山村振興全国連絡協議会(都道府県の山村振興担当課長で組織)の平成26年度のブロック会議が次のとおり開催された。

北海道・東北ブロック会議

 北海道・東北ブロック会議が、10月9日(木)〜10日(金)北海道札幌市 北海道庁7階大会議室において、北海道・東北ブロックの道・県、農林水産省及び全国山村振興連盟から12名が参加して開催された。
 会議は、北海道地域政策課集落特定地域担当課 池田和明主幹の司会で進められた。
 最初に、主催者である集落特定地域担当課 三上 章 課長から、「山村の高齢化、担い手不足などの困難な状況に加えて、北海道は冬場の積雪・寒冷といった本州以上の難しい点があるものの、山村の多面的な価値実現のため、着実な施策展開を図っていきたい。新幹線の北海道延伸により本州特に東北地方との距離が縮まり、交流が期待できることから、連絡を密にして、対策を講じたい」旨の挨拶があった。

1.協議事項
(1)山村振興に係る中央情勢等について
 農林水産省農村振興局中山間地域振興課 松村一久 調査係長から説明があった。
平成27年度山村振興関係予算概算要求について、日本型直接支払、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金、都市農村共生・対流総合対策交付金、美しい農村再生支援事業、鳥獣被害防止対策の推進、農村集落活性化支援事業、山村振興交付金、森林・山村多面的機能発揮対策等の説明が行われた。また、山村税制特例、山村振興の制度資金の紹介がなされた。

(2)全国山村振興連盟の活動状況等について
 全国山村振興連盟 岸廣昭 常務理事兼事務局長から説明があった。
 連盟の活動について、施策・予算についての要請活動、税制改正に関する要請活動、TPPに関する要請活動等のほか、山村振興法改正に向けた取り組みの説明、その他連盟の行っている様々な活動についての説明が行われた。山村振興法の改正に向けての取り組みについては、昨年立ち上げた山村振興法改正問題検討会の検討内容とその検討結果について詳しく説明がなされた。

(3)各道県の山村振興対策の取り組み状況について
【北海道】
 集落の維持・再生に向けた事例として、北海道旭川市西神楽地域による西神楽エコ農村共生対流推進協議会の取り組みの紹介があった。
 地域づくりの考え方として、地元学的な視点からの価値を見い出し、住民を主体に行政を巻き込み、食、医、エネルギーを賄う持続可能な地域づくりの考え方の下に、小規模施設農業の開発、空家を活用した独居高齢者の集住促進と本州からの二居住プロジェクト、交流イベントの開催、太陽光発電の取り組みが紹介された。
【青森県】
 県単事業である、「農山漁村『地域経営』担い手育成システム確立事業」による取り組みとして、外ヶ浜町の上小国ファームの取り組み(効率的な農作業体制により生じた余剰労働力をフル活用し、新規作物の開発・販売、グリーンツーリズムなど6次産業化への取り組み等)、西目屋村の取り組み(高齢者の活力をいかした山菜ビジネスの展開、明治大学と連携した農業インターンシップや村の魅力の発信等)が紹介された。
【秋田県】
「第2期ふるさと秋田農林水産ビジョン」を策定し、「元気な中山間農業応援事業」を創設して、地域計画策定、ほ場整備、生産機械、加工・販売機械の導入、特産物づくりの支援を行なっている。また、さまざまな事業を活用した定住者の促進に努めている。27年度からは、地域コミュニティーの創出や交流人口増大のための新規事業を検討中である。
【山形県】
 26年4月に、「中山間地域の農林業振興と農山村の活性化プロジェクト」を立ち上げ、農業部門と林業部門が一体化したタスクチームにより、市町村や地域が主体となった取り組みを対象に県内12地区でケーススタディーを実施し、新たな成功事例のモデルを構築する取り組み、県と市町村で構成する「やまがた里山サミット」を設立して、中山間地域の活性化を進める「森林ノミクス」の展開を行なってること等が紹介された。
【福島県】
 農山漁村活性化プロジェクト支援交付金の取り組みとして、湯川村・会津坂下町の取り組み(初めての複数町村共同の道の駅事業)、須賀川市の取り組み(決壊した藤沼湖で被害を受けた公園施設の復旧を兼ねて、都市との交流の拠点づくり)が紹介された。
 また、福島県における東日本大震災からの復興の状況についての説明があった。

(4)その他
 平成27年度ブロック会議幹事県を青森県とすることを決定した。

2.事例発表

 事例発表として、浦幌町おかだ農園代表岡田愛啓氏から浦幌町における修学旅行生受け入れの取り組みについての発表があった。
 この試みは、都会の学生に農村を見てもらい、農村の大切さを実体験を通じて感じてもらう試みとして平成20年から始めたもので、現在では、周辺の市町村をも含め、500戸の農家が3,000人を受け入れている。こうして、都会の若者が自然に触れることにより、心が安らぎ、家庭の温かみの大事さを認識する教育の一環ともなっている。 また、地元の小学生の受け入れも行っており、子供達が自分の町の素晴らしさを知り、イベント等町の活性化のためにさまざまなアイデアを出すという効果も生まれている。

