平成30年7月の理事における今泉森林利用課長挨拶要旨

【今泉裕治 林野庁森林利用課長 挨拶要旨】

山村地域は豊富な森林資源を有しており、これを循環利用し、山村地域の振興、地方創生を図っていくことが林野庁としても大変重要な課題であると認識しており、林業の成長産業化の実現に向けて様々な施策を推進しています。また、山村地域の住民の皆さんが身近な森林を住民パワーで協力して保全・管理していく取組みや、都市の住民、子供達が森林・山村の大切さを理解していただくよう普及・啓発の取組みにも力を入れているところです。

こうした中、今国会で先生方のご尽力により「森林経営管理法」が可決成立しました。この法律の下で、平成31年度からは、経済ベースに乗る森林については意欲と能力のある林業経営者に集積・集約化する一方で、経済ベースに乗らない森林は市町村が自らが公的な管理を行う「新たな森林管理システム」を導入するために準備を進めています。これに併せて、「森林環境税(仮称)」、「森林環境税譲与税(仮称)」が平成31年度から始まる予定で、関連の法案については次の通常国会に提出されると見込んでいます。この二つの大きな制度が整うことにより、山村の森林がきちんと管理されて林業が山村の生業の一つとして大きく回っていくという状態を目指していきたいと思っています。

30年度の林野庁予算におきましてもこの「新たな森林管理システム」の導入を見据えて、路網整備、機械導入を重点的に支援する等の対策を講じています。この他、治山事業、森林整備といった公共事業、林業の担い手の確保・育成、シカによる森林被害対策、木材需要の創出といったような施策について引き続き所要額を措置しています。

31年度以降導入することとなった「新たな森林管理システム 」、「森林環境譲与税(仮称)」の財源を活用してこうした林業の成長産業化と森林管理をきちんと進めていく、そしてこれを地方創生につなげていくこととしています。このためにも、従来からの路網とか造林といった森林整備事業などの予算を引き続ききちんと確保していく必要があります。仮に森林環境税(仮称)、森林環境譲与税(仮称)の創設を理由に森林整備事業の予算が減るといったことになれば、新たにこういう税財源を創設した意味が非常になくなってしまうということで、皆さんの非常に長年に渡る努力も水の泡に帰してしまうことになりかねないと思っています。林業の成長産業化を実現するためにもこうした予算の確保に向けて林野庁としては全力で取組んでいきたいと思っています。連盟の市町村長の皆さん、先生方にも是非特段のご支援をいただきたいと思います。

また、都道府県の財政当局でも新たな税財源が来るのだから一般財源の方は抑えてもいいのではないかということにもなりかねないと思っています。都道府県に対してもこういったバックアップを是非よろしくお願いします。