収支率に満たない事業者(経営収支率が前年度より2%以上改善している事業者及び退職金の増加等特殊事情によって経常収支率が悪化した事業者は除く)については、平均経常収支率と事業者の収支率との差分の率で2%を限度に補助金額を減額する。ただし、1年目に適用を受ける場合の減額は、その率を1/2とする。
・平均経常収支率は、補助対象期間の1年間における第2種生活路線に係る全ての補助対象事業者の路線バス事業に係る経常収支率の平均値。
・競争のインセンティブと透明性が担保された方法で運行事業者を決定する.
・地域協議会において情報を開示しつつ一定の要件の下で最も少ない補助金で進行可能な事業を決定する。複数年単位で事業者を決定するば合においては、2年目以降については、前年度の補助額限度とする等により収支改善努力を促す。
車両購入費補助 ・補助対象車両は、第2種生活路線を運行している車両であって、車令が5年以上の車両の代替購入車両。
車両の種別
大型車………長さ9m以上又は乗車定員61以上
中・小型車…大型車両以外
低床車………地上から車両の床面までの地上高が65cm以下の車両であってノンステップ型又はワンステップ型スロープ付き車両
補助頷は、以下の額もしくは実費購入費から残存価格として10%を控除した額のいずれか少ない額。
大型車………800万円
中・小型車…950万円
低床車………1,500万円
・補助対象車両は、生活路線の運行の用に共する車両
車両の種別
大型車………長さ9m以上又は乗車定員61以上
中・小型車…大型車両以外
低床車………地上から車両の床面までの地上言が65cm以下の車両であってノンステップ型又はワンステップ型スロープもしくはリフト付き車両
補助額は、以下の額もしくは実費購入費から残存価格として10%を控除した額のいずれか少ない額。
大型車………800万円
中・小型車…950万円
低床車………1,500万円
特別指定生活路線 ・特別指定生活路線は、第2種生活路線又は第3種生活路線の要件を満たしたバス路線又はこれに関連する路線であって、知事が一定期間地域住民の生活上必要であると認めるとともに次に掲げるような先駆的な取り粗みであると認めて指定したもの。
(イ)他の行政目的等により運行されているバスから路線バスに一元化を図るもの。
(ロ)路線の再編成により運行の効率化を図るもの。
(ハ)路線の再編の計画があり、地域協議会で指定をうけたもの。
・補助対象事業者は、路線バス事業者(一般乗合旅客自動車運送事業を経営する者であって、補助金の交付を受けようとする会計年度の9月30日を末日とする1年間において路線バス事業で経常利益を生じていない者でかつ資本金の8%を超える利益の配当をしていない者)、及び市町村とする。
・補助の対象は、以下のとおり。
(イ)特別指定生活路線の運行費とし、既存2・3種の前年度の経常損益額又は1路線650万円と比較し、いずれか低い方の額を限度とする.
(ロ)特別指定生活路線として運行するために必要な車両購入費とし、中・小型(注)1両当たり950万円、低床型車両(注)にあっては、1,500万円(いずれも消費税を徐く。)又は実車両購入から10%を控除した額(消費税を徐く。)と比較し、いずれか低い方の額を限度とする。
  注)中 型:長さ7.1m〜8.9m又は
        定員30人〜60人
  小 型:長さ7.Om以下又は定員29人以下
  低床型:地上から車両の床面までの
      地上応が65cm以下の車両で
      あって、ノンステップ型又は
      ワンステップ型スロープ付き
      車両
・補助を行う条件は、以下のとおり.
(イ)運行費
補助金の交付を受けようとする会計年度の4月1日から9月30日までの間に特別指定生活路線として運行を用始したものについて、運行を開始した日から当該会計年度の3月31日まで(補助対象期間)の運行分に対して補助を行う。
(ロ)車両購入費
特別指定生活路纏として都道府県知事の指定を受けた路線に供する車両であること。
・国庫補助金の交付額は、「都道府県が交付する補助金の交付額」及ぴ「これと協調して市町村が交付する補助金の交付額の合計額」の1/2に相当する額以内とする。
・特別指定生活路線は、第2種生活路線又は第3種生活路線の要件を満たしたバス路線又はこれに関連する路線であって、知事が一定期間地域住民の生活上必要であると認めるとともに次に掲げるような先駆的な取り組みであると認めて指定したもの。
(イ)他の行政目的等により運行されているバスから路線バスに一元化を図るもの。
(ロ)路線の再編成により運行の効率化を図るもの。
(ハ)路線の再編の計画があり、地域協議会で指定をうけたもの
・補助対象事業者は、乗合バス事業者及ぴ市町村とする。
・補助の対象は、以下のとおり.
(イ)特別指定生活路線の運行費とし、既存2・3種の前年度の補助対象費用と運行収益との差額又は1路線650万円と比較し、いずれか低い方の額を限度とする.
(ロ)特別指定生活路線として運行するために必要な車両鰭入費とし、中・小型(注)1両当たり950万円、低床型車両(注)にあっては、1,500万円(いずれも消費税を像く。)又は実車両購入費から10%を控除した額(消費税を除く。)と比較し、いずれか低い方の額を限度とする。
  注)中型:長さ7.1m〜8.9m又は
       定員30人〜60人
    小型:長さ7.Om以下又は
       定員29人以下
    低床型:地上から車両の床面までの
        地上高が65cm以下の車両で
        あって、ノンステップ型又は
        ワンステップ型スロープ
        もしくはリフト付き車両
・補助を行う条件は、以下のとおり.
(イ)運行費
(1)禰助金の交付を受けようとする会計年度の前年度の10月1日から当該会計年度の9月30日までの間に運行を開始した日から1年間を限度に当該会計年度の3月31日までの期間をいう。ただし、地域協議において当該会計年度の前年度の3月31日までに路線の運行計画に係る協議を終了した特別指定生活路線においては、当該会計年度の4月2日以降に当該路線の運行を開始した場合にあっては、当該会計年度の4月1日から運行を開始したものとみなし、補助を行う。
(2)補助金の交付を受けようとする会計年度の前年度の4月2日から9月30日までに特別指定生活路線として指定受け運行を開始した路線であって、運行を開始した日から1年間の運行が、補助金の交付を受けようとする会計年度を跨ぐ場合においては、当該年度の4月1日から運行を開始した日より1年間を満了する日までの運行費に対して補助を行う。
(ロ)車両購入費
特別指定生活路線として都道府県知事の指定を受けた路線に供する車両であること.
・国庫補助金の交付額は、「都道府県が交付する補助金の交付額」及ぴ「これと協調して市町村が交付する補助金の交付額の合計額」の1/2に相当する額以内とする。

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