3.現地視察(10月10日 北広島市)
 ホクレン食と農のふれあいファーム「くるるの杜」を現地視察した。
 「くるるの杜」は、消費者に農作業、農産物の調理加工などを実体験してもらう他、収穫したものを食べてもらうことなどにより、食と農のつながりを実感してもらい、道産品の消費につなげようという目的でつくられた施設である。
 面積17.6haの土地に、平成22年から着工し、翌年完成させたもので、体験農場、調理加工体験施設、ビニールハウス、もりのかふぇ、農村レストラン、農畜産物直売所、市民農園等の施設があり、「畑の学校」と称した一年を通した農作業のプログラムに従った農作業体験、イチゴ等の収穫体験等が経験できる。その他、レストランでの食事や直売所での農産物の購入もできる。


近畿ブロック会議

 近畿ブロック会議が、10月24日(金)、和歌山市和歌山県民文化会館会議室において近畿ブロックの県、農林水産省、近畿農政局及び全国山村振興連盟から8名が参加して開催された。
 会議は、和歌山県農林水産部森林・林業局林業振興課 松岡一郎 課長補佐の司会で進められた。
 最初に、主催者である林業振興課 田上耕司 副課長から、「山村においては、集落存続の危機が現実のものとなっており、山村振興法の延長・内容の充実に期待している。山村振興交付金の実現をお願いしたい。」旨の挨拶があった。

○ 議題
(1)平成27年度概算要求の概要等について
 農林水産省農村振興局中山間整備推進室 太田千尋 計画係長から平成27年度山村振興関係予算概算要求について説明がなされた。農水省要求の日本型直接支払、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金、都市農村共生・対流対策交付金、美しい農村再生支援事業、鳥獣被害防止対策、農村集落活性化支援事業、山村振興交付金、森林・山村多面的機能発揮対策等についての説明があった。
 各県から、山村振興交付金について、予定地区数や、具体的な事業のイメージなどについての質問が出され、太田係長から説明があった。

(2)農山漁村活性化プロジェクト支援交付金、山村税制、制度資金等について
 近畿農政局整備部地域整備課 加藤彰人 山村振興係長から、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金について、和歌山県の実例を示して説明があった。

(3)山村振興法の期限延長・改正及び全国山村振興連盟の活動について
 全国山村振興連盟 岸廣昭 常務理事兼事務局長から、説明があった。
 連盟の活動について、施策・予算についての要請活動、税制改正に関する要請活動、TPPに関する要請活動、その他連盟の行っている様々な活動についての簡単な説明が行われた後、山村振興法の改正に向けての取り組みについては、昨年立ち上げた山村振興法改正問題検討会の検討内容とその検討結果について説明がなされ、今後の法改正の流れについて詳しい説明がなされた。

2.事例報告
 「特用林産物における山村振興の取組について」
    〜山菜・サカキ・紀州備長炭等〜
 和歌山県農林水産部森林・林業局林業振興課 坂口和昭 主任から特産物の開発宣伝等についての取り組みについての説明があった。
 和歌山県は特用林産物が豊富で、サカキ、山椒、木炭は現在も全国のシェアーが高く、それらを活用した地域おこしの活動を行っている。その他、みょうが、わさび、コゴミについても、これからは栽培技術を高め、販売を拡大する試みを行っている。珍しいところでは、イタドリの漬物、ウワバミソウ、むかご、オオバギボウシなどの普及を図っていく取り組みを行っている。

3.その他
来年度の幹事県は、滋賀県に決定した。


東海・北陸ブロック会議

 東海・北陸ブロック会議が、10月29日(水)〜30日(木)、愛知県自治センター会議室において開催された。
 会議には、東海・北陸ブロックの県、農林水産省、東海農政局、北陸政局及び全国山村振興連盟から15名が参加した。
 会議は、愛知県地域振興部地域政策課山村振興室 浅田 努 室長補佐の司会で進められた。
 最初に主催者である愛知県地域振興部地域政策課山村振興室 野山三津雄室長からの挨拶、ついで来賓挨拶として農林水産省農村振興局中山間地域振興課 明石英雄 係長及び全国山村振興連盟 米田博正 参与から挨拶があり、その後、東海農政局整備部地域整備課 和田充和 課長、外山 巌 課長補佐、三浦勝巳 山村振興係長、北陸農政局整備部地域整備課 武田尚之 山村振興係長及び他の参加者の紹介が行われた。
 ついで、次のとおり会議が進められた。

1.協議事項
(1)中央情勢報告
 ・平成27年度山村振興関係予算要求事項等について
   中山間地域振興課の赤石係長から、平成27年度山村振興関係予算概算要求の主
  な内容、山村振興法に基づく支援措置等について説明がなされた。
 ・全国山村振興連盟の活動状況について
   全国山村振興連盟の米田参与から、平成27年度山村振興関連施策・予算に関する
  要望活動、山村振興法の改正に向けての取組状況等について説明がなされた。

