山村振興についての戦略、そして実践、評価までをお話したいと思っています。まず最初に地域活性化のお話をしますと、地域づくりとか地域振興といった場合に、どういうことが重要かといえば、町村の進行計画をたてる段階で、一番にまず重要なのは産業計画です。それは所得を高めることです。ですから山村では、農林業にプラス何をやるかです。これをきちっとしておかないと定住はできません。その次が、生活文化です。これが重要で、当然のことであります。文化というのは、非常に重要なキーワードになってきます。そして最近は環境です。山村振興の目的というのは、最近は人口問題だと思います。そして子供。もう子供の数を見ればその地域の活性化の程度がわかります。大体人口1,000人当たりの出生数を見ていただければわかります。1,000人当たり3人以下のところがかなりあります。これはもうどうなるかというところです。4、5人というところはまあまあのところです。本当をいえば10人から14、5人生まれておれば大体その社会を維持していけます。従って、いろんな定住を考える場合に、子供をどうするかということは、若い者をどうするか、お嫁さんをどうするか、若い者の職場をどうするか、ご婦人の来られる文化をどうするか、環境をどうするか、そのあたりがどうも中心になってくるようです。そして地域活性化というのは、放っておけば、個人でも、集落でも、町村でも、だんだん峠を越して活力が落ちてくるんで、それをどう上げていくかということなんです。これが非常に重要なんですね。ジャンプをする。だから活性化というのはジャンプなんです。一言でいえばジャンプ、現在のシステムをどう変えるか、どうジャンプするか、そのためには具体的な目標を持たなくちゃいけない。そしてキャッチフレーズが必要です。市町村に行って、はぁーっと思うようなキャッチフレーズがあるところは、村、町がまとまっています。 ◎計画作りは地元重視のスペースシャトルで 市町村の振興計画、いろいろとあっちこっちでチェックしているのですけれど、どこへ行っても同じような項目だけ、例えば農業ですと担い手育成、工業ですと工場誘致、商業ですと商業の活性化、大体同じようなものばかり並んでいる。隣近所のを見ながら作っているのでしょう。 そして計画目標を達成するためには、地域の資源を使うという、これが重要だと思うのです。やはり地域のあるものを使わなければならない。資源はもうみんな違うのです。どの村へ行っても違います。 そして計画をたてるのは、住民参画です。参加ではないのです。住民参画で地域資源を使って計画づくりをやるということです。町村の地元の各地域に行きますと、いつも思っていらっしゃるのは自分のところの前の道、周辺の環境、そして田んぼがどうなっているかと、やはり身近なことを考える。これは当たり前なのですね。そこが計画の原点なのです。そしてその中で何とかお嫁さんをもらえるような方法はないかなとか、うちの若い者が帰ってきてここに住めんかなというような発言がぽろぽろ出てきて、それはアイデアではないのです。嘆きですね。しかしそれをアイデアに変えていかなくちゃいかん。これが計画をつくる者の腕なのですね。ここをどうするかが私は問題だろうと思います。 だから地元が一番の先生です。計画のもとになるものが、地元と何回も行ったり来たりのやりとりです。私はそういう意味で、シャトル・サーベーという方法を編み出したんです。スペース・シャトル、行ったり来たりですね。これをやりながら、その間に地元の教育もし、意見も聞き、ですから下から上げ、そしてまた役場全体からおろす。それを何回もやってだんだんジャンプができるのです。それを、一度聞いていいアイデアがないな、これはだめだというのは、過去の計画づくりの手法です。 計画づくりで重要なのは、まず一番目に地元住民です。その次が関係組織、団体で、そういうものの間を行ったり来たりする。だんだんジャンプしてきますね。そして市町村行政、役場の皆さん全員に話を聞く、係りだけではだめです。それから議会の意見を聞いて、それで計画を練り、計画を立てて、これをもう一遍地元へもって行って皆さんの意見を聞く。それを行ったり来たりしながらその中に、これではジャンプしないといけないという意識があれば、それなら、それは何だという形で、実践できるものを計画に盛り込んでいく、だんだんやっていきながら、一つの計画の表として完結していく、そういう形で全体構成を立案していくことが非常に重要だと考えています。 