全国山村振興連盟の平成27年度通常総会は、11月19日(木)午前10時30分から千代田区隼町のグランドアーク半蔵門4階の富士東において、国会議員、政府関係者、友好団体等の来賓多数の出席のもとに連盟会員、支部事務局員など約430名が出席して盛大に行われた。
会場正面には、「山村振興法の改正を踏まえ、関係省庁連携の下、山村振興対策を総合的かつ計画的に推進すること」、「農山漁村活性化支援プロジェクト交付金、山村活性化支援交付金を増額すること」、「次世代林業基盤づくり交付金の予算を満額確保すること」及び「森林吸収源対策を国・地方で強力に推進するため、新たな税・財政措置を講じること」
のスローガンが掲げられた。
総会は、最初に山野通彦 副会長(岡山県矢掛町長)が「只今から、平成27年度全国山村振興連盟の通常総会を開会致します。本年3月山村振興法が改正され、私ども山村地域の切なる要望を受け止めていただき、大幅な内容の充実が図られました。本日ご出席の国会議員の皆様をはじめ関係の皆様方に改めて心から感謝申し上げます。大変有難うございました。私どもは、山村に期待される使命達成のため、決意を新たにして邁進する所存であります。
この総会においては、改正後の山村振興法を踏まえて、山村振興関連予算・施策が充実強化されるよう、平成28年度予算の編成に向けて、私どもの意思を結集し、政府並びに国会に対して訴えてまいりたいと存じます。本総会が所期の目的を達成できますよう、ご参集の皆様の絶大な協力をお願い致します。」と開会の辞を述べた。
次に、宮腰光寛 会長が開会の挨拶を行い、御来賓の伊東良孝 農林水産副大臣、衆議院議員 金子恭之 先生(自由民主党山村振興特別委員会委員長)、藤原忠彦 全国町村会長(長野県川上村長)からそれぞれ祝辞が述べられた。
続いて、出席された国会議員、政府関係者、友好団体の来賓紹介が行われた。
次に、秋田県東成瀬村の佐々木哲男 村長及び三重県大台町の尾上武義 町長から事例報告が行われた。
なお、報告の内容については、平成28年2月15日号の山村振興情報に掲載します。
竹ア一成 会長代行(熊本県芦北町長)が議長となって議事に入り、次の議案が審議され た。
○ 第1号議案「平成28年度山村振興関連予算・施策に関する要望(案)に関する件」
岸 廣昭事務局長から説明を行い、原案どおり可決された。
○ 第2号議案「決議(案)」
棚野孝夫副会長(北海道白糠町長)から提案され、原案どおり可決された。
以上で議事を終了した。
奥田副会長(和歌山県北山村長)が「本日は、熱心にご審議いただき誠に有難うござい
ました。本日決定された我々の要望を実現するため、強力に運動を展開してまいりたいと 存じます。」との閉会の辞を述べた。山村地域の更なる発展を期して、同副会長の発声に より「頑張ろう」コールを三唱し、総会を終了した。
総会終了後、可決された要望事項について、連盟の町村長副会長が関係省庁及び国会 議員に対し、各支部では地元選出の国会議員等に対しそれぞれ要請活動を行った。
当日の会長挨拶、来賓祝辞、可決された要望書、決議等は以下のとおりとなっている。
【宮腰光寛 会長(衆議院議員) 挨拶】
皆さんお早うございます。当連盟の会長を務めております宮腰でございます。通常総会を開催するにあたり、一言ご挨拶申し上げます。
まず、お忙しい中、全国の山村地域から市町村長さん方をはじめ多数の方のご参加をいただき、ありがとうございます。また、政府からは伊東農林水産副大臣、加藤農林水産大臣政務官、高市総務大臣、さらには金子自民党山村振興特別委員長そして民主党の佐々木隆博先生をはじめ諸先生方には、政務お忙しい中、党派を越えてご出席賜リ、心強く、感謝に耐えません。
さらには、ご来賓として、藤原全国町村会会長や友好団体の皆様方、政府からは、農林水産省、林野庁、総務省、国土交通省など関係省庁からもお越しいただき、かくも盛大に通常総会を開催することができました。 皆様方に対し重ねて御礼申し上げます。
さて、今年は当連盟にとって10年に一度の大事な年でした。
山村振興法は、昭和40年に制定されて以来、10年ごとの延長をみて今日に至っておりますが、今年は、その改正の年であったわけです。
おかげさまで、お集まりの皆さん方の力強い応援と、当連盟の会員をはじめとする先生方や関係省庁のお骨折りを持ちまして、今年3月、改正法案が成立いたしました。
今回の法改正は、単なる延長にとどまらず、新たな法律が制定されたとでも申しましょうか、その内容も大きく充実したところであります。
一つめは、国民全体にとって、多面的・公益的機能を持つ貴重な財産として山村を位置づけ、それを守っているのが人口のわずか3パーセントの山村の住民であること、この山村の振興を図るため、山村住民の生活環境の整備、産業振興、人の定住化等さまざまな施策を講じることが国の責務であることを法律上明確にしたことであります。このことは、誇りを持って山村を守っている山村の住民にとって大きな励ましとなりました。