(2)各県事例報告
  「山村地域の振興と交流・移住に向けた取組について」各県から次のような報告がなされた。
【新潟県】
 ○ 上越市大島区・吉川区の取組
  同地区は、上越市の東部に位置し、中山間地域の少子高齢化や人口減少により、集落活動の維持継続が厳しい状況にある。
 このため、中山間地域に定住しようとする者や就農を目指したU、J、Iターン 希望者に地域の住民が個人的な立場で支援してきた。
 しかし、これには限界があることから、集落維持や農業後継者の増加、自然環境の維持を図るため、大島区旭地区を吉川区川谷地区の住民が連携し、平成24年3月に「上越やまざと暮らし応援団」(任意団体)を設立した。同応援団では主に移住者受入の活動を行っているが、直近では移住体験ツアーやボランティアを集めての用水普請を行った。
  移住体験ツアーについては、(一財)地域活性化センター「移住・交流による地域活性化事業、上越市「移住体験ツアー補助金」の支援を受けている。
【富山県】
 ○ 富山市八尾町大長谷地区の取組
  富山県の南端に位置し、標高300〜500m、山間の大長谷川沿いに43戸、68名が暮らす集落。
  昭和30年代には1,600名いたが、人口が激減。平成の始め頃に10組余りの家族が移住したが、その後は定住者はなく交流者もわずかであった。
  そのような中で、豊かな自然環境や農業、農村文化などの地域資源の活用と都市農村交流を行うことを目的として、平成17年に地域有志が「大長谷村づくり協議会」を立ち上げ、平成20年度にNPO法人化した。
  好きな時に来てもらい、地域の農林業や自然、伝承文化等を守る活動に参加してもらおうとリピーターとなる都市住民に対し、平成22年にボランティア組織の「ながたん農援隊」を結成した(登録隊員135名。26年6月現在)。
  協議会においては、里山農家の手伝いや野菜作り、文化継承、各種ワークショップ、新たなブランド開発等を行っている。
  これらの事業については、「とやま都市農山漁村交流活性化支援事業」、「とやま帰農塾」、「中山間地域チャレンジ支援事業」の支援を受けている。
  今後の展開方向としては、交流者を現在1,000名程度から5,000名程度にできるような仕組みづくりを理想としている。
【石川県】
 ○ いしかわ農村ボランティア
  過疎・高齢化が進む中山間地域において、人手で解決できる悩みを解決することを目的として、平成20年度からモデル実施。平成22年に「いしかわ農村ボランティア窓口」を設置し、本格実施。
  農村でのボランティアを希望される方を「農村役立ち隊」、ボランティアを受け入れる集落を「受け入れ隊」として登録し、双方による協働活動を通じて元気な里山づくりを推進する。
  参加者に対しては、バスでの送迎、いしかわ里山ポイントの交付を行っている。
  役立ち隊の高齢化が、今後の課題。
【福井県】
 ○ 福井市美山地区の取組
  同地区は、水稲・大麦の栽培が中心であるが、福井の伝統野菜である河内赤かぶらの栽培が、昔ながらの山の斜面を圃場にした焼畑農法により行われている。
  しかし、後継者不足により生産量が少なくなってきている。また、お祭りなどの地域行事や集落作業等においても、労働力不足が課題となっている。
  そこで、労働力確保及び地域ファンの創出を目標とし、ふるさとワークステイに取り組むこととした。
  ワークステイ参加者には、赤かぶら、水稲栽培等の援農作業、集落の景観維持作業、地域行事、イベントなどのお手伝い、地域内の公共施設等のお手伝い、集落の方の手助けの必要な作業、雪かき、雪下ろしのお手伝い等をしてもらっている。
  (平成25年度のワークステイの参加者:46人)
  「農のある生活応援実践事業によるワークステイ経費の補助」、「都市農村交流員によるワークステイ参加者の募集や地域情報のPR」の支援を受けている。
  地域コーディネート業務を行う人材と費用の確保、地域の受入負担を軽減する作業のマニュアル化が今後の課題である。
【岐阜県】
 ○ 恵那市串原地域における取組
   同地域は、岐阜県の南東端にあり、愛知県に接している。地域の8割以上が木曽山脈系の山林が占めている。矢作川の川沿いに平坦な土地はほとんど無く起伏に富む地域である。
   人口829人、高齢化率40.5%。総農家数184戸、稲作を中心にこんにゃく、トマト、 大豆の生産が行われている。ほとんどが兼業主体の経営形態。
平成12年に発生した東海豪雨で大きな被害を受けたが、荒廃人工林に起因して いることが分かり、山林の再生を目的に平成18年に特定非営利活動法人 奥矢作森林塾が設立された。その後、空き家が増加するなど地域の元気が失われつつあったため、空き家を地域資源とした交流活動を行い地域に元気を取り戻すための都市と農村の交流事業を平成21年度から開始した。
・空き家調査(平成20年度実施159戸。持ち主に意向調査。居住希望者向けに見学ツアーを実施。)
・古民家リフォームによる都市と農村の交流(平成21年度から古民家リフォーム塾を開始。熟生から地域へ移住した人:23名10世帯。)
・移住者の地域活動への参加促進(移住した人は、自治区の会議メンバーに選ばれ、地域に溶け込み地域づくりに関わる仕組みとしている。)
これらの活動は、「食と地域の交流促進対策交付金」(国直採)、「都市農村共生・対流総合対策交付金」(国直採)、「ぎふの田舎の魅力アップ支援事業補助金」(県単)の支援を受けている。
   また、移住者に対しては、恵那市移住定住支援策(定住奨励金:25万円、空き家改修補助金:1/2補助、上限100万円)が実施されている。
【三重県】
 ○ 大台町における取組
   大台町は、三重県の中西部に位置し、西は大台ヶ原を控えた1000メートル級の山を
  境に奈良県と接する。東西に50キロの広さを持ち、中央を宮川が流れる自然豊かな
  町。
   大台町で活動する「NPO法人みやがわ森選組(しんせんぐみ)」では、以前から山・
  川・自然をキーワードに都市農山漁村交流を中心に活動を行っていたが、三重県で撮
  影された映画「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」が公開されるのをきっかけ
  に、林業への注目が高まると考え、企業と連携した形での林業担い手研修ができない
  かとの相談を県に対し行った。県では、「三重県ふるさと応援カンパニー推進事業」と
  いう、企業と農山漁村を結びつけて双方にメリットのある関係づくりを支援しており、
  この事業に乗っかる形で、関係のあったイオンに活動提 案を行い、取組が進められる
  ことになった。
   県内外から参加者を募り、約半年、12日間のカリキュラムを受けてもらい、林業担い
  手としての適性判断や基礎を知ってもらう。カリキュラムは、森・ゼミ、森・ワザ、森・
  ラボ、フイールドワークとなっており、最後には就業支援や移住支援の説明が行われ
  た。単なる実技だけでない研修内容となっている。講座は土日のみ。開催経費等は約
  400万円程度要しているが、経費は基本すべてイオンが負担している。講座の参加費
  は無料。
   まだ終了していないため実績としてはないが、イオンでは三重県での取組をモデルとし
  て他県でも同様の取組を展開したいと考えている。地域としても、担い手育成による産
  業振興と移住者確保による地域振興が同時に達成できることからメリットは大きいと考
  えられる。
   ネットでの広報等をどのように実施するかが、今後の課題。
  県としては、企業側にもメリットのある企画を提案し、企業が負担する形での地域活性
  化の取組が進められる仕組みを構築していきたい。
【愛知県】
 ○ 三河山間地域における取組
   愛知県の山間地域は、県の北東部に位置する新城市、設楽町、東栄町、豊根村の
  外、西三河の岡崎市や豊田市のうちの合併前の旧町村を含め三河山間地域と称して
  いる。その面積は県土の約三分の一を占め、その面積の約86%が森林となっている。
  一方、都市に近接しているという強みもある。
   そのような中で、少子・高齢化の進行、産業活動の低迷など、地域社会全体の活力の
  低下が懸念されており、外部人材の活用等による地域の活性化が求められる。
   これに対応して、次のような取組みを行っている。
  ・「愛知県交流居住センター」を中心とした交流居住の促進
   三河山間6市町村、大学や民間団体とともに平成20年度に「愛知県交流居住セン
   ター」を組織し、短期滞在や本格的な移住の推進を図っている。
  ・三河の山里サポートデスク事業
   集落機能を維持するため、個人・企業と集落とのマッチングを業務とする「三河の山
   里サポートデスク」を平成25年度に山村振興室内に設置した。
   「あいちの一社一村ふるさとハッスル運動」と「三河の里集落応援隊」がある。
  ・遊休建物を活用した交流居住モデル事業(起業支援型地域雇用創造事業)
   これらに即応して、定住促進空家住宅(東栄町。総務省の補助金を活用し、空き家を
   借り受け、改修してIターン者等へ貸し付ける。)。譲渡型定住促進住宅(豊根村。賃
   貸し、30年以上住めば土地建物を譲渡する。入居者に中学生以下の子供がいれば
   子どもひとりあたり3,000円/月を割引する。)等の支援措置が実施されている。

