平成17年度事業報告

1.政府予算対策

(1)平成18年度予算編成の経過

平成18年度予算編成は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(平成17年6月21日閣議決定)、「平成18年度予算の概算要求に当っての基本的な方針」(平成17年8月11日閣議決定)及び「平成18年度予算編成の基本方針」(平成17年12月6日閣議決定)に基づいて行われた。基本的考え方としては、「平成18年度予算は、重点強化期間最後の重要な予算であり、『改革の総仕上げ』のために、国・地方が歩調を合わせ、平成17年度に引き続き歳出改革路線を堅持・強化する。また、国債発行額についても極力抑制する。」とされた。
また、「公共投資関係費及び裁量的経費に係る予算措置の総額は、前年度当初予算の額に100分の97を乗じた額の範囲内に抑制する。」とされた。
このような予算編成方針に基づき、財務省原案が12月20日各省庁に内示され、21日及び22日の復活折衝を経て、12月24日午前の閣議において政府案が決 定された。
一般会計の総額は、79兆6,869億円(前年度比3.0%減)、このうち一般歳出46兆3,660億円 (前年度比1.9%減)、国債費18兆7,616億円(前年度比1.7%増)、地方交 付税等14兆5,584億円(前年度比9.5%減)となっている。なお、新規国債発行高は、29兆9,730億円となった。
また、同時に公表された平成18年度地方財政対策の概要では、地方財政計画の規模83兆1,800億円程度(前年度比0.7%減)、地方交付税15兆9,100億円程度(前年度比5.9%減)となっている。

(2)三位一体の改革の状況

平成16年度から実施されてきた三位一体の改革については、「基本方針2005」において「平成18年度までに三位一体の改革を確実に実現するため、 ① 平成18年度までの三位一体の改革の全体像に係る「政府・与党合意」(平成16年11月26日)及び累次の「基本方針」を踏まえ、改革を確実に実現する。 ② 税源移譲は概ね3兆円規模を目指す。 ③ 国庫補助負担金改革については、税源移譲に結びつく改革、地方の裁量度を高め自主性を大幅に拡大する改革を実施する。 ④ 税源移譲については、平成18年度税制改正において、所得税から個人住民税への税源移譲を実施する。その際、個人住民税所得割の税率をフラット化することを基本とする。 ⑤ 地方交付税については、累次の「基本方針」に基づき、国の歳出の見直しと歩調を合わせて、地方歳出を見直し、抑制する等の改革を行う。また、税源移譲に伴う財政力格差が拡大しないよう、適切に対応する。
平成18年度においては、地域において必要な行政課題に対しては適切に財源措置を行い、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する。地方交付税の算定方法の簡素化、透明化に取り組む。」とされた。
その後、国と地方の協議の場、関係省庁間で調整が行われてきたが、11月30日に次のような「政府・与党合意」が行われ、それに基づき措置された。

  1. 国庫補助負担金の改革については、平成18年度において、「政府・与党合 意」(平成16年11月26日)において同年度に行うことを決定済みの改革(3.8兆円程度)に加え、6,540億円程度の税源移譲に結びつく改革を行う。昨年度までの決定分に加え、今回の税源移譲に結びつく改革さらにスリム化の改革及び交付金化の改革を進めることにより、4兆円を上回る国庫補助負担金の改革を達成する。
  2. 税源移譲は、国庫補助負担金の改革の結果を踏まえ、3兆円規模とする。この税源移譲は、平成18年度税制改正において、所得税から個人住民税への恒久措置として行う。平成18年度予算においては、税源移譲額の全額を所得譲与税によって措置する。
  3. 地方交付税の見直しについては、今後の予算編成を通じて具体的な調整を行う。
  4. 地方分権に向けた改革に終わりはない。政府・与党としては、18年度までの改革の成果を踏まえつつ、国と地方の行財政改革を進める観点から、今後とも、真に地方の自立と責任を確立するための取組を行っていく。

(3)自由民主党山村振興委員会の取組

自由民主党山村振興委員会(委員長:若林正俊参議院議員)においては、財務省原案内示後の12月21日に委員会を開催し、内示、復活要求の概要を聴取するとともに、復活要求重点事項として、次の3事項を決定し、復活に向けた取り組みが 行われた。

①グリーン・ツーリズム総合対策(163百万円)
②緑の雇用担い手対策事業(6,700百万円)
③林業再生のための新生産システムの確立(1,011百万円)

委員会は岩屋毅事務局長(衆議院議員大分3区)が司会進行を行い、衆参の国会議員30名余が出席した。委員会では地方交付税の確保とその配分に際しての面積要素の重視、医療の確保、デジタルディバイドの解消、林業の再生、鳥獣害対策、税源移譲に際しての補助率の嵩上げ対象事業への配慮等山村地域で問題となっている事項について政府に対し引き続き十分な対策を講ずるよう強く求める意見が出された。
若林委員長からは、「このたびの山村振興法の延長に際し、山村振興計画の作成主体を都道府県から市町村に下ろしたが、その趣旨は合併により振興山村が埋没してしまうことのないようにするためでもある。市町村には地域の実情に即した計画をきちんと作ってもらいたい。関係省庁はそこから地域のニーズを吸い上げてもらいたい。また、全国山村振興連盟もそのための役割を果たしてもらいたい。私どもは、それをしっかりと受け止めていきたい。」との趣旨の挨拶があった。
なお、委員会には、当連盟から髙橋彦芳副会長(長野県栄村長)、斉藤幹大分県 町村会長(大分県安岐町長)、米田事務局長他が出席した。

