全国山村振興連盟は、平成27年10月22日(木)午前10時30分から千代田区永田町の全国町村会館2階ホールにおいて平成27年度第2回理事会を開催した。
 最初に、宮腰光寛 会長から挨拶があり、次いで、理事の吉野正芳衆議院議員、金子恭之衆議院議員及び佐々木隆博衆議院議員から挨拶がなされた。
 来賓として出席された農林水産省農村振興局 古賀  徹 中山間地域室長、国土交通省国土政策局 織田村 達 地方振興課長、総務省地域力創造グループ 須藤明裕 地域振興室長及び林野庁森林整備部 今泉裕治 山村振興・緑化推進室長から挨拶がなされた。
 その後議事に移り、竹ア一成会長代行が議長を務め、11月19日に開催される通常総会に提案する「第1号議案 平成28年度山村振興関連予算・施策に関する要望(案)に関する件」及び「第2号議案 決議(案)」並びに「第3号議案 特別会費の費目の改定(案)に関する件」について審議が行われた。
 理事会の内容は、次の通りとなっている。

【宮腰光寛 会長 (衆議院議員)の挨拶要旨】

 本日は平成27年度第2回理事会を開催いたしましたところ、全国から公務お忙しい中、地方において山村活性化の中心としてご活躍いただいております役員の皆様方のご出席を賜り、厚く感謝申し上げます。また、国会議員の役員としてご指導賜っております、吉野先生、金子先生、佐々木先生にも、政務お忙しい中ご出席賜りました。まことにありがとうございます。
 また、政府側からは、それぞれの官庁の課長、室長をはじめ関係の方々に出席いただいております。改めて、日頃から山村活性化にご尽力いただいておりますことに感謝申し上げます。
 さて、山村を取り巻く環境は依然として厳しく、私どもは新たに成立した改正山村振興法の下、活性化の努力をしてまいらなければなりません。その一環としての予算獲得のための要請活動があるわけです。
 来年度予算につきましては、われら連盟の要請を受け、各省庁工夫を凝らして山村振興のための概算要求をしていただきました。特に林野予算につきましては、「次世代林業基盤づくり交付金」として200億の要求をしていただいているほか、本年度から新しく設けられた山村活性化支援交付金や鳥獣被害防止総合対策交付金、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金等我々の関心の高い予算についても増額要求されております。
 本日の理事会のメインの議題は、来月の総会で決定する要望事項の案をご検討いただくわけですが、これらの要望事項が満額で獲得できるよう各方面に強く要望していかなければなりません。どうぞよろしくご議論を賜りたいと思っております。
 また、後ほど説明させます要望事項案のYのところでも述べておりますが、TTPにつきまして、このほど大筋合意がなされました。交渉に当たった方々の努力により、聖域の重要5品目については、ギリギリのところで守り抜いたと考えてはおりますが、山村にとって全く問題なしというわけではありません。私共と致しましても党派を超えて、山村地域に悪影響のないよう万全の対策を講じていきたいと考えておりますし、当連盟としても、その点、声を大きくして訴えていかねばなりません。
 私どもの団体は、私ども国会議員も会員となり、皆様方と一緒になって山村の振興を図るという他団体と異なった特徴があります。党を超えて応援いただく先生方とともに、力を合わせて頑張っていきたいと考えています。どうかよろしくお願い申し上げげ開会の挨拶とさせていただきます。

【吉野正芳 理事(衆議院議員)の挨拶要旨】

 皆様方には日頃山村振興のためにご尽力いただき、感謝申し上げます。
 皆様方の要望の大きな柱として「森林吸収源対策」があろうかと思います。昨年の税制改正大綱に「新たな仕組みの導入に関し、COP21を目途に具体的な姿について結論を得る。」というようなことが書かれております。これを受けて、自由民主党の中に森林吸収源対策PTを作って、今、鋭意議論をしています。来週26日にも会合が開かれますが、これから突っ込んだ議論をしていきたいと思っています。12月の末までには、今まで長引いてきた、先送りしてきたこの問題が決着すると思いますので、皆様方の絶大なるご支援をお願いしたいと思います。。