3.次期幹事県
  次期幹事県は、新潟県と決定された。

 翌6日は次の個所を訪問した。
○ おいでん・さんそんセンター(豊田市足助町。足助支所2階)
  豊田市は平成17年4月振興山村6町村をを編入合併した。“くるまのまち”であるとともに“森林都市”という姿を持ち、多様な資源に恵まれた都市となった。こうした特徴を最大限に活かすため、平成25年度から始まった第7次豊田市総合計 画後期実践計画において、都市部と農山村部がそれぞれの強みを活かし合い弱みを 補い合うことで、新しい魅力や価値を生み出し、様々なライフスタイルを選択でき るまちづくりを目指し、“暮らし満足都市”の創造に向けて取組みが行われるこ ととなった。この一環として、「おいでん・さんそんセンター」は“まち”“むら” をつなぎ、それぞれのニーズに応じた交流を生み出していくことを目的として平成25年度に設立された。
 運営主体は豊田市で、鈴木辰吉センター長など数人の職員で対応している。
 みんなで支え合う組織として、交流促進連絡会議(運営方法の検討など)、プラットホーム会議(事業実施の協議など)を開催し、関係者、関係団体などと密接に連携を取って運営されている。
  事業内容は次のとおり。
  ・山里交流バンク
   都市部、農山村部からの希望・要望の最適な組み合わせをコーディネート
  ・パートナーエリア協定推進モデル事業
   農山村部の集落と都市部の企業・団体との間をとりもち、農産物の共同購入、企業
  の社会貢献の仕組みをつくる。
  ・集落活動支援事業の運営
   草刈や祭り準備等の集落活動を応援する都市部のボランティアの養成・登録、農
  山村集落の要請に応じた人員の派遣。