私は、地域づくりを長続きさせようと思えば、地域づくりの理念が必要だと思います。岡山県の鏡野町で、日本のペスタロッチタウン・鏡野とキャッチフレーズを付けています。ペスタロッチは、250年前のスイスの有名な教育者ですが、3H理論で知られています。これはヘッド、ハート、ハンドで、知、徳、体といわれ、この3者があれば、子供はすくすくと育つとされています。実は私は、ヘッドを経済合理性、ハートを生活の文化性、ハンドを健康性とか環境に置き換えてみました。先ほどのジャンプの所得、生活、環境に置き換えてみて、これの調和的な発展が地域活性化につながるのではないかと思っています。 ◎キャッチフレーズはドレッシング これも岡山県ですが、メルヘンの里新庄があります。私が、一番最初に付けたキャッチフレーズです。このことで、特別村民制度とかいろいろなことで全国に知られるようになりました。情報のすばらしさだと思いますが、特別村民制度で数百の受付が1週間でありました。名前というのはいいのをつけておくべきだと思っています。明るい雰囲気ですね。非常にきれいな村になっているし、福祉施設も立派になっている。産業が生き、生活文化があがり、環境面でもすばらしくなってきている。人口は全体的には減ると思いますが、若い人が勤められる産業を整備し、女性から喜ばれる学校とか福祉とかをきちっとやっていけば、ある意味では定住条件の整備ですが。そして、明るい感じのキャッチフレーズがあればいいのではないかと思っています。 次に変わったキャッチフレーズを一つ、岡山県の川上村。ここで漫画文化の里、漫画文化の町川上と付けました。今、吉備漫画美術館が出来ています。富永一朗さんが応援して下さって、年間数万人が入り少しずつ増えています。キャッチフレーズというのは一言でいえば、ドレッシング、地域計画の中に漫画ドレッシングをぱっとかけてみたら美味しく食べられる。メルヘンドレッシングをかけて、そうすると何となくうれしくなるんですね。 「いっきゅうと彩の里・上勝」徳島県上勝町。63年当時ですが、「彩り農業」ということで、お年寄りが木の葉っぱを売って1,000万円の収入をあげていた。キャッチフレーズを「彩り」にするか「いっきゅう」かで半年ぐらい議会で議論した。キャッチフレーズは非常に重要なのです。町の顔ですから。 ◎産業起こしで129人の人口増 上勝町では、地域産業ということでシイタケの菌床工場と商、工業で第3セクターが次々設立されました。若い人を定着させるのには、農、林業だけでは駄目で、工場を入れることが非常に重要だったのです。地域で、このような産業化を進めるときにリーダーシップをとるのは市町村行政だと思います。地域づくりというのは、計画がスタートして、その中で、いいものはどんどんあっちこっちに走ってもらう。そして全体をコーディネイトする人がいて、全体が走るのです。私が最初に上勝町に行ったとき、上勝の皆さんが言ったのは、まあ、10年、20年先に上勝で残るのは竹やぶと役場とお墓だけだとおっしやった。結局重要なのは人口楕成のパランスで、これが大きな課題です。それではそのための戦略はなにかと言えば、やはり若者が定着する産業をおこすことです。上勝町の場合はU夕一ンとIターンを入れる戦略です。シイタケの菌床工場と、第3セクターを次々と作った。計画的にやったわけです。約10年間に50世帯、Uターンが30、Iターンが20、そしてその家族を入れて129人が入ってきた。50歳以下に接ぎ木、添え木をしているわけです。最後にお墓と役場と竹やぶにならないように接ぎ木して、年齢別年齢構成を、U夕一ン、I夕一ンが支えているわけです。山村振興の目的は、人日間題。地域振興の作成は、地元重視のスペース・シヤトルの行ったり来たりで、盛り込む中身ば、所得、文化、環境。そして、キャッチフレーズのドレツシングで美味しくします。実践には計画全体をコーディネイトする人が必要で、いい事業はどんどん走らぜることだと思います。そして評価の最後の決め手は、子供さんの数だと思っています。今日は、私の経験だけのお話を致しましたが、大変長時間にわたりましてご静聴頂きまして大変有り難うございました。 |