二つめは、我々が長年訴えてきた山村独自の予算制度が、「山村活性化支援交付金」として実現したことであります。皆様方におかれましてもこの制度を活用して地域活性化に更なるご尽力をいただきたいと思います。
さらには、使いやすい税制の創設や時代にあった配慮事項の追加等、内容が充実された点であります。これから、我々は、この改正法に基づき、力を合わせて山村の振興に取り組んでいかねばなりません。
また、我々の悲願である森林吸収源対策の財源確保にかかる税制の問題があります。昨年の税制改正大綱では、COP21の議論に合わせて制度の検討を行うこととされました。
難しい問題ではありますが、今年は、その実現に向けての大事な年であります。力を合わせて制度化に向けて頑張っていく必要があります。
TPPに関しましては、去る10月5日、大筋合意がなされました。
コメなどの重要5品目に関しては関税撤廃とはならず、牛肉・豚肉を除く4品目においては国家貿易の枠組みを堅持いたしました。
一日も早く現場の懸念や不安を払拭するとともに、中山間地域をはじめとする山村において、六次産業化・地産地消による担い手や地域の収益力の強化など、十分な対策を打っていかねばなりません。与党において、TPP総合対策に関し検討を行っておりますので、政府に対して万全な対策を求めてまいります。
今日、地方創生が叫ばれております。山村振興はその地方創生の核とも言えます。最近は地方への移住の増加など、若者たちの田舎に対する関心が高まっていると言われております。そのような若者が山村に定着して、既存の住民と共存して山村の活性化を図るための施策を総合的に打っていく必要があります。
本日の総会は、皆さんの合意のもと、そのような施策を国に強く要請していくためのものであります。
後ほど説明させますが、要望事項案には、山村の生活環境の整備、各種インフラ整備、創設された「山村活性化支援交付金」や山村におけるハード事業等の充実、森林資源の活用のための大幅な予算の拡充、温室効果ガスの吸収源対策のための森林環境税の創設などを盛り込んでおります。
また、当連盟副会長の東成瀬村、大台町からの事例報告もございます。どうぞ有意義な総会にしていただきたいと存じます。
最後に、ご参集の皆様方のご健勝と全国の山村の振興発展を祈念いたしまして、開会にあたってのご挨拶といたします。
【伊東良孝 農林水産副大臣 挨拶】
皆さんお早うございます。本日、ここに全国山村振興連盟の通常総会が開催されますに当たり、一言お祝いの言葉を申し上げます。本日御列席の皆様方には、日頃より、山村振興行政に対する御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
山村地域は、我が国の国土面積の約5割、森林面積の約6割を占め、農地面積は約2割を占めております。人が居住して営む農林水産業を通じて、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全等の多面的機能の発揮に重要な役割を果たしていりところでございます。
このような山村の多面的な役割は、山村に人々が生活し、そこで営まれる農林業活動を通じて果たされるものであります。これまでの取組により、山村における生活環境等の整備は一定程度進んでまいりましたが、人口減少や高齢化など、依然として山村を取り巻く状況が厳しい中、引き続き、その振興を図ることは我が国全体の発展にとって極めて重要であると考えております。
こうした中で、御承知の通り、平成27年3月31日、第189回通常国会において、「山村振興法の一部を改正する法律」が成立し、今後、10年間、引き続き、山村の振興に取り組むこととされました。
農林水産省といたしましては、今年度創設されました「山村活性化支援交付金」をはじめとして多様な施策を実施するとともに、関係省庁と連携して、地域の実情に配慮したきめ細かな政策を推進しているところであります。
また、先般、TPPが大筋合意いたしました。この国内対策につきましては、森山農水大臣の下、農林水産省職員が一体となって、皆様方に丁寧に説明をさせていただきながら、万全の国内対策の検討をしてまいりたいと考えております。
今後とも、山村の振興に向けまして、これら各種施策の充実を図りつつ、関係予算の確保に全力を上げてまいりますので、皆様方のより一層のご支援、ご協力をお願い申し上げる次第でございます。
結びになりますが、全国山村振興連盟の御発展と、本日御参会の皆様の御健勝とより一層の御活躍をご祈念申し上げまして、私のお祝いの言葉といたします。
【衆議院議員 金子恭之 先生 挨拶(自由民主党山村振興特別委員会委員長)】
皆さんお早うございます。只今ご紹介にあずかりました、自由民主党山村振興特別委員長の金子でございます。
1年この役職を務めさせていただきましたが、働きが
足りないのかもう1年やれということで、再任をして頂
きました。これからも皆様方と一緒に一生懸命頑張っ
てまいりますので、よろしくお願い致します。