○ 足助の町並み
  足助は、古くから、太平洋岸と中部山岳地帯とを結ぶ交通の要地である。三河湾でとれた塩を、信州に運んだことから『塩の道』と呼ばれ、その物資の運搬に馬が使われたことから『中馬街道』などとも呼ばれている。足助の町並みは、その街道とともに栄えてきた。平成23年足助の町並みは国の『重要伝統的建造物群保存地区』 に選定され、着実に保存が図れらていく。


九州ブロック会議

 九州ブロック会議が、11月4日(火)〜5日(水)、佐賀県佐賀市「グランデはがくれ」において、九州ブロックの県、農林水産省、九州農政局及び全国山村振興連盟から16名が参加して開催された。
 会議は、佐賀県生活支援課 瀬尾裕一 係長の司会で進められた。
 最初に主催者である生活支援課 桑原宏司 副課長から、「山村をとりまく環境の困難な中、森林荒廃や有害鳥獣対策等の対策が必要であり、今、議論されている法改正を実現し、対応策を充実したい旨」の話の後、「佐賀県の紹介がされた。そのなかで、バルーンフェスティバル、唐津くんち、空港の増便、佐賀県グリーンツーリズム等」の説明があった。

1.議題
(1) 「平成27年度山村振興関連各府省庁予算概算要求額」等について
 農林水産省農村振興局中山間地域振興課 国広博昭 調整係長から、平成27年度山村振興関係予算概算要求について説明がなされた。農水省要求の日本型直接支払、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金、都市農村共生・対流総合対策交付金、美しい農村再生支援事業、鳥獣被害防止対策、農村集落活性化支援事業、山村振興交付金、森林・山村多面的機能発揮対策等についての説明があった。

(2)全国山村振興連盟情勢報告等について
 全国山村振興連盟 岸廣昭 常務理事兼事務局長から、説明があった。
 連盟の活動について、施策・予算についての要請活動、税制改正に関する要請活動、TPPに関する要請活動、その他連盟の行っている様々な活動についての簡単な説明が行われた後、山村振興法の改正に向けての取り組みについては、昨年立ち上げた山村振興法改正問題検討会の検討内容とその検討結果について説明がなされるとともに、今後の法改正の流れについて詳しく説明がなされた。

(3)各県提出議題について
 各県から発表が行われた。
@人口減下における山村地域振興として、集落機能維持する施策について
【福岡県】
 都市の大企業と中山間の団体が共同活動する「きずな事業」を実施しているが、県下一円に広がるような事業があれば知りたい。
【大分県】
 「地域活力づくり総合補助金により、地域資源を生かした取り組みの支援」、「里のくらし支援事業補助金により、小規模集落、限界集落の取り組みの支援」、「小規模集落応援隊により集落の共同作業の手伝いの支援」を行っている。
【 佐賀県】
 農山漁村活性化プロジェクト交付金の活用で行っている。
【鹿児島県】
 「共生・協働の農村(むら)づくり運動」を展開し、集落内の住民組織等の連携、都市住民やNPOとの連携を図るほか、中山間地域等直接支払制度、各種交付金等を活用し集落活性化の取り組みを行っている。また、「地域営農の仕組みづくり支援事業」により、高齢・小規模農家等も参加した持続的な農業生産活動を支援している。
【宮崎県】
 平成23年に「宮崎県中山間地域振興計画」を策定、集落の活性化については、「もっと「いきいき集落」サポート事業により、住民発意による様々な取り組みの支援」、「『中山間盛り上げ隊』派遣事業により、ボランティア隊員派遣の支援」、「未来へつなげよう!持続可能な集落づくり支援事業により、民間団体に委託し、『集落点検』の実施のサポート」を行っている。
【熊本県】
 「地域づくり夢チャレンジ推進事業『地域コミュニティ維持の取り組み』により、市町村や地域コミュニティが自主的に行うコミュニティ維持の取り組みへの補助」、「くまもと里モンプロジェクト推進事業により、『美しい景観の保全、創造』『文化・コミュニティの維持、創造』、『地域資源を活用した内発的産業の創造』といった観点からの幅広い活動の支援」、「くまもとむらづくり人材育成塾により、むらづくりに取り組む地域リーダーへの講座の開設」、「くまもと農人プロジェクト業務により、都市住民、NPO、大学等が地域活動に参加する体制づくり」を行っている。
A山村等振興対策事業等で整備した施設の利用状況について
【大分県】
 利用率が低調な地区については改善指導を行っている。
【福岡県】
 市町村を通じて指導を行っている。
【佐賀県】
 財産処分を行う時には、市町から協議がなされている。利用率の低い施設は、改善指導している。
【鹿児島県】
 事業完了年度の翌年から、定期的に報告を求めた。
【宮崎県】
 利用状況の低調な地区については改善指導を行っている。
【熊本県】
 利用状況調査を、一定年度行った。
B中山間地域における農業生産の維持のための、農作業受託組織等の設立状況について
【佐賀県】
 2つの受託組織が紹介され、一つは受託面積が減少して、解体となった。
【福岡県】
 中山間地域直接支払制度で対応している。
【大分県】
 市町村の農業公社によるもの、直接支払制度によるものがあるが、県の事業として、「中山間地域集落営農経営発展モデル事業」があり、これによりモデル的に様々な事業展開のできる組織を育成するとしている。
【鹿児島県】
 JA・市町村が主体となった農作業受託組織(農業管理センター)が15組織設立され、農作業受託が実施されており、H24年度は受託面積延べ10万haとなっている。また、株式会社等の参入促進による農業生産の維持を図っている。
【宮崎県】
 中山間地域における農作業受託組織は、124組織存在する。また、直接支払制度等を活用してその設立支援を行う。
【熊本県】
 4JAにより、5つの出資型法人がある。また、企業等の農業参入を支援するため、相談窓口の設置、講座の開設、初期経費の助成等を行っている。

