岸事務局長から「山村振興法については、先程ご説明しましたように、平成27 年3月末に期限が到来します。私共としましては、山村の厳しい現状の中でこれま で以上に山村振興が必要であり、そのための法的根拠が必要であると思っています。 連盟としてその延長と内容の充実に向けて、どういったものを盛り込んでいけばい いのかというようなことを中心に検討していく必要があると考えています。このた め、昨日の副会長会議において7人の副会長を構成員として「山村振興法改正問題 検討会」の設置が決定されました。スケジュールとしては、来年の夏までに中間報 告、暮れまでに本報告ということにしています。役所の協力も得ながら検討を進め ていきたいと思っています。」との報告があった。
平成24年度事業報告 |
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1.
山村振興施策に関する提言及び政府予算対策 |
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(1)平成25年度山村振興関連施策・予算、税制改正要望 |
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@ |
7月の理事会において要望事項を決定し、副会長を中心に関係省庁に対し要請活動を実施。 |
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A |
11月の通常総会において、平成25年度山村振興関連施策・予算に関する要望事項を決定し、副会長を中心として政府及び国会議員に対し要請活動を行うとともに、各支部において要請活動が行われた。 |
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B |
新政権発足(平成24年12月26日)に伴い、緊急経済対策の策定、平成24年度補正予算の編成、平成25年度概算要求の入れ替え等が行われることを踏まえて、「山村振興に係る平成24年度補正予算、平成25年度予算・税制改正に関する要望書」を平成25年1月11日に自由民主党、公明党、農林水産省、財務省の責任者に提出した。 |
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C |
7月に平成25年度税制改正に関して、農林水産省に対しては「地球温暖化対策税制に関する要望、振興山村地域における租税特別措置の延長と対象業種の追加の要望」を、経済産業省に対しては「地球温暖化対策税制に関する要望」を行った。
11月21日に開催された自由民主党農林部会及び農政推進協議会の合同会議の場において、「地球温暖化対策税制に関する要望、振興山村地域における租税特別措置の延長と対象業種の追加の要望」を行った。 |
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D |
平成24年度補正予算案は1月15日に閣議決定された。
平成25年度税制改正大綱は1月24日に決定され、平成25年度政府予算案は1月29日に閣議決定された。 |
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(2) 木材(丸太)価格下落に対する対応措置に関する特別要望 |
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平成23年末頃からの木材価格の下落について、7月の理事会において、中谷会長から自由民主党において対応策の検討が約され、自由民主党林政調査会及び農林部会は合同で「木材(丸太)価格下落に対する政府への緊急申し入れ」を郡司農林水産大臣及び羽田国土交通大臣に対し行った。
当連盟においても、10月の理事会及び11月の総会において、「木材(丸太)価格下落に対する対応措置に関する特別要望」を決定し、関係省庁及び国会議員に対し要請を行った。 |
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(3)TPP参加反対の要望 |
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TPP参加反対については、7月及び11月に関係方面に要望を行ったが、2月7日に開催された「TPP参加の即時撤回を求める会」(会長:衆議院議員 森山 裕)に対して要望を行った。 |
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2.山村をめぐる諸問題についての情報の収集、調査、検討 |
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(1)山村をめぐる諸情報を関係省庁をはじめ各方面から収集し整理を行った。 |
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(2)「森林・山村対策に関する懇談会」を平成25年2月14日(木)、全国町村会館にお
いて、次のテーマと講師により実施した。町村長副会長、理事、監事等21名が出席
した。 |
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テーマ「山村に係る地方財政措置について」
講師 総務省自治財政局調整課長 内藤尚志 氏
テーマ「これからの山村振興対策について」
講師 農林水産省中山間地域振興課長 米田博次 氏
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その内容については、冊子「森林・山村対策に関する懇談会報告(]\)」として取
りまとめ会員に配布した。 |
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3.山村振興を図るための啓発・普及活動の推進 |
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(1) |
全国山村振興連盟のホームページに当連盟の紹介、全振興山村のリンク、山村からの提言、山村へのメッセージ、山村振興施策(山村振興法、山村振興関連予算、各種政策等)を掲載した。 |
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(2) |