司会の方から会員の国会議員を代表してということで
した。宮腰会長そして私の地元 芦北町長の竹ア会長代行の下、前列にお座りの自民、公明、民主、維新の皆さんと共に理事をめさせていただいており、皆様方の仲間でございます。しっかり頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願い致します。
只今、宮腰会長、伊東副大臣から縷々お話がありましたが、昭和40年に山村振興法が議員立法で制定されて以来、生活環境あるいは社会基盤の充実ということでしっかり成果を挙げてきたところであります。今年の3月は、前回改正後の丁度10年の節目ということで、単なる単純延長では駄目である、これまでの経験を活かした中で山村地域の現場の声をしっかりとこの法律の明記していこうということで、役員の方々をはじめ全国の皆さん方の意見を集約していただきながら、何度も何度も協議をしながら原案を作り、そして与野党結束をして最終的には委員長提案ということで成立をみたわけであります。
先ほど宮腰会長からお話がありましたように、期限を10年間延長する、また、基本理念の新設、これは宮腰会長が非常に拘ったところですが、それを明記させていただきました。そして、目的規定とか産業振興、住民福祉の向上に関する規定を充実させていただいたところでございます。
これが単なる法律改正にとどまらないで、それを活かしていただいて、日本を支えていただいている山村地域であるという自覚の下に更なる振興を図っていかなければいけないと思っています。勿論、過疎化、少子・高齢化、鳥獣被害等山村を取り巻く環境は厳しいわけでございますが、この法律に基づいて林業の振興を柱として山村振興をさらに深めてまいりたいと思います。いずれにしましても、必要な予算あるいは税制を確立して山村振興の基盤を確保していくことが必要でございます。
去る9月15日には、山村振興特別委員会を開催しまして、平成28年度山村振興関係予算概算要求の概要につきまして今日お見えいただいている関係府省庁から説明をいただいた上で、先生方あるいは全国山村振興連盟を代表して役員の皆様方に様々な議論を深めて、これからの来年度予算確保に向けての結束を深めたわけであります。
特に「山村活性化支援交付金」というのは、現場の皆様方から是非ソフト事業が必要だからということで、役所も頑張って頑張って新規に確保した7億5千万円でございます。まだまだ、それぞれの市町村において計画を作る手間とかそういったもので躊躇されているところもありますが、既にかなりの市町村から手が挙がっております。来年度は8億円を目指して予算折衝をしているところですので、是非、今日お見えの市町村におかれてもまだ手が挙がっていないところでは、それぞれ都道府県あるいは国において親切丁寧に指導してまいりますので、この交付金を一つの武器にしながらそれぞれの地域の独自性のある活性化策をまとめていただければありがたいと思います。
併せて、森林の整備のための「森林環境税」につきまして、我々も皆様方と共に頑張っていく決意でございます。
最後になりましたが、全国山村振興連盟の皆さん方の益々のご発展と本日ご出席の皆さん方のご健勝をお祈り申し上げまして、私から、今日お集まりの国会議員を代表してのご挨拶とさせていただきます。
【藤原忠彦 全国町村会長 挨拶(長野県川上村長)】
皆さんお早うございます。町村長の皆様方、連日、大変ご苦労様です。昨日は、全国町村長大会が盛大に開催されまして、大変有難うございます。また、昨日特別決議をいただきましたTPPの問題につきましては、あの後、直接、森山農林水産大臣にお会いして、しっかりお伝えしてきました。
それでは、一言ご祝辞を申し上げます。
ただ今、ご紹介頂きました全国町村会長の藤原でご
ざいます。
本日ここに、全国山村振興連盟の平成27年度通常総
会が関係者多数のご出席のもと、盛大に開催されますことを心からお慶び申し上げます。
また、皆様方には、日頃より全国町村会の活動に格別なご支援を頂いており、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。
我が国の山村は、広大な森林と豊かな自然環境を有し、国土の保全、水源のかん養等の多面的機能の発揮に重要な役割を果たしていますが、過疎化・高齢化の進行、森林放置の増加、生活環境の整備が依然として低い水準にあるなど、厳しい状況にあります。
このような中、森林・林業施策の基本的な指針となる次期「森林・林業基本計画」の検討が開始されたところでありますが、政府が最重要課題に掲げる地方創生を実現するためにも、山村の再生は不可欠であります。
このため、全国町村会では、山村の活性化が図られるよう、地域の実情を踏まえた実効性のある基本計画の策定を求めています。
また、人口減少社会を迎える中、山村の維持・発展を図るためには、山村に住民が定着し、地域コミュニティが維持されることが必要であるとともに、山村地域の大部分を占める森林の整備に対する財源の確保は欠かせません。
