山村振興法における認定法人制度については、本年3月に行われた法延長・改正に伴い制度の内容が大幅に変更された。
 このことについては、先般開催された山村振興実務研修会の場においても、農林水産省より概要等について説明があったところであるが、認定法人制度に対する支援措置として講じられている税制特例措置及び地方税の不均一課税に対する減収補填措置については、平成18年度末までの時限措置として認められているものである。
 全国山村振興連盟においても、認定法人制度の延長等はもとより、支援措置である税制特例措置及び地方税の不均一課税に対する減収補填措置についても延長等を強く要望してきたところであり、関係する市町村及び第三セクターの担当者には、制度の活用を是非ともお願いしたい。

【ポイント1】 認定法人の対象となる事業体が広がりました。

これまで間伐や農作業の受託等森林・農用地の保全事業を実施している法人が対象でしたが、これからは、地域の農林産物の加工・製造・販売事業、地域間交流事業を実施している
法人も対象となります。

【ポイント2】 法人の認定は市町村が行えるようになりました。

これまで法人がたてる計画については、都道府県の認定が必要でしたが、これからは市町村が認定を行うことができます。

【ポイント3】 機械等の取得に対し、税制特例措置が受けられます。

法人がたてる計画に記載された機械・建物等については、法人税の特別償却の対象となります(通常の償却率に特別償却率が上乗せされることで、法人税の負担が軽減されます)。

【ポイント4】 地方公共団体が認定法人に対し地方税の不均一課税を行った場合、交付税による減収補填措置が受けられます。

法人税の特別償却の適用を受ける機械・建物等について、不動産取得税及び固定資産税の不均一課税を行った場合の減収額については、基準財政収入額となるべき額から控除されます。



(資料1)

保全事業等の内容

「保全事業等」とは、「森林等の保全に必要な事業」と「農林業その他の地域産業の活性化に必要な事業」であり、以下のいずれかの事業を実施している法人が認定法人となることができます。

 T 森林等の保全に必要な事業

1 造林、間伐、保育、作業路の保全、森林の巡視、森林施業に関する研修
  その他森林の保全に関する事業

 ・造林:植林及び更新

 ・間伐:密度調整のための植栽木の抜き伐り

 ・保育:下刈、つる切り、除伐(灌木の除去)、枝打ち等

 ・作業路の保全:作業員等が林内を移動する時の通路の保全、改良

 ・森林の巡視:病虫害、獣害、土砂崩れ、盗伐等の見回り

 ・森林施業に関する研修:上記の作業及び森林計画の樹立等に関する研修

 ・その他森林の保全に関する事業:森林の保全に関する工事(盛土、
  掘削、運土、排水工、崩壊箇所の修復等)、森林に投棄された
  廃棄物の処理、境界測量、収穫調査等


2 農用地の保全に関する事業:農作業の請負(植え付け、収穫作業等の受委
  託等)、作業路・排水路の維持管理、農用地の保全に関する工事(かんが
  い排水工事客土、崩壊箇所の修復等)

3 山腹の保全に関する事業(山腹法面工、崩壊地の緑化工事等)

 U 農林業その他の地域産業の活性化に必要な事業

1 振興山村の区域内において生産された農林産物を原料又は材料とする製造
  又は加工の事業(例:キノコの缶詰、山菜等の漬け物、木工品の製造等

2 振興山村の区域内において生産された農林産物又は上記1に掲げる事業に
  より製造され若しくは加工された製品の販売の事業(例:山菜やキノコの
  販売、上記 加工品の販売等)

3 都市等との地域間交流に関する事業(例:農林業体験、そば打ち体験、
  農林産物の加工体験等)


(資料2)


(資料3)

税制特例措置の概要

認定法人が保全事業等の用に供する機械、建物等を取得した場合、法人税の特別償却の適用を受けることができます(平成19年3月31日までの措置)

  ア 対象となる資産
・・・・保全事業等の用に供する建物及び附属施設の取得価額が2,300万円
・・・・以上のもの、機械及び装置の取得価額が210万円以上のもの

  イ 特別償却率
・・・・建物及びその附属施設:100分の6
・・・・機械及び装置:100分の13

地方税の不均一課税の概要

保全事業等の用に供する機械、建物等で法人税の特別償却の適用を受けたものについて、不動産取得税及び固定資産税の不均一課税措置を行った場合、地方公共団体は減収補填措置を受けることができます(平成19年3月31日までの措置)

【対象となる資産】

1 以下の事業に該当すること。

・・・@ 造林、間伐、保育、作業路の保全、森林の巡視、森林施業に関する
・・・・・研修その他森林の保全に関する事業
・・・A 農用地の保全に関する事業
・・・B 山腹の保全に関する事業
・・・C 振興山村の区域内において生産された農林産物を原料又は材料とす
・・・・・る製造又は加工の事業

2 上記1の事業の用に供する機械・建物等の取得価額の合計が2,900万円
・・・を超える場合、その家屋及び土地の取得に課せられる不動産取得税及び
・・・機械・建物等に課せられる固定資産税について、地方公共団体が不均一
・・・課税を行うこと。

関連補助事業の概要
「元気な地域づくり交付金」のうち「中山間地域等の振興(ソフト事業)」

山村振興法に基づく認定法人等が行う森林・農用地の保全等を対象とした、新事業を創出するモデル的な取組を支援する(平成17年度新規事業)

【対象となる事業内容例】

1 効率的な森林・農用地等の保全(鳥獣被害の防止等)

2 地域特性を生かした特産品開発(未利用資源の活用等)

3 都市と農山漁村の交流(文化芸能、地域資源の発掘・活用等)

4 その他(地域提案メニュー)

【対象となる経費】

・・新事業の企画、マーケティング調査、技術開発、試験実施、人材の確保・
・・育成に必要な経費


(参考)

○ 認定法人数:14法人(平成17年3月)

年度 H4 14
法人数

認定法人名

所在市町村名

認定年月
(株)悠木産業 熊本県阿蘇郡小国町 平成5年1月
(株)只見特産 福島県南会津郡只見町 平成5年2月
(財)ドリーム・クリエーション入広瀬 新潟県魚沼市(旧入広瀬村) 平成5年3月
(財)紀和町ふるさと公社 三重県南牟婁郡紀和町 平成6年3月
(財)三川村農業振興公社 新潟県東蒲原郡阿賀町(旧三川村) 平成6年3月
(有)葉山村ふるさとセンター 高知県高岡郡津野町(旧葉山村) 平成7年1月
(社)大山田農林業公社 三重県伊賀市(旧大山田村) 平成8年5月
(株)トライ・ウッド 大分県日田市(旧上津江村) 平成8年5月
(財)上川村農業振興公社 新潟県東蒲原郡阿賀町(旧上川村) 平成9年7月
(財)守門村農業公社 新潟県魚沼市(旧守門村) 平成9年7月
(財)ウッドピア諸塚 宮崎県東臼杵郡諸塚村 平成10年3月
(社)福栄村農業公社 山口県萩市(旧福栄村) 平成14年8月
(株)とされいほく 高知県長岡郡大豊町 平成14年10月
(財)上平村農業公社 富山県南砺市(旧上平村) 平成14年11月

○ 税制適用実績

認定法人名
実  績
年度 特別償却額(百万円)
(株)只見特産 H6
H7
(財)ドリーム・クリエーション入広瀬 H5
(財)三川村農業振興公社 H5
(有)葉山村ふるさとセンター H6

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