【金子恭之 理事(衆議院議員)の挨拶要旨】
 お忙しい中、全国各地からご出席賜り、本当にご苦労様です。宮腰会長から来年度に向けての決意表明等のお話がありました。私からは、一つだけお願いをしたいと思います。
 それは、山村振興法の改正とともに、皆さんの思いが結実してはじめて平成27年度予算に計上された「山村活性化支援交付金」についてであります。地域の特色のあるものに焦点を当ててそれを後押ししようという予算7億5千万円で、全て国費ということで本当に有り難い予算です。しかし、それぞれの市町村で計画を作っていかなければいけないということで、小さな村とかでは計画づくりに四苦八苦されているようであります。私の地元の熊本県においては、竹ア会長代行の芦北町を中心にどんどん手を挙げて取り組みましょうということで12市町村から手が挙がっています。全国各地で濃淡があって、なかなか7億5千万円満額を消化するまでには至っていません。財務省的に言えば、折角計上した予算が消化できないのに来年度8億円をいうのがどうなるか、危惧しているところであります。計画作りは大変ではありますが、私も、農林水産省には概算払いを含めて使い勝手のいいものにするよう話をしています。鳥獣対策のハード予算を組み合わせれば、ジビエも含めてそれぞれの市町村でいいものができるのではないかと思っています。是非、折角我々が勝ち取ったこの交付金が尻つぼみにならないように皆で頑張っていきたいと思います。そのことを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。


【佐々木 隆博 理事(衆議院議員)の挨拶要旨】

 全国各地で山村振興のその先頭でご活躍をいただいている皆様方に心から敬意を申し上げます。
 今、国会が閉会中なものですから、私も公務の合間をぬって地域を廻らせていただいていますと、話題に事欠きませんで、農協法の改正、TPP、安保法制、地域創生のことなど、引き留められてずっと話し込んでいるという状況が続いていますが、それだけ地域の皆様方にとってはいずれの課題も自分達の生活と切り離せない課題だということを実感をさせていただいています。
 今ほど宮腰会長からTPPの話がありましたが、TPPの議論はこれからになろうというふうに思いますが、今、農家の皆さん方、生活者にとっても、何が決まって何がどうなっているのか、良く分からないという不安の中に今あるわけであります。今、何をやらなければいけないかというと、国会、委員会を開いて、その中で議論をして、国民の皆さん方に内容をお知らせするということができるということが、今一番必要なことだと思っています。そういう意味で、是非国会、委員会の議論をしっかりさせていただいて、国民の皆様方の不安、とりわけ地方を抱えている皆様方のそうした心配に応えていくために頑張っていかなくてはならないと改めてそう感じているところであります。
 全国山村振興連盟の皆様方の日頃のご活躍に敬意を申し上げて、ご挨拶とさせていだきます。


【古賀  徹 農林水産省中山間地域室長 挨拶要旨】

 農林水産省では平成28年度概算要求として2兆6,497億円、前年度比114.8%の要求を行っています。
 その中で農村振興施策につきましては、本年度から計上しています「山村活性化支援交付金」を前年度より5千億円増の8億円を要求しています。現在各地で実施に向けた取組みがなされていると伺っていますが、引き続きこの交付金を着実に執行していただくことが必要かと思っていますので、よろしくお願い致します。
 また、「中山間地域等直接支払交付金」については今年度から第4期対策になりますが、様々、超急傾斜の加算措置ですとか、交付金の返還ルールを明確にするなど制度の見直しを行っています。今年度と同額の290億円の要求を行っていますので、引き続き実施の方をよろしくお願い致します。
 今後とも皆様のご意見を伺いながら山村振興施策に取り組んでいきたいと考えていますので、引き続きご支援をよろしくお願い致します。

【織田村 達 国土交通省地方振興課長 挨拶要旨】
 国土交通省におきましては、山村を含む条件不利地域の振興につきまして主に社会資本整備に取り組んでいますが、その他に街づくり、住宅、観光行政、公共交通行政など様々な施策の実施によって支援をしています。
 最近の動きとしては、今年8月に「国土形成計画全国計画」が閣議決定されています。この計画は、これから概ね10年間の国土形成の基本的な方針あるいは施策の内容を明らかにしたものとなっています。今回は地域の多様な個性を活かすということで、地域同士の対流を促し、イノベーションを起こす、「対流型国土の形成」を図るということを掲げています。
 山村地域を含む中山間地域においては、周辺集落のネットワークを組んだ「小さな拠点」の形成を図るということが記載されています。
 こういった方針に基づいて、「小さな拠点」を核とした「ふるさと集落生活圏」形成推進事業を推進しています。僅かな予算ですが、制度拡充あるいは予算の増額といったことを今回概算要求しています。
 「小さな拠点」の形成については、国の重要施策ということで、昨年発足した「まち・ひと・しごと創生本部」が中心となって、国土交通省だけてなく各省庁が連携して推進を図っていくこととしています。