とりわけ、今年中に結論を得ることとされている森林吸収源対策及び地球温暖化対策に関する財源の確保については、石油石炭税の税率の上乗せ分の使途を森林吸収源対策にも拡大し、その税収の一部を森林面積に応じて町村に譲与することや、森林・林業・山村対策の抜本的強化を図るため、「全国森林環境税」を創設することを重点事項に掲げ、その実現を強力に求めることにしております。
加えて、先日大筋合意に至ったTPP協定については、山村地域の基幹産業である林業への影響を十分確認の上、林業者が意欲と希望を持って取り組めるよう、林業経営基盤の強化など万全の対策を求めてまいります。
また、都市の若者などを中心に起こっている、経済性や効率性だけでは語ることのできない価値を農山村に求める「田園回帰」の動きを確実なものにするためにも、皆さまと力を合わせ、努力を重ねていく所存です。
結びに、貴連盟のますますのご発展と、ご参集の皆様方のご活躍を祈念いたしまして、お祝いのご挨拶といたします。
平成28年度山村振興関連予算・施策に関する要望
山村地域の振興につきましては、日頃から格別の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、近年、山村を取り巻く環境は、道路、情報通信、生活環境等の整備水準が依然として低位な状況にあるほか、耕作放棄地の増大、鳥獣被害の多発に直面する中で、厳しさを増しており、過疎・高齢化の進展により集落機能の衰退が進んでおります。
我が国の山村は、日本人としての精神の原点として我が国を支えてきた力の源であり、水資源、エネルギー資源を守り、国土保全、都市住民へのいこいの場、若者の教育の場の提供等、多面的・公益的機能の発揮に重要な役割を担ってまいりました。このような国民の共有の宝とでも言うべき山村は、国土の約5割にも及んでおり、そこを人口のわずか3パ−セントの住民が守っているわけですが、その山村が崩壊の危機に瀕していると言っても過言ではありません。
このたび、山村振興法が改正され、法律上、上記の多面的、公益的機能がさらに一層明確にされるとともに、その機能を発揮するための山村住民の定住と集落維持の必要性が明記されたところです。山村の活性化、その自立的発展を図っていくことが、一極集中を是正して、まさに地方創生であり、ひいては、我が国全体の発展につながることが再認識されたと言えます。
国におかれては、以上の認識の下に、山村振興を国の重要課題に据えて、下記の事項の実現を図っていただくよう強く要望致します。
記
T 東日本大震災等の復旧・復興等
1.東日本大震災については、関係省庁連携のもと、被害が生じた山村地域における復旧 ・復興対策を早急かつ強力に推進すること。特に原発事故放射性物質の除染等を早急
に行うとともに、放射性物質の影響を大きく受けている特用林産物栽培農家対策に万全 を期すこと。
2.近年、気候変動等により、多発、大規模化している災害に対処するため、国土強靭化 対策を推進し、災害に強い山村づくりに取り組むこと。また、災害発生時の的確な情報
提供システムの整備を図ること。
U 山村振興対策の総合的・計画的推進
1.山村振興計画に基づき、関係省庁の一層の連携強化のもと、山村振興対策を総合的 かつ計画的に推進すること。
2.山村地域における農林水産業等地域の基幹産業の振興、生活環境の向上等を図るた
めの施設の整備等の取り組みに対する助成措置の充実・強化を図るとともに、自立的な 地域活性化を支える人材育成への支援に取り組むこと。
3.山村地域の活性化を図るために不可欠な辺地対策事業債及び過疎対策事業債の十 分な確保を図ること。
4.農山漁村地域活性化対策、森林・林業振興対策に係る地方財政措置の充実・強化を 図ること。
V 多面的・公益的機能の持続的発揮
1.山村の果たしている重要な役割や木の文化について、児童生徒を含め国民一般の理 解を深めるための教育・啓発・普及対策の充実・強化を図ること。
2.森林が二酸化炭素吸収源として大きな役割を担うことを踏まえ、計画的な間伐等の森 林施業とこれと一体的となった森林作業道の開設を直接支援する「森林環境保全直接支 援事業」の充実・強化を図ること。また、森林所有者等による計画的な森林施業が適切 に行われることを確保するため、「森林整備地域活動支援交付金」の充実・強化を図るこ と。
3.国土保全や生活環境整備を図るため、治山、治水及び砂防対策の充実・強化を図るこ と。また、水源のかん養、自然環境の保全等国土保全に資する事業を対象とした「国土 保全対策」に係る地方財政措置の継続を図ること。
4.山村地域に期待される森林吸収源対策、再生可能エネルギー対策を強力に推進する ため、地球温暖化対策のための税の活用、森林環境税の創設等に係る所要の税制措 置を講ずるとともに、地方税財源を確保・充実する制度を創設すること。
5.持続的な林業経営の実現、森林の多面的機能の発揮を図る上で不可欠な地域の森づ くりを主体的に先導する人材の育成確保を図ること。
