自由民主党山村振興特別委員会が、平成26年11月20日午前8時30分から自民党本部704号室において、「山村振興法延長・改正について」を議題として開催された。山田俊男事務局長の司会により議事が進められ、最初に金子恭之委員長の挨拶があり、ついで、中谷 元 全国山村振興連盟会長から挨拶があった。全国山村振興連盟からは、副会長、常務理事が出席した。
 議事に入り、最初に10月23日に開催された山村振興特別委員会において示された委員の主な意見及び全国山村振興連盟から出された要望をまとめたものが説明された。 その内容は、次のとおり。

山村振興法の延長・実現に向けた主な意見要望について
                                     山村振興特別委員会
1 山村振興に関する基本的な考え方について
(1) 山村の現状については、人口減少や高齢化に歯止めがかからず危機的な状況化に
  あり、今後一層特別に振興を図ることが必要であることから、山村振興法の適用期限
  を10年間(平成37年3月31日まで)延長すべき。
(2) 山村は多面的機能という重要な役割を担う国民全体の財産であること、その機能
  は、そこに住む住民が定住し集落機能が維持されることによって発揮されること、山村
  の振興は国全体で取り組むべき重要な課題であることを明確にすべき。
(3) 山村の振興は、これまで格差是正のためのインフラ整備を中心に進めてきたが、そ
  れに加え、住民の定住や集落機能の維持を図ることが重要と課題となっていること等
  を踏まえ、今後の山村振興の目標は、ソフト施策を含む幅広いものとすることが必要。
(4) 現行の山村の定義規定に用いられている「生活文化水準が劣っている」との表現
  は、山村に誤った印象を持たれるので避けるべき。
(5) 山村振興については、対策が必要な区域について効果的に施策の推進を図るべき
  であることから、引き続き旧市町村単位の振興山村の指定を維持することが必要。
(6) 市町村が、山村振興計画を実態に応じて円滑に作成等を進めるため、国、都道府県
  が、必要に応じ、助言を行う仕組みが必要。

2 山村振興に関連する各種施策について

(1) 都市部に先駆けて人口減少が進む中で、当面は「コンパクト+ネットワーク」の拠点
  において、最低限の生活基盤を再編しながら、中長期的には、都会からの移住者等も
  含め、山村で豊かに暮らしていけるようにすることが必要。また、今後、大都市圏から
  U、I、Jターンなどにより、安全、安心、豊かな第2の人生を山村で過ごし、そこで社会
  保障を受けるという形もある。山村でこれからの高齢化社会を支えるといった考え方が
  必要ではないか。
(2) 山村地域に期待される森林吸収源対策を強力に推進するため、森林吸収源対策の
  財源確保にかかる所要の税制措置を講ずべき。
(3) 所得税・法人税について、対象事業の拡充、割増償却制度の導入、取得価額要件の
  引き下げ等、本年度で期限を迎える現行の税制特例措置の拡充・延長を図るべき。
(4) 近年、鳥獣被害が深刻さを増しており、鳥獣被害対策の一層の推進が必要。
(5) 豊かな自然が人間性を育む山村留学・体験により、山村が子供達の育成を支えると
  いう教育面の取組が重要。
(6) 地域に学校がないと子供が育ちにくく定住しづらいことを考えると、学校の統廃合を
  行う際の基準、複式学級に統合する際の基準の緩和や柔軟な対応ができるようにす
  べき。
(7) 定住には上下水道等のインフラ整備は重要。簡易水道については整備が進められ
  てきたが、こらから整備を行う条件の悪いところでは、簡易水道が設置できない地域で
  の各家庭の井戸水・引き水を浄化する支援や、現行制度の補助率の嵩上げなど、普
  及を促進する仕組みが必要。
(8) 太陽光や風力発電については、雇用が期待されず地元に対するメリットがあまりない
  ため、売電益が、地元に還元されるような仕組が必要。
(9) 森林が集約されておらず施業が効率的に実施されないという声があるが、森林の整
  備を進めるため、市町村による公有林化や施業集約化の取組を進めるべき。
(10) 山村の活性化のため、地域資源を生かした山村の創意工夫ある取組を支援するソ
  フト施策を創設すべき。
(11) 山村における農林業等振興のため、振興山村・過疎地域経営改善資金については
  現行制度を継続すべき。
(12) 山村の脆弱な財政状況を考慮し、引き続き、地方債についての配慮を維持すべき。

 ついで、関係各省庁から、これらの意見要望について、現状及び今後の対応方向について説明が行われた後、多面的機能の定量的評価、木材を利用した水素ガス発電、太陽光・水力発電、ICT、農地中間管理機構業務、医療等についても質疑が行われた。
 最後に、山村振興法の延長・改正に向けた骨組みづくりを進めることについて、委員長他役員及び事務局に一任された。
  



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