平成30年度通常総会における中谷会長挨拶

【中谷 元 会長(衆議院議員) 挨拶】

本日は、ご多忙の中、全国の山村地域から市町村長さんをはじめ多数の担当者のご参加をいただき、このような形で総会が開催されますことに心から感謝とお礼を申し上げます。また、ご来賓として、小里農林水産副大臣、金子自民党山村振興特別委員長をはじめ国会議員の皆様、荒木全国町村会会長や友好団体の皆様、政府からは農林水産省、林野庁、総務省、国土交通省など関係省庁からも公務お忙しいところ、お越しいただき、誠にありがとうございました。

本年は6月の大阪北部地震、七月の西日本豪雨、更には9月の北海道胆振東部地震や台風21号の襲来などをはじめ自然災害が頻発し、大きな被害が生じたところであります。被災された市町村長はじめ防災関係の皆様方も懸命の対応をされましたが、大規模な土砂崩れ、流木や河川の氾濫で被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

国会でも防災や国土強靭化について、議論しておりますが、先般11月7日には、国会で全党一致で第一次補正予算が成立いたしました。

皆様方からの要望の迅速で的確な実行によりまして、被災地の一日も早い復旧復興が図られることを期待しています。また、防災、減災、治山治水予算の獲得、山村の強靭化に向けて、国・地方自治体・住民が一丸となって尽力していかなければならないと考えており、全国山村振興連盟が結束して、政府への要望を続けております。
自然災害を防ぐためには、山村地域の重要性が増していますが、最も対応しなければならないのは少子化、高齢化、過疎対策です。災害が予報され、発生しても、それに対応すべき職員や消防団、建設業者の数が足りなくなっています。

「どうすれば山村地域の振興と山村集落の維持を図っていけるか」山村地域での産業活動や地域社会の活力があればこそ、国土が保全され、治水治山・防災といった公益的機能が発揮されるわけであり、こうした時代だからこそ、山村に対する集落機能を維持し、国土を保全する国民の期待も高まっているものと言えます。

「一人の命をも失ってはならない。」それは我々国民の願いでもあり、全国山村振興連盟の責務でもあり、山村集落の存続が国土を守るという使命でもあります。このために各種の政策が実施されています。

特に昨年には長年の悲願でありました森林環境税及び森林環境譲与税の創設が決定され、平成31年度から森林環境譲与税が導入されることとなりました。現在、林野庁でその説明が行われていますが、森林環境税等が円滑に導入され、新たな森林経営管理制度の下で、市町村が計画を立てて地域の実情に応じて使いやすい財源として運用されるようにしていく必要があると考えております。

また、平成27年の山村振興法の改正を受けて、山村活性化支援交付金や中山間地農業ルネッサンス事業が創設され、更に鳥獣被害対策の充実等の施策が講じられて参りました。

最近の動きを見ますと、都市の若者や住民がインターネットなどを通じて山村地域に関心を持ち、これを受けて山村では農泊を行ったり、空き家を活用したレストラン・宿泊所を設けたり、第6次産業化によって雇用が生まれるなど、地方創生につながる成果も出てきております。

現在国会では、外国人労働者の受け入れ拡大のための法案が審議されているところでありますが、山村の集落においてもどのような影響や効果が出てくるのか、農林水産業分野での外国人労働力の活用ということも視野に入れながら、十分に審議を尽くしていくことが必要と考えております。

最後に、自民党では人口急減地域に対する特別の対策や、棚田を支援するための特別の対策について、議員立法を行うべく検討しています。

人口急減地域の支援法案は、いわゆる人口が急減している集落において、人口の定着と集落の維持をするための事業協同組合を活用し、国と地方の財政支援と制度支援を組み合わせて、様々な事業を営む担い手を擁して地域づくりに貢献させるものであります。

地域づくり人材の確保に特に支援を行うことが必要な地区に「特定地域づくり事業協同組合」として知事が認定し、財政支援を受け、一定の給与を支給され厚生年金にも加入し、生涯その地域で活動することを目指す人々にとって生活の安定が守られ定住化に貢献できるようにするものです。

組合の設立には、地域ぐるみのサポートとして、JA、森林組合、郵便局、商店、製造、サービス業、運輸、介護などが、わずかの会費で組合員となり必要な人材を必要な時に提供してもらうことで、市役所や町村役場と連携し、地域づくり人材の確保や育成の仕組みづくりを地域で行うことができるようにするものであります。

期待される効果としては、地域にそれぞれの組織、企業があり、それらの民業を事業協同組合が人材供給によって支援することができます。

事業協同組合は人材を供給した組織から契約に基づく対価を受け取るものとし、その対価を人件費等に充当してもなお、不足分が予想されますが、国や地方団体からの財政支援を行うものであります。

山村を取り巻く環境が依然として厳しいことは改めて申し上げるまでもありませんが「ふるさと創生」による地産外消、六次化での地域おこしや、国民の防災意識、森林整備の機運が高まっている時期だからこそ、山村の持つ価値を更に訴え、予算・税制を含む各種の政策が充実していくよう力を合わせて要請して行こうではありませんか。

本日はこのあと、当連盟副会長の新潟県糸魚川市長、広島県世羅町長からの事例報告も予定しております。

「山の恵みマッチング!!」、「山村の元気は日本の元気!!」この言葉を合言葉に、地方創生や山村振興は、自ら考え、行動する地域が創意工夫して、その志と魂を燃やし続けて連携していきましょう。

ご参集の皆様方が山村の振興発展を図っていかれることを要望いたしまして、開会に当たってのご挨拶といたします。