(4) 平成27年度九州ブロック幹事県について
 次回幹事県として、熊本県を選定した。

2.現地研修会(11月5日)
 翌11月5日(水)、現地研修会が次の施設において行われた。

(1)西山田農園(都市住民との交流)
 建設業を営んでいたものが、耕作放棄地を活用して、農業体験施設を設置運営している。農山漁村活性化プロジェクト支援交付金の助成により、そば打ち体験、ジャム作り体験等のできる施設、ブルーベリーなどの果物狩り、田植えや稲刈りの農業体験、イノシシ肉の加工品の開発等を行っており、将来はグリーンツーリズムも視野に入れている。

(2)(株)バイオテック富士(地元雇用の確保)
 JA佐賀、みかど協和KKの出資で設立された苗の生産販売会社である。社員21名、常雇人28名で、トマト、ナス、キュウリ等の苗を高度な接木技術を駆使して生産し、地域雇用の拡大に貢献している。

(3)嘉瀬川ダム(観光拠点としての活用)
 水不足の佐賀平野の灌漑、洪水調整、佐賀市等への都市用水の供給、発電を目的とするダムの高度なコントロールシステム。

(4)森の香 菖蒲ご膳(地域おこし、地元農産物の活用)
 嘉瀬川ダムに近接する菖蒲地区の女性の主導により、山菜を中心にした地域に伝わる食文化を伝え、都市の住民に提供するための施設である。農山漁村活性化プロジェクト支援交付金の助成によりダム湖の側に建設され、佐賀市民の好評を得ている。


中国・四国ブロック会議

 中国・四国ブロック会議が、11月6日(木)、香川県高松市「サンポートホール高松」会議室において、中国・四国ブロックの県、農林水産省、中国四国農政局及び全国山村振興連盟から14名が参加して開催された。
 会議は、香川県農林水産部農村整備課 平尾誠治 副主幹の司会で進められた。
 最初に、主催者である香川県農林水産部農村整備課 小山輝己 課長から、「山村の人口減少・高齢化、などの困難な状況の中、国においては、農政改革、経営安定対策が講じられるとともに、日本型直接支払い制度の創設されたところであり、山村振興法改正の動きがあると聞き及んでおり、このような時期に、国、県、市町村、各団体が緊密な連携を図って、山村振興に努める必要がある。このような時期に本ブロック会議が開催されることは、情報交換、各県の連携にとって意義あることである」旨の挨拶があった。」

○ 内容
(1)平成27年度概算要求の概要等について
 農林水産省農村振興局中山間地域振興課 田中浩 直接支払調査係長から平成27年度山村振興関係予算概算要求について説明がなされた。農水省要求の日本型直接支払、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金、都市農村共生・対流総合対策交付金、美しい農村再生支援事業、鳥獣被害防止対策、農村集落活性化支援事業、山村振興交付金、森林・山村多面的機能発揮対策、山村税制制度、山村関連制度資金についての説明があった。

(2)全国山村振興連盟の活動状況について
 全国山村振興連盟 岸廣昭 常務理事兼事務局長から、説明があった。
 連盟の活動について、施策・予算についての要請活動、税制改正に関する要請活動、TPPに関する要請活動等のほか、山村振興法改正に向けた取り組みの説明、その他連盟の行っている様々な活動についての説明が行われた。山村振興法の改正に向けての取り組みについては、昨年立ち上げた山村振興法改正問題検討会の検討内容とその検討結果について説明がなされるとともに、今後の法改正の流れについて詳しい説明がなされた。

