森林・山村対策に関する懇談会開催される

 全国山村振興連盟では、従来から山村の財政問題について調査研究を行ってきたが、今年度は、この一環として去る2月24日全国町村会館2階会議室において、平成12年度の地方財政措置についての「森林・山村対策に関する懇談会」を開催した。
 懇談会は、自治省財政局椎川調整室長を招き、連盟側からは、黒澤会長代行、町村長副会長ほか理事、事務局が出席し、約2時間にわたり有意義な懇談が行われた。
 はじめに、椎別室長から平成12年度の地方財政計画の概要及び農山漁村関連施策の推進について次のように説明されたのち、出席者から質問、要望、意見等が述べられた。
   

【椎川調整室長の説明概要】


 現在、国家財政、地方財政はともに赤字を抱えており、これにどう対処するかと言うことが議論されているが、当面は景気を立て直して早く回復軌道に乗せることによって、税収を確保し、しかるべき後に財政構造改革をもう一度立ち上げて行こうとしている。このような状況の中で地方財政計画の作成に当たっては、最近における地方自治体の借入金残高の大きさ・住民の高齢化等の状況からも、地方財政再建の道のりはかなり長期を要すると考えなければならず、これまで地方単独事業で相当の社会資本整備をやってきたが、これにより地方債の残高が累増したことなどを念頭において、財政再建に取組んで行く必要があることを十分考慮しなければならない。
 このような考え方のもとに平成12年度の地方財政計画は、抑制すべきところは抑制し、施策的に必要なものは計上するということで作成した。
 また、地方財政計画並びに地方税法、地方交付税法の国会審議は、予算と同様に2月末には衆議院を通過し3月末までには決定されると思われるので、計画通りの交付税の執行が出来るとの見通しである。
 概要としては、地方財政計画の規模は、88兆9,300億円と国家財政の規模と概ね同様であるが、国の伸び率3.8%に対してO.5%の伸びと伸び率は少なくなっている。
これは地方一般歳出がマイナスO.9%になったこと、地方単独事業の規模是正を行ったことによる。ただし、地方単独事業は事業実績が約17兆円でありこれを勘案して是正したものであり、実績対比では十分な額を確保している。従って一般財源比率は65.2%と前年より上がっており、地方債依存度は12.5%下がっているということで、個々の地方団体の財政運営にとってこれ以上は借金が増えないように計画を組んでいる。
 財源不足であるが、平成12年度は、景気の低迷による税収減等の通常収支の不足の補てん9兆8千億円、恒久的減税の実施による減収の補てん3兆5千億円となった。
 この結果、交付税特別会計借入金残高は38兆円と大変厳しい状況となっている。農山漁村関連施策については、実績の上がっていない事業については規模是正をしたが、その他の事業については前年度並みあるいは前年度を上回る計上額を確保している。総額9,130億円程度と前年度に比べて370億円程度増額(前年度比104.2%)となっているが、この中で農道・林道は実績を勘案して規模是正する一方、農山漁村ふるさと事業は、ウルグアイ対策のソフト事業であり最終年度であるが720億円程度と前年度に比べて170億円程度を増額し、農山漁村対策のソフト事業を240億円程度と前年度に比べて120億円程度増額している。
 この最も大きな事由は、平成12年度から農林水産省が制度化し、予算化した中山間地域等直接支払交付金330億円に対応する地方自治体負担分として、農山漁村対策で120億円程度(特別交付税対応)、農山漁村ふるさと事業で210億円程度(普通交付税対応・上記170億円程度に前年度同額の550億円程度の一部40億円程度を充当することによるもの)合わせて330億円程度の地方財政措置を組み込み中山間地域等直接支払制度創設に対処することとしたことである。
 森林・山村対策については、ソフト事業として森林の適正な管理、森林整備のための担い手対策として前年度と同額の540億円程度を措置するとともに、12年度から新たに地域材の利用促進対策として420億円が措置された。
 なお、ハード事業については、保全すべき森林の公有化として前年度と同額の460億円が措置された。(国土保全対策の再掲)
国土保全対策については、前年度と同額の1,900億円(ソフト事業600億円、ハード事業1,300億円)が措置された。

  
【懇談の概要】

  • 副会長等から、中山間地域等直接支払制度に対し、地方財政措置として国費と同額が確保されたことは、大いに評価できる。しかし、その対応について市町村が十分理解しているとは言い難い状況にあるので、今後農林水産省とも連絡を密にして現場の実態に即したものとなるようにしていかなければならない。
  • 市町村合併に対する都道府県の方針が、近々出されることになっているが、住民の意見を第一にし、あくまでも合併を強制することがないように要望したい。
  • ごみ処理問題は、市町村の責任として実施しているが、今般のダイオキシン問題に係わる法律は市町村の意見や実態など十分考慮されておらず、市町村は対応に大変苦慮している。既存の焼却施設ではダイオキシン排出量がクリアー出来ず、新設を必要としているが、既存施設の償却、新設経費の負担等問題は山積している。
  • 緊急間伐対策が予算化されたが、1団地(30ha以上)の中に6,7令級が5割以上という条件があるが、飛び地が多いことや植林の時期が一斉でないために、せっかくの制度が活用出来ないので改善を望む。

等活発な意見交換が行われ終了した。
なお、農山漁村関連施策等の概要は、次のとおりである。


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