(4)自由民主党農林水産合同会議及び農政推進協議会の取組

12月20日の自由民主党農林水産合同会議において農林水産省関係の内示の概要の聴取が行われ、引き続いて開催された農政推進協議会(座長:谷津義男 総合農政調査会長)との大合同会議において関係団体からの重点復活事項の要望が行われた。全国山村振興連盟からは、山村振興委員会の復活重点事項と同様の3項目について要請を行った。

(5)全国山村振興連盟の取組

全国山村振興連盟としては、平成18年度の予算編成に向けて、7月の理事会及び12月の通常総会の際に政策・予算要望事項を決定し、国会及び関係省庁に対して要望活動を行ってきた。
財務省原案内示後においては、連盟事務局において情報の収集、自由民主党の関係委員会、農政推進協議会等へ出席して情報の収集を行うとともに復活要望事項について要請を行った。

(6)平成18年度税制改正

当連盟で要望活動を行ってきた環境税の創設については、自由民主党の平成18年度税制改正大綱の中に検討事項として「環境税については、平成20年から京都議定書の第1約束期間が始まることを踏まえ、さまざまな政策的手法全体の中で位置づけ、課税効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、既存の税制との関 係等に考慮を払いながら納税者の理解と協力を得つつ、総合的に検討する。」と盛り込まれた。
なお、森林・林業・木材産業温暖化対策税創設推進本部(24団体)他が主催する「環境税創設要求緊急大会」が11月18日に九段会館において開催され、当連盟 も協賛するとともに、髙橋副会長が「環境を守る健全な森林は国民のもの」と題して意見発表を行った。

(7)平成18年度山村振興関連関係省庁予算概算額の決定

関係省庁の「平成18年度山村振興関連関係省庁予算概算決定額」は別表のとおりである。
また、平成18年度地方財政対策の概要が予算の内示に際し総務省自治財政局から公表された。

2.山村をめぐる諸問題についての情報の収集、調査、検討

山村をめぐる諸情報を関係省庁をはじめ各方面から収集し整理を行った。
また、町村長副会長及び若干の理事等が出席して「森林・山村対策に関する懇談会」を平成18年2月23日に開催し、「山村に係る地方財政対策について」をテーマとして総務省自治財政局 務台俊介調整課長から、また、「経営所得安定対策 について」をテーマとして農林水産省大臣官房 今井敏企画評価課長から説明を聞き、意見交換を行った。その内容については、冊子「森林・山村対策に関する懇談会報告(ⅩⅡ)」として取りまとめ会員に配布した。
なお、政府の郵政民営化準備室からの依頼を受け、振興山村区域内に存在する郵便局に関して調査を行った。(準備室調査結果:平成17年4月1日現在 約3,050)

3.山村振興を図るための啓蒙・普及活動の推進

全国山村振興連盟のホームページに全国山村振興連盟の概要、振興山村の状況、山村からの提言、山村へのメッセージ、山村振興施策等について最新の情報を掲載した。
景観法が6月に施行されたことから、良好な景観の形成を国民運動として展開する契機とすることを目的として、6月1日に東京日比谷において「日本の景観を良くする国民大会」が開催されたが、当連盟もこれに協賛団体として参加した。
11月2日(水)から6日(日)まで総務省などの主催で東京新橋の汐留サイトにおいて開催された「合併市町村夢フェスタ2005」に参加し、出展コーナーにふるさと山村フォトコンテスト入選作品6点を展示した。

4.「第14回ふるさと山村フォトコンテスト」の実施

農林水産省との共催で「第14回ふるさと山村フォトコンテスト」を実施し、「日本のふるさと美しい山村」をテーマとして、山村における生活、祭事、山村の美しい景観など幅広い分野を対象に、生活感・季節感あふれた山村の姿を伝えるものであって、山村の「魅力」と未来への活力の「いぶき」を感じさせる作品を募集した。
平成17年8月1日から10月31日まで募集を行い、期間中に全国から481名、1,389点の応募があった。
平成18年1月31日(火)審査委員による審査選考が行われ、その中から、農林水産大臣賞、全国山村振興連盟会長賞それぞれ1点をはじめ計27点が入賞作品として選ばれ表彰された。
なお、第13回ふるさと山村フォトコンテストの入賞作品の展示会を東京銀座の富士フォトサロンにおいて、平成17年5月13日から19日までの間行った。

5.山村振興対策の計画的推進

振興山村における山村振興対策を計画的・効果的に推進するため、国の山村振興対策等の事業を予定している市町村の山村振興担当者、都道府県の山村振興担当者及び連盟支部の担当者を対象として平成17年6月9日、全国町村会館ホールにおいて山村振興実務研修会を開催し、約100名が参加した。
この研修会では、農林水産省農村政策課の担当官から山村振興法の改正内容及び今後の山村振興の課題等について講演が行われた他、農林水産省地域振興課、農林水産省農産振興課、林野庁計画課、総務省地域通信振興課及び国土交通省地方道・環境課の担当官から所管の事業について講演が行われた。

6.会員等への情報の提供

「山村振興情報」(月1回。増刊号2回)を発行し、また、ホームページにより会員市町村、関係方面に対し山村に関する情報を提供した。
事業計画・収支予算、事業報告・収支決算等理事会で決定された事項をただちに会員に通知した。
また、山村振興法の延長に伴い関係法令及び通知が改正されたことから、「山村振興法関係法令・通知集」を作成し会員に配布した。

7.山村振興全国連絡協議会への助成

各都道府県の山村振興担当課長で組織している山村振興全国連絡協議会に対し、助成を行った。また、同連絡協議会が主催する総会及び6ブロックで行われた会議に出席し、情報交換等を行った。