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住みよい山村をめざして
(中村)住みよい山村を目指すためのポイントを話し合いたい。 (春名)今、農山村指向が高まりつつあり、それに向けてどういう体制づくりを進めていくかが大きな課題だと思う。東粟倉村では、昭和62年から愛の村創成いうことで村づくりに取り組んでいる。1,500人しかいない村だが、明るい村づくりを進めている。若者の定着を図り、愛の村にふさわしい人、ふるさと、自然を愛する村民性を育てていく。全村を公園のような村にしていくということで日名倉山にベルピール自然公園をつくり、シンボルとして3トンと6トンのベルを設置し、村民の喜び、悲しみに打ち鳴らす、時をつげる。 ベルピール公園には、2人だけの結婚式のできる式場があり、口コミで広がっていって、年間130組位の結婚式が行なわれる。ロケーションに恵まれ展望がすばらしいので、山奥にもかかわらず年間6万人位の人が訪れる。 また、東粟倉村では、理念をもって夢をえがき、その夢に向かって地域ぐるみ村ぐるみで取り組んでいる。 交流で村を活性化させ、地場の本物づくりを展開し、リピート客を確保する。農産物も加工品も買って帰りたいなというものをつくり、経済的に自立していく。そういうことに対して支援する体制がほしい。また、リタイアした健康な方が農地や山を管理する場合、年金の上乗せをするというような発想をしてほしい。 (柳沢)今、いろいろな面で女性の役割り、活動が注視されている。建設省でつくっている「道の駅」であるが、女性達が知恵を絞って地域にある産物を生かしているところほど活気があるという。これは、女性達が、いかに自分の地域に誇りを持って地域の持っているよさを引き出しているかのひとつの表われだと思う。 かつて養蚕を行っていた地域では、蚕室に使っていた2階などは、家族全部が住むスペースよりずっと広いスペースであり、そこが空いている。そこを人を泊められるスペースに改造してはと提案すると、お客さん用のトイレとかお風呂があればいつでもしたいというふうにおっしゃる。 そういう農家の空いている大きなスペースを活用するのに何か補助金などお金の出るような施策がとれないか。 北アルプスの堀金村には、土蔵がたくさんあるのだが、お米は収穫後農協に入れてしまうとこもあって、土蔵がいたんでもお金がかかるので白壁を塗り直したり改修ができないでいる。村の共有財産として土蔵の地図をつくって、改修とか塗りかえに利子のつかないお金を提供する施策をとってほしいと話したことがあるが、日本の風土に対する美の哲学みたいなものを取りもどしてほしいと考えている。 (目瀬)住みよい山村ということで2つの事例をあげる。 新しい部屋をきちっとつくった民宿をつくり都市との交流を図っている大佐町、ここは、棚田があり、高梁川の源流の町である。 人口800人の中和村は、キャッチフレーズをつくり売り出そうとしている。キャッチフレーズの候補として「ウエディング愛ランド」「白雪の里」などが挙がっている。 夢を持たせ、結婚をさせ、若者定住につなげるということで、今、嫁来いプロジェクトを検討している。 (古野)グリーンツーリズムを考える時、都市から人が来る。当然、生活排水もふえるし、ごみ処理、水の処理がふえる。都市の人達は、まさにその環境の美しさ、水のきれいさを求めてくるのだから、農村が、水の面、ごみの面、リサイクルの面で先進的な環境対策をとっていることが、景観もさることながら都市の人達に魅力を感じさせるのではないか。 それぞれの山村が、それぞれの地域の持っている条件を生かして、林業、農業を中心としながらいろんなその地域に適したものを考えて取り組んでいくというのがひとつの方向だと思う。 森を守るために定住する人が定住できるようにするために、デカップリングなり直接支払いという方法を旧村単位ぐらいで、ある程度の基準をつくって考えるべきだ。 教育費、医療費などは都市に住んでいる人より安くあがるような仕組みを取り入れるべきだ。 森林が国土保全、水源として大きな役割を持っており、そこを守る人達の定住が欠かせない、国の税金を使ってよいという根拠はまさにそこにある。 日本にとって大事な環境である森を守るために公的な支援をするという発想は、国民的な理解を得やすいのではないかと思う。 (内山)住みよい山村というのは、まず、そこの山村の価値が発見されるということが大前提にあると思う。では誰が価値を発見するのかというと、交流していく人間達であり、どうやっていろんな交流をつくっていくかが山村の価値の発見につながる。 今まで私達は、産業が発展し、所有がふえ、暮らしやすくなるというふうに考えてきた。しかしこれからは、産業は発展しないかもしれないし、所有もふえないかもしれない。 ヨーロッパの山村は、あれほど生き生きしているが、山間地域の人の所得は年収300万円程度で、いまや、日本の山村の人の収入のほうが多いだろうという気がする。 だから、所有をふやして暮らしやすくするのではなく、今の所有のままで暮らしやすい社会をつくるにはどうしたらよいか、人間達が知恵を出す時期に来ている。ただその時に、山村の人の知恵だけでは解決がつかない問題がある。 たとえば子供を学校に出す時、近くに高校さえないような山村でいくら知恵を出したくても知恵の出しようがない。そうであるなら、高校、大学と行く時の奨励金制度をきちっとつくるべきだ。 また、無医村はなくなってきているので日常の病気は対応できる。しかし、何カ月も町場の大きな病院に入院するとなると家族がつき添うこともできない。そういう時に使える介護制度のようなものがあってしかるべきだ。 さらに、山村の人達というのは、今の年金制度から事実上排除されていると言っていいくらい貧弱な年金のもとで暮らしている。 これでは老後が心配だ。山村の人達が安心して暮らせるような年金制度をきちっと国が考えてほしい。 条件不利といった場合、産業的条件不利の前に教育的条件不利とか医療的条件不利とか年金制度からくる条件不利というのが山村にあるのではないかと、だからこれをまず撤廃してしまうようなことを考えるべきではないか、所得補償のことはその上で次のこととして考えたらいいのではないか。 こということを国がやっていって、あとは山村の人達が自分達の知恵を働かせながら、交流をしながら価値を発見し、収入は上がらないかもしれないが、ここで暮すのは悪くないと考えられるようなそういう社会をこれからつくっていくべきだろうという気がしている。 (中村)いろいろとお話を伺いましたが、最後のまとめに入りたいと思います。私は今日と同じようなパネルディスカッションを先般、高知県でやりました。高知県は、日本一林野率が高い県でありますが、農業後継者が北海道に次いで多いと思います。 別に高知県で農業をやるのが、ものすごくもうかるわけではないが、その地域の条件を生かしてできる農業はそれぞれあって、そこへ県、市町村がかなり目配りをしていろいろ助けている、助成している、励ましている、ということも背景にあるということをそのとき感じました。 今日いただいたいろいろな提言やご意見の中にも通じるような経験を、そのとき私自身もしたということを申し上げて、今日のパネルディスカッション「森林の再生と住み良い山村をめざして」という大きなテーマでございましたが、この辺で終わりたいと思います。 |