平成27年度北海道・東北六県山村振興ブロック会議が、7月29日(水)〜30日(木)の2日間にわたり宮城県支部(支部長 保科郷雄 丸森町長)の主催により、宮城県丸森町「国民宿舎 あぶくま荘」において、各道県の支部長、事務局長、来賓等22名が参加して開催された。

1.開会及び主催者代表挨拶

  開会宣言の後、主催者である保科支部長の挨拶があった。

2.来賓紹介
  来賓として次の者が紹介された。(敬称省略)
    農林水産省農村振興局中山間地域振興課課長補佐  杉崎浩史
    国土交通省国土政策局地方振興課課長補佐  藤澤貴充
    総務省地域力創造グループ地域振興室課長補佐  北村崇史
    林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室課長補佐  松本康裕
    東北農政局整備部地域整備課山村振興係長  小向敦司
    全国山村振興連盟事務局長  岸 廣昭

3.来賓挨拶・山村振興施策行政説明・全国山村振興連盟活動状況報告
 来賓から挨拶及び山村振興施策について次のような説明があった。

 (1)農林水産省
   先般改正された山村振興法についての説明があり、特に、助成措置としての山村活
  性化支援交付金、税制措置の詳細な説明があった。
 (2)国土交通省
   国土交通省の山村振興対策についての説明があり、特に、小さな拠点づくりの意義
  や形成事例等について詳細な説明があった。また、多様な主体による人作り、除排雪
  体制の整備等が説明された。
 (3)総務省
   総務省の山村振興対策について、特に人に着目した対策についての説明があった。
  「地域の元気創造プラン」の支援措置、「移住・交流ガーデン」の開設、移住関連情報
  の提供や相談の支援措置、地域おこし協力隊、集落支援員、企業との人事交流プロ
  グラム、定住自立圏構想、「子ども農山漁村交流プロジェクト」、過疎法による措置等
  についての説明があった。
 (4)林野庁
   林野庁の山村振興対策について、まず、森林資源を活用した山村振興の方向性化
  を進めるとともに、都市と山村のニーズのマッチングを図り、サポーターとして都市を位
  置付けるとともに、森林空間を活用した観光、教育、医療・福祉等のサービスを提供し
  て住民に誇りを持って生活してもらえる対策を講じていく必要があるとして、様々な予算
  措置を講じていくことが説明された。
 (5)東北農政局
   東北農政局からは、山村活性化支援交付金の取り組み状況について、青森県西目
  屋村、山形県の事例についての説明があった。
   その後、青森県支部長から、再生エネルギー活用事例が交付金の対象になるか否
  か、太陽光発電の用地確保に所有者不明の土地の問題が障害となっているのでこの
  対策を行って欲しい旨の発言があり、前者については農水省から持ち帰って検討する
  旨、後 者については、総務省から検討会を設けて検討中との説明があった。
   その後、全国山村振興連盟から活動状況報告が行われた。

4.次期開催地の選定
 次回の開催県として秋田県が選定された。

5 現地研修
(1)蔵の郷土館斎理屋敷
  蔵の郷土館斎理屋敷は、丸森町にある、7代にわたって繁栄した豪商斎藤家の屋敷を
 改装した博物館で、敷地内には往時の住居1棟、蔵6棟、石造の石室の風呂、丸森町の
 新設した建物2棟で構成される。
  斎藤家は、江戸時代後期に始まり、呉服屋から事業を広げ、養蚕、製糸、生糸の輸
 出、味噌・醤油、電気事業等、地域のコンツェルンとして発展してきた。代々当主は斎藤
 理助を名乗ったので、斎理屋敷とよばれている。
  屋敷・蔵を、収蔵品ごと寄贈を受けた丸森町が伝統工芸が体験できる新屋敷を加え蔵
 の郷土館斎理屋敷として1986年開館した。
  よめごの蔵、  なりわいの蔵、  わらべの蔵、  すまいの蔵、  すまいの蔵、  店各みせぐら、の6つの蔵から
 往時の斎藤家の暮らしぶりがうかがえる。
(2)旧筆浦中学校
  東京都出身で、筆浦(ひっぽ)地区にIターンして居住した太田茂樹さんが、廃校となった
 筆浦(ひっぽ)中学校を活用し、地域の子どもからお年寄りまで皆が笑顔になれる場所を
 作りたいと考え、デイサービスの施設を核として、高齢者を支え、宿泊・交流 事業を通し
 て外からの活力を呼び込み、内外の出会い、分かち合い、支え合いを通して「生涯、安
 心して暮らせる」という地域の魅力を高めていこうと考えて「そのつ森」という施設を作っ
 たものである。
  2012年6月に検討が始まり、2014年にNPO法人「そのつ森」に施設の無償貸与が決定
 されるとともに改修がスタートし、2015年6月にデイサービス事業スタート、2015年8月に
 宿泊事業がスタートの予定である。
  施設の改修については、赤い羽根、丸森町からの助成、NPO法人等からの什器等の
 に助成があったものの、「そのつ森」の代表理事の太田氏の大きな個人的負担がなされ
 ている。
  建設にあたっては以下のような多くの問題点が生じ、今後同種の事業を行うにあたっ
 て、国の施策の改善の必要性が訴えられた。
  @ 廃校利用の補助金制度の対象に介護保険事業がないことから国の補助が受けら
   れなかった。A 廃校利用に土木事務所の届出が必要であると途中から判明し、工
   事の二度手間が生じた。
  Aこの種の施設の消防法、建築基準法の規制が厳しく、施設の完全利用が困難であ
   る。
   また、移動の足の確保の支援も必要であることも訴えられた。   



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