W 山村地域の活性化
1.山村地域における農林水産業の維持・活性化を図るため、「中山間地域等直接支払交
付金」、「多面的機能支払交付金」及び「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」の充実・ 強化を図ること。
2.農山漁村の地域活性化と地域コミュニティーの再生を図るための「山村活性化支援交
付金」、「都市農村共生・対流総合対策交付金」、「森林・山村多面的機能発揮対策交付
金」及び「農村集落活性化支援事業」の充実・強化を図るとともに使い勝手の良い制度と すること。
3.山村地域における農林水産業の振興、生活環境の向上を図るため、「農山漁村活性化
プロジェクト支援交付金」について、振興山村に対して優先的に予算配分を行うとともに
その充実・強化を図ること。また、「強い農業づくり交付金」の充実・強化を図ること。
4.山村に存する棚田・里山林等の美しい景観の価値を見直し、その保存再生を図ること。
X 産業の振興、地域資源の活用
1.山村地域の発展には、地域資源を活用した産業振興と雇用の場の確保が不可欠であ
り、農林水産業の振興とその6次産業化の推進を図るとともに、森林資源、農地等の土 地資源、優れた環境等を活用した新たな企業立地の対策を充実・強化すること。
2.森林資源を活用した地域振興を図るため、川上から川下に至る一貫した林業、木材産 業の振興対策の拡充強化を図るとともに、地域の自主性を尊重しつつ持続的森林経営、 木材利用促進を行うための「次世代林業基盤づくり交付金」の予算確保を図ること。
3.急傾斜地における架線集材・ヘリ集材を含め、現場の実情に即した間伐などの森林施 業を推進するほか、都道府県代行による林道整備の要件緩和などの路網整備への支援
の充実、施業の低コスト化、再造林対策の強化を図ること。
4.林業・木材産業、農業等山村地域における産業の担い手の育成確保対策の拡充・強 化を図ること。
5.木材価格の安定対策の強化を図るとともに、公共建築物、公共土木分野等における国 産材活用の推進、地域材を活用した鉄骨構造の木骨構造への転換の推進、木質バイ オマスの利用の取組みの促進を図るとともに、地域材の安定的効率的供給体制の確立 や森林認証材の普及を図るため、「新たな木材需要創出総合プロジェクト」等の充実・強 化を図ること。また、住宅部材開発・標準化、木材・木製品の輸出促進等により木材の利
用促進を支援する制度を充実・強化すること。さらに、森林整備加速化・林業再生対策の 予算確保・拡充を図ること。
6.木質バイオマス産業化を促進するための施設整備、システム開発を図ること。また、農
山漁村における再生可能エネルギー導入の促進を図る取組み、発生した電力を適正な
価格で買い取るシステムの構築を図る取り組み等の対策の充実・強化、それらの取組み を地域経済の発展に寄与させる仕組みの導入を図るとともに、再生可能エネルギーでの 発電比率の向上と、発生した電力の送電システムの整備を図ること。
7.特用林産物の振興を図るため、「特用林産振興総合対策事業」の予算確保を図ること 。
Y TPPについて
今回のTPP合意は、山村地域の主要産業である農林業に打撃を与える可能性があり、 山村地域の住民が誇りを持って農林業を営んでいけるよう十分な配慮を行い、山村地域住民が生活を維持できるよう、万全の対策を講じること。
Z 鳥獣被害防止
1.海獣被害を含む鳥獣被害問題については、保護対策に偏ることなく、被害対策とのバ
ランスを図るとともに、被害対策に必要な財源を確保すること。また、「鳥獣被害防止総
合対策」について事業継続、充実・強化することにより、地域ぐるみの総合対策を推進す
るとともに広域的な森林被害等に対応する「シカによる森林被害緊急対策事業」を創設す ること。
2.鳥獣被害防止特別措置法等に基づき、野生鳥獣の生息調査、被害軽減の技術普及を
行うとともに、柔軟な猟期設定を可能とすること。
3.鳥獣被害対策実施隊の設置促進、猟友会等の民間団体の参加促進、林業分野との連
携を促進すること。
4.捕獲鳥獣の加工処理施設、焼却施設の設置促進を図ること。
\ 道路、情報通信基盤の整備
1.山村地域の産業、生活基盤として不可欠な高規格幹線道路、地域高規格道路、一般 国道及び都道府県道の整備、特に、二県以上に跨がる県管理の国道整備は、山村地域 の振興に大きく寄与しているにもかかわらず、冬期閉鎖期間が長期間に及ぶことにより 関係振興山村の発展を大きく阻害しており、こうした県際道路の整備計画を策定の上、 計画的に整備促進を図るとともに市町村道の改良・舗装等、立ち遅れている山村地域の 道路整備を促進すること。また、基幹的な幹線市町村道路の整備の都道府県代行に対 する助成措置を講ずること。
2.道路整備のための財源を十分に確保し、特に、地方における道路財源の充実を図るこ と。
3.携帯電話不通地域の解消、インターネットのブロードバンド接続可能地域の拡大、光フ
