全国山村振興連盟メールマガジンNO55

全国山村振興連盟メールマガジンNO55

2019.12.13

全国山村振興連盟事務局

 

今回は、今秋に開催されました令和元年度山村振興全国連絡協議会ブロック会議の概要につきまして、報告します。

なお、会議の概要については、山村振興情報第1061号において掲載します。

 

  • 山村振興全国連絡協議会東海・北陸ブロック会議の概要

 

東海・北陸ブロック会議が、10月29日(火)~30日(水)、岐阜県中津川市加子母地区の研修施設「ふれあいのやかた かしも」で開催された。会議には、東海・北陸ブロックの県、農林水産省、東海農政局、北陸農政局及び全国山村振興連盟から担当者が出席した。

開会に当たり、岐阜県農政部農村振興課 小野寺誉 課長から「岐阜県の農業は、変化に富んだ自然と名古屋・大阪など消費地に近い立地を活かし、多彩なものとなっている。本年度はスマート農業推進室を設置し、低コスト・輸出米栽培などに取り組む。また、岐阜農業・農村基本計画の改定に向けて検討中である。農村振興政策は効果が出にくい面があるが、誇りを持って取り組んでいる。豚コレラについては、本県の2分の1以上の豚が殺処分され、ワクチン接種を開始した。本日は、情報交換を行い、山村振興を図りたい。」などの挨拶があった。

会議の内容は、次の通りとなっている。

 

1 中央情勢報告

農林水産省地域振興課 森田昇 係長から、「中山間地域等直接支払交付金については、第5期対策に向け要求中であり、指定棚田地域を追加したほか、遡及返還措置について原則として廃止する方向で調整している。農山漁村振興交付金に、人材交流・ビジネス支援対策を追加し、起業促進のための人材派遣を支援する。」との概算要求についての説明があったほか、「山村特例税制を使うための産業振興施策促進事項の策定を願いたい。山村振興計画の策定もまだまだなので、てこ入れが必要と考える。また、山の恵みマッチングの第2回・第3回は商談会中心であり、出展をお願いしたい。」との依頼があった。

 

2 全国山村振興連盟 事業内容報告

全国山村振興連盟 實重重実 事務局長から、連盟の事業内容につき報告があり、「連盟の要望書に関しては、災害対策、革新技術の普及、森林環境税に関して主な議論となっている。また、連盟事務局ではホームページを刷新し、メールマガジンを原則として毎週掲載して、農政に限らず各種の情報を発信しており、利用いただければありがたい。」との説明があった。

 

3 加子母むらづくり協議会からの説明

岐阜県中津川市加子母地区のNPO法人「加子母むらづくり協議会」中島会長・伊藤事務局長の出席を得て、協議会の活動状況について次のような説明が行われた。

加子母地区は人口2889人、989世帯で、高齢化は進んでいるが、外部から来る人が地域の活力となっている。明治27年に作った芝居小屋「明治座」で、9月に地元の役者が「地歌舞伎」を行うが、役者の部会長は、移住者が務めている。協議会では、コミュニティバスの運行や食材・弁当の宅配等も行っている。

また、加子母木匠塾を開催しており、大学で建築を専攻する学生たちが林業地である当地域において木造建築を学ぶことができる。平成7年にスタートし、ここ数年は300人近い参加者がある。参加しているのは、京都大学・立命館大学・東洋大学など8大学であり、学生たちは泊まり込みで地元から要望のあった木造建築物を造る。地元の工務店がボランティアで指導をする。例えば、東屋、道の駅の倉庫などを造り、木橋や中学校美術室などの改修をした。農水省の農村集落活性化支援事業をはじめ様々な補助事業を活用している。

 

4 各県の事例報告

各県から次のような報告があった。

[富山県]

「とやま帰農塾推進事業」では、3大都市圏・県内にPRし、平成30年度には100名が参加、うち84名が県外者だった。「とやま農山漁村地域活力創生支援事業」では、交流活動の研修、情報発信、農山漁村インターンシップを行っている。「中山間地域チャレンジ支援事業」では、企業・団体等から提案を受け、新商品を開発し販路開拓することに支援している。

 

[石川県]

「いしかわ里山振興ファンド」では、地元金融機関と石川県からの資金と企業からの寄付金により基金を造成し、運用益を協議会に提供して、生業の創出等を支援している。志賀町産の干し柿について原料柿を長期保存するためのエチレン吸着剤を用いた保存技術を開発した。

 

[愛知県]

「三河の山里集落応援隊」では、草刈り作業・イベントの手伝いを個人に呼びかけ、現在登録者は59人となっている。「三河の山里なりわい実践者」では、ローカルベンチャーの創出・人材の育成確保を目的とし、9名から提出されたプランの実現に向けて支援している。