【須藤明裕 総務省地域力創造グループ地域振興室長 挨拶要旨】

 総務省においては、新しい人の流れをつくるため、地方自治体などの移住・交流に関する情報提供、相談・支援の一元的窓口である「移住・交流情報ガーデン」を3月28日にJR東京駅八重洲口中央口より徒歩4分にある越前屋ビルにオープンするとともに、「しごと」や「住まい」など様々な条件から自分に合った暮らしを探せる「全国移住ナビ」を開設するなど、様々な角度から地方への移住交流を推進してまいります。
 また、地域おこし協力隊は、平成26年度は約1,500名程度の隊員が全国で活躍されたところですが、更なる拡充のため、制度説明会の開催、隊員への研修の充実、地域の連携による活動内容の充実強化のモデル事業の実施等により地方自治体の自主的な取り組みを支援することとしております。山村地域の市町村におきましても大いにご活用いただきたいと存じます。
 加えて、地方のけん引役としての「連携中枢都市圏」や定住の受け皿としての「定住自立圏」などによる広域連携の取組みを推進するとともに、過疎地域など条件不利地域については基幹集落と周辺集落の間に移動サービスを提供してネットワークを形成し、周辺集落を含めた地域全体の日常生活の維持と活性化を図ることを目指す「小さな拠点」づくりを各省庁連携して進めていますが、総務省において集落ネットワーク圏の形成等を通じて産業振興や生活支援機能を確保し、極め細やかな集落の活性化を図っています。
 地方財政の対応については、地方が地方創生に取り組みつつ安定的に財政運営が行うことができるよう、地方交付税の総額をはじめ地方一般財源総額の確保に努めるとともに、過疎対策事業や山村振興対策についても引き続き、所要の地方財政措置を講じてまいりたいと考えています。 
 さらに、ICT関係についても、引き続き、条件不利地域の携帯電話等のエリア整備の推進、光ファイバー等の超高速ブロードバンド基盤の整備を実施する地方公共団体に対する支援を講じてまいりたいと考えています。


【今泉裕治 林野庁山村振興・緑化推進室長 挨拶要旨】

 山村には豊富な森林資源があります。この森林資源の中でもとりわけ人工林の多くは本格的な利用期を迎えているということで、こうした森林資源を循環的に利用し、林業の成長産業化を図っていくことが、山村の振興そして地方創生には重要な鍵になると考えています。
 このため、平成28年度予算の概算要求においても、こうした林業の成長産業化そして森林吸収源対策といったものを重点的に計上させていただいています。
特に、「次世代林業基盤づくり交付金」については、間伐や路網整備を含めた川上から川下までの取組を総合的に支援する事業ということで、従来の「森林・林業再生基盤づくり交付金」に間伐、路網整備の支援を加えて大幅に金額を積み増して要求しています。この予算が確保できるよう、全力をあげて取り組んでいきたいと考えています。
 また、当連盟の理事会、研修会、ブロック会議の場でもたびたびご紹介させていただいている「森林・山村多面的機能発揮対策」ですが、これは平成25年度に創設して3年目を迎えています。里山林の保全管理、小規模な自伐林家の活動など各地域で色々幅広く工夫をこらした活動に有効に活用いただいているところであり、来年度も必要な額を要求していますが、是非、引き続き各地域で活用いただきたいと思います。また、市町村の役場からもこうした交付金を活用している組織、団体への様々なご助言、ご指導をよろしくお願い致します。
 森林吸収源対策に係わる安定財源確保については、政府の「骨太の方針」においても財源確保の新たな仕組みの導入に関して、本年末、COP21までに結論を得ることとされたところであります。来年度の税制改正要望におきましても、石油石炭税の特例の活用、森林環境税(仮称)の創設等を要望させていただいており、年末に向けてこの確保に全力で取り組んでいきたいと思います。先生方そして各市町村の皆様からもご支援、応援をよろしくお願い致します。

◎挨拶をいただいた方以外の政府関係の出席者(敬称略)  
  農林水産省農村振興局地域振興課調整係長 国広 博昭
  国土交通省国土政策局地方振興課課補佐 藤澤 貴充
  国土交通省国土政策局地方振興課交流推進係長 横堀誠一郎
  林野庁森林利用課森林環境教育推進官 近藤美由紀

【議 事】
 竹ア会長代行の議長のもとに議事が進められた。
○ 第1号議案  平成28年度山村振興関連予算・施策に関する要望(案)に関する件
  岸 事務局長が内容の説明を行い、原案通り承認された。
○ 第2号議案  決議(案)
  岸事務局長が内容の説明を行い、原案通り承認された。
○ 第3号議案  特別会費の費目の改定(案)に関する件
  岸事務局長が内容の説明を行い、原案通り承認された。




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