ァイバー網の整備等デジタルディバイドの解消を図るための高度情報ネットワークその他 通信体系の充実・強化を図ること。また、地域の実情に即した通信システムの助成を図 るとともに、これら通信網の維持のためのランニングコストの助成を行うこと。
4.ラジオ難聴取地区の解消を図ること。
] 生活環境の整備
1.山村地域住民の生活交通を確保するため、地方バス路線維持、デマンドバスシステム の導入等対策の充実・強化を図ること。
2.山村の簡易水道等施設の整備促進を図ること。
3.山村地域の実情に応じて汚水処理施設の整備促進を図ること。
4.廃棄物処理施設の整備を推進するため、助成措置を講ずること。また、廃棄物処理施 設の解体に対しては、適切な措置を講ずること。
5.消防力の充実を図るため、消防施設等整備に対する助成措置を講ずること。
]T 医療・保健・福祉
1.山村地域の小児科医を含めた医師の確保に万全を期すこと。へき地診療所等の運営 、医療施設・保健衛生施設の整備、医師及び看護師の養成・確保に対する助成措置の 充実 ・強化を図ること。
2.無医地区への定期的な巡回診療、保健師の配置、救急医療用のヘリコプターの拡充を 図ること。
3.へき地保育所の運営、高齢者等の社会福祉施設整備、社会福祉関係職員等の養成・ 確保に対する助成措置の充実・強化を図ること。
4.山村における障がい者施設の整備について、十分な予算の確保を図ること。
5.医療、保健、介護、福祉の充実、高齢者の職場、住居の確保は、その地域に居住する 高齢者のみならず、都市の団塊世代の山村地域への定住に不可欠であり、都市部との 連携の下に、このような観点からの充実・強化を図ること。
]U 教育・文化
1.公立学校施設整備、スクールバス等の購入に対する助成措置を講ずること。
2.寄宿舎居住費等へき地児童生徒に対する助成措置を講ずること。
3.山村地域の文化財の保護等に対する助成措置を講ずることと同時に遺跡発掘体験等
により山村の自然に触れる体験交流活動に対する支援措置を講ずること。
4.地域の伝統文化・芸能の体験等を通じた子供の育成に努めること。
5.教育環境の整備は、都市部からの若者の定住に不可欠であり、その観点からの充実 を図るとともに豊かな自然環境や伝統文化等を有する山村の特性を生かした教育の充 実を図ること。
6.小中学校の統廃合の推進に当たっては、地域活性化の観点に十分配慮すること。
]V 山村地域の自主性の確立
1.財源保障機能及び財源調整機能を果たす地方交付税制度の充実・強化を図り、所要 額を確ること。
2.基準財政需要額の算定に当たっては、山村自治体が人口割合に比べて広い面積を有
し、国土保す保全、地球温暖化防止等に重要な役割を果たしていることを考慮し、面積 要素を重視するなど、山村地域の実情に即したものとすること。
3.独自の発想に基づく山村振興を助長するため、山村地域の自主性を尊重する助成措
置、過疎地における足の確保の為の道路運送法の規制等規制緩和措置等の幅広い 導入を図るとともに木材のストックヤードの整備等地方創生のために必要な事業につい ては、既存の予算で対応できないものについては、ハード事業も地方創生交付金の対象 とすること。
4.償却資産に係る固定資産税は、山村地域の市町村の重要な財源であり、仮に廃止、縮
小されることがあれば山村地域の市町村の財政に多大なる支障を来すことを踏まえ、現 行の課税対象、評価額の最低限度を堅持すること。
5.道州制は絶対に導入しないこと。
決 議
近年、山村を取り巻く環境は、道路、情報通信、生活環境等の整備水準が依然として低位な状況にあるほか、耕作放棄地の増大、鳥獣被害の多発に直面する中で、厳しさを増しており、過疎・高齢化の進展により集落機能の衰退が進んでいる。
我が国の山村は、日本人としての精神の原点として我が国を支えてきた力の源であり、水資源、エネルギー資源を守り、国土保全、都市住民へのいこいの場、若者の教育の場の提供等、多面的・公益的機能の発揮に重要な役割を担ってきた。このような国民の共有の宝とでも言うべき山村は、国土の約5割にも及んでおり、そこを人口のわずか3パ−セントの住民が守っている。
このたび、山村振興法が改正され、多面的、公益的機能がさらに一層明確にされるとともに、その機能を発揮するための山村住民の定住と集落維持の必要性が明確にされたところである。山村の活性化、その自立的発展を図っていくことが、一極集中を是正して、まさに地方創生であり、ひいては、我が国全体の発展につながることが再認識されたと言える。
国においては、以上の認識の下に、山村振興を国の重要課題に据えて、下記の事項の実現を図っていただくよう強く要望する。
記
1.山村振興法の改正を踏まえ、関係省庁の一層の連携強化のもと、山村振興対策を総合 的かつ計画的に推進すること。
1.「山村活性化支援交付金」、「中山間地域等直接支払交付金」、「農山漁村活性化プロジ ェクト支援交付金」等山村地域活性化のための対策の充実・強化を図ること。
