農林水産省
農政改革大綱・農政改革プログラムを決定


農林水産省は、昨年12月農政改革大綱・農政改革プログラムを決定し公表した。
 これは、昨年9月答申が出された「食料・農業・農村基本問題調査会」の報告を受けて、新農業基本法制定に先だって農政改革の大綱とプログラムを策定し、この大綱に沿って当面する政策を推進するとともにタイムプログラムを設けて基本法・関係法の改正等を行うこととして、農林水産省が決定したものである。
 大綱及びプログラムの概要は、別紙の通りであるが、特に大綱の「\ 農業・農村の有する多面的機能の十分な発揮、の4中山間地域等への直接支払いの導入等」の記述Сは、平成12年度からの直接支払いの実現に向けた具体的検討、対象地域、対象行為、対象者などが具体的に表現されており、注目すべき内容となっている。

◇直接支払いの導入
 高齢化が進行する中、農業生産条件が不利な地域があることから、耕作放棄地の増加等により公益的機能の低下が特に懸念されている中山間地域等において、耕作放棄の発生を防止し公益的機能を確保するという観点から、既存の政策との整合性を図りつつ、次の枠組みにより、直接支払いの実現に向けた具体的検討を行う。
@対象地域は、特定農山村法等の指定地域のうち、傾斜等により生産条件が不利で、耕作放棄地の発生の懸念の大きい農用地区域の一団の農地とし、指定は、国が示す基準に基づき市町村長が行う。
A 対象行為は、耕作放棄の防止等を内容とする集落協定又は第3セクター等が耕作放棄される農地を引き受ける場合の個別協定に基づき、5年以上継続される農業生産活動等とする。
B対象者は、協定に基づく農業生産活動等を行う農業者等とする。
C単価は、中山間地域等と平地地域との生産条件の格差の範囲内で設定する。
D国と地方公共団体とが共同で、緊密な連携の下で直接支払いを実施する。
E農業収益の向上等により、対象地域での農業生産活動等の継続が可能であると認められるまで実施する。



(農政改革大網・農政改革プログラム公表に当っての農林水産大臣談話)

                            平成10年12月8日
農政改革の推進について
1.
新たな基本法の制定を含む農政改革のあり方については、本年9月に食料・農業・農 村基本問題調査会の答申が総理に提出され、その後、答申を踏まえ、政府・与党・関係団体間で、農政改革の具体化に向けた精力的な議論が行われてまいりました。本日、農林水産省において、農政改革大網を取りまとめ、公表いたしましたが、これは、農政改 革の方向についての政府・与党・関係団体間の講論を集約したものであり、いわば、関係者の政策合意として、今後の政策推進の具体的指針となるものであります。
2.
食料供給力の低下、農村の過疎化・高齢化の進行をはじめとして、我が国農業・農村を取り巻く環境は厳しさを増しております。来たるべき21世紀において、農業・農村の持続的な発展を通じて、国民の安全で豊かな暮らしを確保していくためには、この農 政改革大網に沿って、現行農業基本法に基づく戦後の農政を抜本的に改革し、新たな食料・農業・農村政策として再構築していくことが不可欠であります。
3.
農政改革大網の策定により、農政改革は、「検討」の段階から「推進」の段階に移ることとなります。その際、地域において農政の執行に当たられる地方自治体や農業団体はもちろんのこと、消費者の方々も含めた国民各界各層に、大網に盛り込まれた改革の理念、具体的施策の方向についての御理解をいただき、新たな基本法の策定をはじめとした個別の施策の具体化に御協力をいただくことが必要と考えております。このため、農林水産省においても、農政改革を組織一丸ヒなって積極的に推進する体制を整え、農政改革が国民全体の課題として推進されるよう、万全を斯してまいる所存であります。
4.
もとより、食料・農業・農村政策は国民生活に密着した問題であり、改革の実施に当たっては、国民の声、現場の実態を踏まえて進めていくことが何よりも重要でありま  す。このため、行政手法として、政策内容の定期的な検証・見直し、情報公開と国民の意見の反映等の仕組みを導入し、諸情勢の変化に柔軟に対応できる透明性の高い政策推進を図る考えであります。国民各位におかれましては、我が国の食料・農業・農村間緩への理酵を更に深めていただくとともに、今後とも、農政に対する衝支援、卿協力を賜りますよう、心からお願いする次第であります。







次ページ