特定非営利活動法人「地球緑化センター」が実施する「緑のふるさと協力隊」(山村で1年間生活し、農林業や村おこしを手伝う)を後援するとともに、受け入れ市町村の募集に協力した。 |
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(3) |
5月12日(土)、13日(日)に東京都日比谷公園において開催された「第22回森と花の祭典―『みどりの感謝祭』」を協賛した。 |
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(4) |
7月14日(土)、15日(日)に長野県木島平において開催された「全国村長サミットin木島平」を後援した。 |
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(5) |
10月11日(木)、12日(金)に愛知県において開催された「全国過疎問題シンポジウム2012inあいち」を後援した。 |
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(6) |
11月2日(金)及び3日(土)に岐阜県白川町で開催された「第6回全国水源の里シンポジウム」を後援した。 |
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4.山村振興対策の計画的推進 |
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振興山村における山村振興対策を計画的・効果的に推進するため、国の山村振興対策等の事業を予定している市町村の山村振興担当者、都道府県の山村振興担当者及び連盟支部の山村振興担当者を対象に全国町村会館ホールにおいて6月8日(金)、山村振興実務研修会を開催し、約80名が参加した。この研修会では、農林水産省中山間地域振興課、農林水産省鳥獣被害対策室、農林水産省農村整備官、林野庁計画課、総務省地域通信振興課及び国土交通省交通支援課の担当官から所管の事業について講演が行われた。 |
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5.会員等への情報の提供 |
(1)「山村振興情報」を年間12回(毎月1回)発行した。
また、ホームページにも掲載した。 |
(2)事業計画、収支予算、事業報告、収支決算等理事会での決定事項は、理事会終了
後、直ちに会員に連絡した。 |
(3)山村振興に関連する各種情報は、ホームページに掲載し、会員に提供した。 |
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6.山村振興全国連絡協議会への助成 |
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各都道府県の山村振興担当課長で組織している山村振興全国連絡協議会に対し助成を行った。また、6月7日に開催された総会に出席するとともに、各ブロックの会議に出席し、情報交換等を行った。 |
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7.各種会議会合等 |
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省略 |
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平成26年度山村振興関連予算・施策に関する要望 |
山村地域の振興につきましては、日頃から格別の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、近年、山村を取り巻く環境は、過疎化・高齢化の進展、耕作放棄地の増大、鳥獣被害の多発に直面する中で、厳しさを増しております。我が国の山村は、日本人としての精神の原点として我が国を支えて来た力の源であり、一方では水資源、エネルギー資源を守り、国土保全に貢献してまいりましたが、集落機能の衰退が進み、崩壊の危機に瀕していると言っても過言ではありません。
また、山村地域は、道路、情報通信、生活環境等の整備水準は依然として低位な状況にあり、その改善なしには、山村を取り巻く危機的な悪循環は断ち切れません。さらに、鳥獣被害対策や山村の資源を活用する様々な取り組みを効果的に展開するとともに、集落機能の活性化等の取り組みを行っていく必要があり、このような対策を総合的かつ強力に打ち出していく必要があります。
このため、政府・国会におかれては、山村地域の振興こそが、国全体の発展につながるということを十分御認識いただき、山村振興を国の重点課題に据えて、下記事項の実現を図っていただくよう強く要望致します。 |
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記 |
T 東日本大震災等の復旧・復興等 |
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1. |
東日本大震災については、関係省庁連携のもと、被害が生じた山村地域における 復旧・復興対策を早急かつ強力に推進すること。特に原発事故放射性物質の除染等を早急に行うとともに、放射性物質の影響を大きく受けている特用林産物栽培農家対策に万全を期すこと。 |
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2. |
近年、気候変動等により、多発、大規模化している災害に対処するため、国土強靭化対策を推進し、災害に強い山村づくりに取り組むこと。また、災害発生時の的確な情報提供システムの整備を図ること。 |
U 山村振興対策の総合的・計画的推進 |
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1. |
山村振興計画に基づき、関係省庁の一層の連携強化のもと、山村振興対策を総合的かつ計画的に推進すること。 |
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2. |
山村地域における農林水産業等地域の基幹産業の振興、生活環境の向上等を図るための施設の整備等の取り組みに対する助成措置の充実・強化を図るとともに、自立的な地域活性化を支える人材育成への支援に取り組むこと。 |
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3. |
山村地域の活性化を図るために不可欠な辺地対策事業債及び過疎対策事業債の十分な確保を図ること。 |