(3)五郷地区(観音寺市大野原町)の地域活性化の取り組みにつてい
 香川県農林水産部農村整備課 玉木直仁 副主幹から説明があった。
県は同地区の活性化を図るため、活性化の組織作りを大学に委託し、ワークショップなどを開催し、五郷里づくりの会を発足させ、市の助成を得て、活性化の活動を行った。
活動の内容は、シンポジウムの開催、PR活動、耕作放棄地を活用した地域美化活動、体験イベント、水車の復活、などである。

(4)その他
 徳島県から、徳島にのみ見られるユニークな傾斜地農耕システムについて、現在、FAOに対して世界農業遺産申請を行っている旨の説明があった。

2.協議事項
 来年度の開催県は、島根県に決定した。


関東ブロック会議

 関東ブロック会議が、11月13日(木)〜14日(木)、静岡市産学交流センター演習室において開催された。
 会議には、関東ブロックの県、関東政局及び全国山村振興連盟から19名が参加した。
 会議は、静岡県経済産業部農林業局山村共生課 瀧 義明 課長代理の司会で進められた。
 最初に主催者である静岡県山村共生課の芝田和豊 課長からの挨拶、ついで来賓挨拶として全国山村振興連盟 米田博正 参与から挨拶があり、その後、関東農政局整備部地域整備課 遠矢 覚 調整係長他各県からの出席者が紹介された。
 ついで、次のとおり会議が進められた。

(1)近年の山村を取り巻く情勢について
 ○ 「山村振興交付金」について
   関東農政局の遠矢 覚 調整係長から概算要求されている「山村振興交付金」につい
  て説明がなされた。
 ○ 全国山村振興連盟の活動状況について
   全国山村振興連盟 米田 参与から、平成27年度山村振興関連施策・予算に関する
  要望活動、山村振興法の改正に向けての取組状況等について説明がなされた。

(2)意見交換会
  「山村と都市の交流による山村振興について」をテーマに各県から報告があり、意見交
  換が行われた。
【茨城県】
 「農業等体験着地型プラン造成研修会」の実施による都市農村交流活動事例
  ・「農業等体験着地型プラン造成研修会」は、農林漁業者と旅行業者等との連携によ
   り、農業等体験着地型プラン(旅行商品)を造成・催行する取組の促進を目的として
   開催。(新たなアグリビジネスの展開へ向けたきっかけづくり)
  ・平成25年11月、平成26年1月に研修会を実施。平成26年2月に個別支援を実施。
  ・実績
    稲刈り体験と農家ランチで収穫の秋を味わう一日(H26.10.11(土)城里町)
    ふるさとネットワーク「葦の会」移動学習会(H26.10.1(水)行方市)
【栃木県】
 「とちぎ夢大地応援団」の活動について
  ・農村地域の有する課題と都市住民等の新たなニーズを融合させ、地域住民とボラン
   ティアが協力し、農山村の地域資源を次の世代に健全に引きついで行くこと目的とし
   て平成17年1月に「とちぎ夢大地応援団」が設立された。
  ・活動内容は、荒れたしまった農地の草刈り・棚田景観維持作業・親水水路やため池
   の清掃、里山での景観維持活動・獣害防止柵の維持管理作業等。
  ・事業推進体制は、県・(公財)栃木県農業振興公社・市町がボランティアを必要とする
   地域からの要請を受け、応援団会員や県民の方に広報を行い、ボランティア活動を
   行う。
  ・実施財源は、中山間地域ふるさと水と土基金。
  ・25年度には、10地区、379人(ボランティアと地元)で作業が行われた。
【群馬県】
  〜大学生が見つけた山のあれこれ〜 
  群馬県やま・さと応援隊 活動調査
  ・若々しい視点を持つ大学生が、中山間地域の人々との交流で感じた経験を自由な
   テーマで形に残し、実践などを行うことで中山間地域の活性化の道筋を探る。
  ・実績
   六合村地域に残る絹文化に関する方言の収集とその活用
   (地元の人と交流しながら聞き取り、パネルや記録集で発信)
   アートプロジェクトを通じた人々の交流の創出と地域資源の情報発信
   (魅力を取材、リーフレット、ブログ、イベントで紹介し、記録集にまとめる)
   アート・デザインによる地域の再創出と情報発信
   (交流と調査を行い、ブログや作品展を通して発信)
   学生がつなぐ!片品のグリーン・ツーリズム応援隊
   (イベント運営、グリーン・ツーリズムツアーの開催等で魅力を発信)
【千葉県】
 大多喜町老川地域「炭焼き体験」
  ・高齢化や林業低迷のため林業離れが進み、また、サル・イノシシ等の鳥獣被害の増
   加により森林が荒廃してきている。更に過疎化も進んでいる。そのような中で、飲食
   店等の燃料や脱臭剤、乾燥剤として需要があり、日常生活の中で普段から行ってい
   る炭焼きに着目して、森林保全や炭焼き技術の伝承、定住促進等を目的に炭焼き
   体験を始めた。
  ・活動にあたっては、地元住民が中心になり、NPO法人大多喜みらい塾や養老渓谷
   盛り上げ隊が支援を行っている。参加者は主に町外の40代〜80代で、炭焼きに興味
   を持った者や移住を考えている人など約15人程度が参加している。

