通常総会を開会するにあたり、全国各地からそれぞれの地域を代表する皆様にお集まりいただき、そしてまた、国土庁長官はじめ国会議員の皆さん、関連組織を代表する方々、また関係省庁の皆様方にご出席いただき、この会を催すことができ、心からお礼を申しあげたいと存じます。 山村をとりまく環境は、決して法律が改正延長されたからよくなるというものではありません。しかし、山村の意義、あるいは、山村がいかに大切かということは広く国民にも浸透しつつあるというふうに考えております。 加えて、山村振興法が一部改正されたことに、よりまして関係各省庁において山村振興のために今諸施策が着実に進められておりますことは、ご同慶の至りであります。また、さらにこれを強力に進めていただくこと、これが山村に住む人達あるいは山村を訪れる人達、山村そのものや森林にとっても、大変重要なことで、各種の施策がきちんと進められていくことが必要であります。この点についてもさらにお力をいただきたいと皆様とともにお願いするものであります。関係省庁の皆様方にこれを強力に進めていただくこと、改めてお願い申しあげます。 さて、私は、平成3年に丹羽兵助先生の後を受けまして全国山村振興連盟の会長を努めてまいったわけであります。 しかし、あまり長くなるということはよくないことでありまして、新しい方にバトンタッチをしていくことが必要であろうと思い、先頃辞退を申し出たところでございます。後ほどこの人事について、皆様にご報告させていただくことになろうかと思います。 この間いろいろな問題がありましたけれども、特に先ほど申しあげました山村振興法は、新しい時代の要請、たとえばグリーン・ツーリズムとか山村に対する魅力とかいうものを求めて訪ねてくる方々、こういった方々に応えるためにどんな整備をしていったらいいのか、こういったことを含め、あるいは、新しい時代の情報通信、今までは情報の受け手であったわけですが、山村から今情報を発信する時代になっている。そういったことでマルチメディア、あるいはインターネット等が進歩している時代、こういうものを先取りしこれを取り入れたもの、その他もろもろのものがございますけれども、そういった新しいものを取り入れた単なる延長ではなく、内容を充実した法改正ができたわけであります。その間、各議員の皆様に協力をいただき、関係省庁の皆様にもご理解をいただき、また、山村の各地域の皆様にも運動していただいたそのことによって、前向きな新しい山村振興法つくることができたのではないかと思っております。皆様方から大変なご支援をいただいて、こういう新しいものをつくりあげることができましたこと、感謝の言葉もないわけであります。 私も、会長をやめたからといってもう山村からそっぽを向いてしまうというのではなく、今まで会長の任にあったこの間に、皆様と接してきたり、また山村をまわったりして得たいろいろなことをもとにして、これからもさらにいっそう山村に関心を持ち、山村をよりよく前進させるひとりの力になっていきたいと思います。 私は、山村そのものが好きな人間であります、その意味で日本はもちろんよその国に行きましても、都市部を歩くよりは山村地区を歩く、食事をするにしても山村のいわゆる農家の皆さんが方が経営するような所を訪ねて歩いてはそれを日本の糧にしよう、そんなつもりでよく歩いたものでございまして、これからもみなさまの地域をしばしば訪れることがあろうかと思っております。 山村といいますと、私どもは一言で、厳しい、とりまく環境は厳しいという言い方を常に思うわけであります。しかし、私が山村を愛するというのも、都会では得られない自然だとか歴史、伝統、文化、あるいはそういった中から育まれた、たとえば食事、食べもの、こういったもののふるさとであり、そういう都会にはないものを持っているということであります。その意味で、山村を振興するというのは、なにもすべて都会並みにするということよりはむしろ、山村ならではのよさを生かしていくということが大切であろうと思っております。今、交通機関、あるいは通信網が整備されてきたということもありまして、山村への理解というものがだんだん一般的にも深まってきております。また、山村の果たしている役割を考えた時、山村がどうしても必要であるということ、これは、論を持たないわけであります。その意味で、生活の中では確かにきついということがあろうかと思いますけれども、しかしそういう中での営み、生活の営みというものを大切にしていただき、都会にはないものこれをまた大切にしていただく、そしてそういう中で生きていくことができる、そんな確信を持てるような、自信を持てるような山村にしていくことが大切であろうと思っております。 会長を辞任するにあたりまして、一言、私の心の思いをこの機械に申しあげさせていただきました。どうかひとつ、難しい時代でありますけれども皆様がさらに頑張っていただきますことを、心から念じまして私の挨拶といたします。 |