1.「次世代林業基盤づくり交付金」の予算を確保するとともに、林業、木材産業振興対策の 充実・強化を図ること。
1.鳥獣被害防止対策の充実・強化を図ること。
1.道路、情報通信基盤の整備を計画的に推進すること。
1.生活交通の確保等生活環境の整備を推進すること。
1.保健・医療・福祉対策の充実・強化を図ること。
1.学校施設整備、児童生徒への援助、体験活動推進等施策の充実・強化を図ること。
1.森林吸収源対策を推進するため、地球温暖化対策のための税の活用、森林環境税の創 設等に係る所要の税制措置を講ずるとともに、地方税財源を確保・充実する制度を創設す ること。
1.地方交付税制度の充実・強化を図り、所要額を確保すること。
1.TPPの合意は山村地域の主要産業である農林業に打撃を与える可能性があり、万全の 対策を講じること。
1.道州制は絶対に導入しないこと。
以上決議する。
平成27年11月19日
全国山村振興連盟通常総会
◎御出席の国会議員(敬称略)
衆議院議員 |
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伊 東 良 孝 |
(北海道) |
武 部 新 |
(北海道) |
稲 津 久 |
(北海道) |
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佐々木 隆 博 |
(北海道) |
松木 けんこう |
(比例北海道) |
宮 腰 光 寛 |
(富山) |
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宮 下 一 郎 |
(長野) |
松 田 直 久 |
(比例東海) |
谷 公 一 |
(兵庫) |
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高 市 早 苗 |
(奈良) |
岸 本 周 平 |
(和歌山) |
あ べ 俊 子 |
(比例中国) |
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小 島 敏 文 |
(比例中国) |
玉 木 雄一郎 |
(香川) |
北 村 誠 吾 |
(長崎) |
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加 藤 寛 治 |
(長崎) |
坂 本 哲 志 |
(熊本) |
金 子 恭 之 |
(熊本) |
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(以上18名) |
参議院議員 |
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山 田 修 治 |
(石川) |
井 原 巧 |
(愛媛) |
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(以上2名) |
◎秘書が出席の国会議員(敬称略)
衆議院議員 |
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中 村 裕 之 |
中 川 郁 子 |
江 渡 聡 徳 |
鈴 木 俊 一 |
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階 猛 |
金 田 勝 年 |
吉 野 正 芳 |
菅 家 一 郎 |
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村 岡 敏 英 |
梶 山 弘 志 |
佐 田 玄一郎 |
小 渕 優 子 |
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井 野 俊 郎 |
井 上 信 治 |
森 英 介 |
中 谷 真 一 |
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長 島 忠 美 |
木 内 均 |
棚 橋 泰 文 |
金 子 一 義 |
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三ツ矢 憲 生 |
田野瀬 太 道 |
石 破 茂 |
細 田 博 之 |
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竹 下 亘 |
加 藤 勝 信 |
岸 田 文 雄 |
亀 井 静 香 |
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岸 信 夫 |
山 本 公 一 |
中 谷 元 |
山 本 有 二 |
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麻 生 太 郎 |
野 田 毅 |
園 田 博 之 |
衛 藤 征士郎 |