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4. |
農山漁村地域活性化対策、森林・林業振興対策(以上「地方財政措置」)の充実・強化を図ること。 |
V 多面的・公益的機能の持続的発揮 |
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1. |
山村の果たしている重要な役割や木の文化について、児童生徒を含め国民一般の理解を深めるための教育・啓発・普及対策の充実・強化を図ること。 |
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2. |
森林が二酸化炭素吸収源として大きな役割を担うことを踏まえ、計画的な間伐等の森林施業とこれと一体的となった森林作業道の開設を直接支援する「森林管理・環境保全直接支払制度」の充実・強化を図ること。また、森林所有者等による計画的な森林施業が適切に行われることを確保するため、「森林整備地域活動支援交付金事業」の充実・強化を図ること。 |
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3. |
国土保全や生活環境整備を図るため、治山、治水及び砂防対策の充実・強化を図ること。また、水源の涵養、自然環境の保持等国土保全に資する事業を対象とした「国土保全対策」(地方財政措置)の継続実施を図ること。 |
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4. |
山村地域に期待される森林吸収源対策、再生可能エネルギー対策を強力に推進す るため、地球温暖化対策のための税の活用、森林環境税の創設等に係る所要の税制措置を講ずるとともに、地方税財源を確保・充実する制度を創設すること。 |
W 山村地域の活性化 |
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1. |
山村地域における農林水産業の維持・活性化を図るため、「中山間地域等直接支 払交付金」、「農地・水保全管理支払交付金」及び「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」の充実強化を図るとともに、森林の維持管理を支える山村の地域活動や林家の取り組みに対する支援策を充実強化するための直接支払い制度を創設すること。 |
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2. |
農山漁村の地域活性化と地域コミュニティーの再生を図るための「都市農村共生・対流総合対策交付金」及び「森林・山村の多面的機能発揮対策交付金」の充実強化を図ること。 |
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3. |
山村地域における農林水産業の振興、生活環境の向上を図るため、「農山漁村活性化プロジェクト支援交付金」及び「強い農業づくり交付金」の充実強化を図ること。 |
X 産業の振興、地域資源の活用 |
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1. |
山村地域の発展には、地域資源を活用した産業振興が不可欠であり、農林水産業の振興とその6次産業化の推進を図るとともに、森林資源、農地等の土地資源、優れた環境等を活用した新たな企業立地の対策を充実・強化すること。 |
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2. |
森林資源を活用した地域振興を図るため、川上から川下に至る一貫した林業、木材産業の振興対策の拡充強化を図るとともに、地域の自主性を尊重しつつ持続的森林経営、木材利用促進を行うための「森林・林業再生基盤づくり交付金」の充実強化を図ること。 |
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3. |
森林経営計画を見直し、現場の実情に即した施業、間伐を推進するほか、林業施業の低コスト化、再造林対策の強化を図ること。 |
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4. |
林業・木材産業、農業等山村地域における産業の担い手の育成確保対策の拡充強化を図ること。 |
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5. |
木材価格の安定対策の強化を図るとともに、公共建築物、公共土木分野等における国産材活用の推進、鉄骨構造の木骨構造への転換の推進、木材・木製品の輸出促 進を図るほか、地域材を利用して住宅を建築する者等へのポイント付与等により木材の利用促進を支援する制度を充実・強化すること。 |
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6. |
木質バイオマス産業化を促進するための施設整備、システム開発を図ること。また、農山漁村における再生可能エネルギー導入の促進を図る取り組みを支援するための対策の充実・強化を図ること。 |
Y TPP交渉 |
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TPP交渉に当たっては、山村地域の最大の懸案である米をはじめとする農産物関税の聖域が守られるよう、また、山村地域に悪影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うこと。 |
Z 鳥獣被害防止 |
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1. |
鳥獣被害防止特別措置法等に基づき、野生鳥獣の生息調査、被害軽減の技術普及を行うとともに、柔軟な猟期設定を行う等地域ぐるみの総合対策を推進すること。 |
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2. |
鳥獣被害対策実施隊の設置促進、猟友会等の民間団体の参加促進、林業分野との連携を促進すること。 |
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3. |
捕獲鳥獣の加工処理施設、焼却施設の設置促進を図ること。 |
[ 山村と都市との共生・対流 |
