決  議

 農地・森林の持つ国土保全・環境保全等の役割が益々重視され、この機能を高めて行くことが緊急の課題となっているが、なかでも国土の2分1を占める山村の果たしている公益的・多面的役割をより高度に発揮させるためには、山村振興法に基づく各般の施策を今後一層充実させることにより、山村を持続的に発展させる必要がある。
 しかるに今日、山村地域は、厳しい経済情勢下、若者の流出、高齢化の進行、地域経済活動の停滞などにより、山村自治体財政の逼迫とあいまって、山村地域社会の維持・存立それ自体が懸念される状況にある。
 平成11年度には「食料・農業・農村基本法」の制定、第五期山村振興対策・新山村振興等農林漁業特別対策事業の発足など、山村の振興に結びつく制度の方向づけと施策の進展が図られたところであるが、これらがより具体的に山村地域の活性化に結びつくためには、山村市町村の財政基盤の強化への努力とあいまって、山村に対する個別事業の充実と山村を重視した施策の展開が必要である。
 政府・国会におかれては、このような諸事情を十分御理解いただき、下記事項の実現を図られるよう強く要望する。

1. 第5期山村振興対策の計画的な推進を図ること。
1. 山村振興の基本として、山村社会の健全な維持と国土の保全、水源のかん養等の多面的機能を重視した農業及び林業施策を一層強化すること。
1. 中山間地域等直接支払交付金制度を創設するとともに、新山村振興等農林漁業特別対策事業をはじめとする関連施策の充実を図ること。
1. 山村と都市との交流、生活環境の整備を促進するとともに、地域文化の振興を図ること。
1. 山村の道路・情報等のインフラ整備を強化すること。
1. 山村の医療保健・高齢者福祉対策の充実・強化を図ること。
1. 山村における教育振興対策を強化すること。
1. 地方パス運行維持のための対策を強化すること。
1. 振興山村所在市町村の財政力の強化を図ること。
1. 辺地債及び過疎債を大幅に増額すること。
1. 山村社会の厳しい現状を打開するため、森林・山村対策並びに国土保全対策を一層強化すること。
  
    以上決議する。
      平成11年12月2日
   
             全国山村振興連盟臨時総会

                             



特別決議

 近年、地方分権の推進、少子・高齢化の進展、財政状況の悪化等を背景に、市町村の合併の推進が様々の場で取り上げられている。
 市町村の業務は、近年複雑かつ多様化する状況にあり、市町村の行財政基盤の充実が求められているが、これに対する取組みは、地方分権の趣旨からもそれぞれの市町村がその置かれた諸条件に即して自主的に判断・対処すべきである。
 とりわけ、山村地域の市町村は、その置かれた地理的条件等の制約もあり、合併した場合にその後の経済の発展、住民サービス等の面でより後れをとることが過去の実績からも数多く見受けられる。
 したがって、合併については、関係市町村の自主的判断の尊重がなによりも重要である。
 よって、国及び都道府県は、市町村合併について地域住民の意志を十分尊重するとともに、下記事項に十分留意の上、合併を強制することのないよう強く要望する。



1.合併の類型・パターンを作成する場合には、それぞれの地域の地理的・経済的・文化的その
  他の特質に十分配慮し、町村及び地域住民の意見を取り入れた上で作成すること。
2.市町村合併の強制と結びつくような地方交付税の配分及びこの算定の見直しは絶対に行わ
  ないこと。


以上決議する。
  平成11年12月2日

                             全国山村振興連盟臨時総会


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