【東京都】
 奥多摩町体験農園 「おくたま海沢ふれあい農園」
  ・奥多摩町にある資源(自然環境・農山村生活・地域資源・人材等)を再確認し、掘り起
   こすことにより、新たなまちづくりとして奥多摩型の農山村事業を展開する。そのた
   め、町の中心地点に位置する海沢地内に滞在型・体験農園施設を整備し、ここを拠
   点に町有地及び遊休農地等を利用して、自然、生活文化、農業、林業等の体験の
   場、町内観光施設への誘導などを、都市住民に提供する。このような奥多摩型グ
   リーン・ツーリズムを構築し地域の活性化と観光振興を図る。
  ・施設の状況
   滞在型農園(13区画)、日帰り農園(25区画)、摘み取り農園
  ・活用実績(26年度)
   滞在型農園:13名、日帰り農園:23名
【山梨県】
 農業協力隊推進事業
  ・3大都市圏をはじめとする都市圏の住民が山梨県に移住し、概ね2年程度、山梨県
   の農村で農業に従事しながら生活をする事業。
  ・山梨県が農業協力隊員を委嘱する(報償費として県が月額166千円を支払う)。隊員
   は、県の委託先であるJA、農業法人、篤農家の下、生産技術を習得するための農
   業生産活動を行う。また、地域が主催する農道、水路等の清掃活動や地域美化活
   動へ参加する。さらに、地域行事、伝統芸能等の地域おこしを支援する。
  ・実績
   平成21年度から実施しており、平成23年度までの研修修了生37人、うち24人が
   県内への就農定着者、13名も地元もしくは他地域で農業関係の仕事に従事してお
   り、就農、定着率は高い。
【長野県】
 花桃会による遊休農地を活用した農作業体験を通じた都市住民との交流
  ・長野県木曽郡南木曽町読書の集落の地区内(22戸)の賛同者で構成された「花桃
   会」(13戸)が耕作できなくなった農地を借り受け、共同営農活動を始めた。
   さらに、都市住民との交流による集落活性化を目指し、都市住民を対象に農作業体
   験等の受け入れが行われている。
  ・実績
   平成25年度は、県単独事業である農村活力創出支援事業を活用し、遊休農地13a
   を対象に都市住民を受け入れるための体験農園を開設し、種まき、収穫、収穫祭に
   地域住民あげて取り組んだ。
    都市住民との交流事業は、野菜、そば栽培に取り組み、そば打ち体験まで5回開
   催し、中京方面を中心に延べ約140人の参加があった
【静岡県】
 清沢むらづくり30年の歩み
  ・静岡市葵区清沢地区は、お茶と林業を主業とする山間農業地域。
  ・昭和58年からむらづくり活動が進めれてきたが、平成15年にNPO法人フロンティア清
   沢(大棟鉄雄 理事長)を設立し、「地域資源を活かした販売(収益)事業」とその収益
   を活用した「地域問題解決に関する事業」を行っている。
  ・活動実績
   「地域資源を活かした販売(収益)事業」
    「清沢里の駅」における、お茶・野菜等の農林産物販売、「きよさわよもぎ金つば」、
    「猪コロッケ」「猪肉まん」、「清沢ぶっかけレモン」等農林産物加工品、猪焼肉定食
    等の販売、提供。イベント開催等交流事業
    静岡市内での路上販売、スーパー、イベントへの出店販売。
   「地域問題解決に関する事業」
    過疎地域有償運送事業、棚田保全活動 、福祉事業、子育て支援、地域内交流、
    地域外団体・企業との交流(一社一むらしずおか運動)、東日本大震災復興支援事
    業。
  ・地域への効果
    女性、高齢者に社会参画や就労の機会を提供し、また、そこでの収益が地域問題
    解決への活動へとつなっがている。この循環をさらに進めているのが、内外の多様
    な連携。

(3)次期幹事県
   次期幹事県は、茨城県と決定された。

 翌14日は次の個所を訪問した。

○ きよさわ里の駅
  清沢むらづくりの拠点施設。平成13年「静岡葵博」で使用した施設を清沢に移設して、「きよさわ里の駅」(仮設店舗)の自主運営を開始。多くの都市住民の来訪がありメンバーのやる気とむらづくりの機運がさらに高まった。翌14年この取組みが評価され、静岡市が本格的な常設建築物を建設し清沢地区振興会が運営する公設民営方式として平成16年オーブン。

○ 有東木(うつろぎ) 山葵(わさび)の里「うつろぎ」
 食用ワサビの栽培は慶長年間(1600年頃)に、静岡の「有東木」で始まったとされており(建物の前にはわさび栽培発祥の地の石碑がある)、山葵栽培発祥の地にある農産物販売、食堂施設。現地視察の際、わさび漬け作りを体験した。地域の女性が中心になって運営している。
  わさび田は急峻な地形に合わせて階段状に整然と石積みを作り、清らかな湧水を 利用している。



《前へ》《次へ》