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1. |
グリーン・ツーリズムの一層の普及を行うとともに、地域ぐるみで行う受入体制や交流空間の整備及びNPO法人等の多様な取組主体の育成等グリーン・ツーリズムの総合的な推進を図ること。 |
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2. |
山村における国民の幅広いボランティア活動を促進するための対策の充実・強化を図ること。 |
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3. |
大学生を含め学校教育・社会教育において自然豊かな山村での体験活動を推進すること。 |
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4. |
山村地域へのUJIターン者の定住促進、高齢者の地域社会の活動に参加できる機会の確保、都市との連携強化による山村の活性化の取り組みの充実・強化を図ること。 |
\ 道路、情報通信基盤の整備 |
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1. |
山村地域の産業、生活基盤として不可欠な高規格幹線道路、地域高規格道路、一般国道及び都道府県道の整備、特に、市町村道の改良・舗装等、立ち遅れている山村地域の道路整備を促進すること。また、基幹的な幹線市町村道路の整備の都道府県代行に対する助成措置を講ずること。 |
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2. |
道路整備のための財源を十分に確保し、特に、地方における道路財源の充実を図ること。 |
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3. |
携帯電話不通地域の解消、インターネットのブロードバンド接続可能地域の拡大等デジタルディバイドの解消を図るための高度情報ネットワークその他通信体系の充実・強化を図ること。 |
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4. |
ラジオ難視聴地区の解消を図ること。 |
] 生活環境の整備 |
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1. |
山村地域住民の生活交通を確保するため、地方バス路線維持、デマンドバスシステムの導入等対策の充実・強化を図ること。 |
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2. |
山村の簡易水道等施設の整備促進を図ること。 |
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3. |
山村地域の実情に応じて汚水処理施設の整備促進を図ること。 |
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4. |
廃棄物処理施設の整備を推進するため、助成措置を講ずること。また、廃棄物処理施設の解体に対しては、適切な措置を講ずること。 |
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5. |
消防力の充実を図るため、消防施設等整備に対する助成措置を講ずること。 |
]T 医療・保健・福祉 |
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1. |
山村地域の小児科医を含めた医師の確保に万全を期すこと。へき地診療所等の運 営、医療施設・保健衛生施設の整備、医師及び看護師の養成・確保に対する助成措置の充実・強化を図ること。 |
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2. |
へき地保育所の運営、高齢者等の社会福祉施設整備、社会福祉関係職員等の養成・確保に対する助成措置の充実・強化を図ること。 |
]U 教育・文化 |
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1. |
公立学校施設整備、スクールバス等の購入に対する助成措置を講ずること。 |
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2. |
寄宿舎居住費等へき地児童生徒に対する助成措置を講ずること。 |
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3. |
山村地域の文化財の保護等に対する財政措置を講ずること。 |
]V 山村地域の自主性の確立 |
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1. |
財源保障機能及び財源調整機能を果たす地方交付税制度の充実・強化を図り、所要額を確保すること。 |
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2. |
基準財政需要額の算定に当たっては、山村自治体が人口割合に比べて広い面積を有し、国土保全、地球温暖化防止等に重要な役割を果たしていることを考慮し、面積要素を重視するなど、山村地域の実情に即したものとすること。 |
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3. |
独自の発想に基づく山村振興を助長するため、山村地域の自主性を尊重する助成措置、規制緩和措置等の幅広い導入を図ること。 |
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4. |
道州制は絶対に導入しないこと。 |
]W 山村振興法の改正 |
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山村振興法が平成27年3月に期限を迎えることに臨み、都市との生活水準の格差 拡大、過疎・高齢化、鳥獣被害の増大等山村地域の抱える問題点を踏まえ、山村の維持活性化に必要な諸施策を充実させる観点から、山村振興法の延長及びその内容の充実を図ること。 |
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