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岩 屋 毅 |
保 岡 興 治 |
小 里 泰 弘 |
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(以上39名) |
参議院議員 |
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徳 永 エ リ |
岸 宏 一 |
岩 城 光 英 |
山 本 一 太 |
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大 野 泰 正 |
山 本 順 三 |
馬 場 成 志 |
松 村 祥 史 |
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尾 辻 秀 久 |
野 村 哲 郎 |
小 坂 憲 次 |
前 田 武 志 |
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(以上12名) |
◎政府関係の出席者(敬称略)
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農林水産省 |
農村振興局長 |
末 松 広 行 |
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農村振興局農村政策部長 |
三 浦 正 充 |
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農村振興局農村政策部地域振興課長 |
圓 山 満 久 |
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農村振興局農村政策部鳥獣対策室長 |
秋 葉 一 彦 |
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農村振興局地域振興課課長補佐 |
杉 崎 浩 史 |
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農村振興局地域振興課調整係長 |
国 広 博 昭 |
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林野庁 |
長官 |
今 井 敏 |
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森林整備部森林利用課長 |
赤 堀 聡 之 |
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森林利用課山村振興・緑化推進室長 |
今 泉 裕 治 |
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森林利用課山村振興・緑化推進室課長補佐 |
松 本 康 裕 |
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森林利用課森林環境教育推進官 |
近 藤 美由紀 |
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国土交通省 |
国土政策局地方振興課長 |
織田村 達 |
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国土政策局地方振興課課長補佐 |
藤 澤 貴 充 |
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国土政策局地方振興課交流推進係長 |
横 堀 誠一郎 |
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総務省 |
自治行政局地域力創造グループ地域振興室長 |
須 藤 明 裕 |
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◎友好団体の出席者(敬称略)
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全国過疎地域自立促進連盟専務理事 |
木 寺 久 |
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全国離島振興協議会専務理事 |
小 島 愛之助 |
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全自由民主党政務調査会 |
立 花 賢 士 |
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全国町村議会議長会企画調整部企画係長 |
渡 邉 弘 晃 |
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