 

5 次回幹事県の選出

次回の幹事県として、富山県が選出された。

 

6 現地視察

翌日は、中津川市加子母地区において、次のとおり視察を行った。

  1. 有限会社花のくまさん
  2.  夫妻の経営者により9人の従業員を雇用し、シクラメンやトマトの栽培等を行い、契約苗生産、農産加工、トマト生産を3つの柱としている。農産加工では、地元農家から契約により米を買い上げ、豆大福、コーヒー大福、切り餅、赤飯、ほう葉寿司などを生産している。異常気象による品質低下が問題だとのことであった。
  3. かしも明治座
  4.  以上のほか、木工体験(箸づくり)を行うとともに、かしも産直市を視察した。
  5.  明治27年に村中総出で、1年がかりで木造の芝居小屋を造った。加子母地区は、昔から伊勢神宮の御用材を産出する檜の産地であり、明治時代には檜は貴重だったため、檜以外の木を用いた。柱は欅、板は杉、梁は樅によって造られている。花道、平場、通路のある本格的な芝居小屋であり、回り舞台となっている。瓦葺きでない芝居小屋は日本で唯一のものだという。9月に地歌舞伎を行う以外は、クラシックコンサートなどにも貸し出している。
  • 山村振興全国連絡協議会関東ブロック会議の概要

 

関東ブロック会議が、11月5日(火)~6日(水)、栃木県茂木町のまちなか文化交流館「ふみの森 もてぎ」で開催された。会議には、関東ブロックの県、農林水産省、関東農政局及び全国山村振興連盟から担当者が出席した。

開会に当たり、栃木県総合政策部地域振興課 小野寺一行 課長から「台風19号により茂木町も被災したが、被災地にお見舞い申し上げる。栃木県の73%が山村であるが、人口は4%であり、対策が急務となっている。山村の振興は、関係者一丸となって取り組むべきと考える。先進地である茂木町を見ていただき、意見交換し参考になればと考える」との挨拶があった。

続いて、茂木町 水沼裕治 副町長から、「茂木町は町の3分の2が森林であり、那珂川が流れており、被害が発生した。人口11万2千人で、高齢化率は県内最高であり、一番の目標は人口減少に歯止めをかけることである。国の様々な事業も活用し取り組んでいるが、人口減少に歯止めがかかっていない。意見をいただき、それをもとに前進したい」との挨拶があった。

会議の内容は、次の通りとなっている。

 

1 中央情勢報告

農林水産省地域振興課 森田昇 係長から、山村活性化支援交付金、中山間地農業ルネッサンス事業、中山間地域等直接支払交付金等の予算要求内容の説明があった。また、「新規要求している人材交流・ビジネス支援対策は専門人材を派遣する事業である。山村特例税制を使うための産業振興施策促進事項の策定を願いたい。山村振興計画の策定もまだまだなので、てこ入れが必要と考える。また、山の恵みマッチングの第2回・第3回は商談会中心であり、出展をお願いしたい。」との説明及び依頼があった。

また、関東農政局農村計画課 竹澤和亮 係長から、関東農政局管内における山村活性化対策に関して、山村振興計画及び産業振興施策促進事項の策定状況、山村活性化支援交付金の実施地区について説明があった。

 

2 全国山村振興連盟 事業内容報告

全国山村振興連盟 實重重実 事務局長から、連盟の事業内容につき報告があり、「連盟の要望書に関しては、災害対策、革新技術の普及、森林環境税に関して主な議論となっている。また、連盟事務局ではホームページを刷新し、メールマガジンを原則として毎週掲載して、農政に限らず各種の情報を発信しており、利用いただければありがたい。」との説明があった。

 

3 栃木県茂木町の取り組みについて

水沼副町長から、栃木県茂木町の取り組みについて、次のような説明があった。

茂木町では、昭和61年那珂川が氾濫し、役場も水没した。河川改修を行い、今回は町の中心部の被害はなかった。しかし今回、那珂川近くの宿泊施設では1階天井まで水が来て、全壊した。上水道取水施設も水没、泥は深さ30センチとなった。床上浸水は30数戸に上った。

茂木町が全国に誇れるものは、1つは道の駅で、県内で一番古い。「ゆず塩ラーメン」が「道-1グランプリ」で3連覇した。

もう1つの自慢は「ツインリンクもてぎ」であり、オートバイのF1「モトGP」が10月に開催される。前日には、約1000台のオートバイがパレードする。「ツインリンクもてぎ」はホンダの子会社の施設であり、年間90万人近い人が来る。

もう1つは、木造の図書館「ふみの森 もてぎ」であり、町有林のスギ・ヒノキを使って建設し、年間10万人が利用する。

移住相談、空き家バンクも実施しており、今年度から「おためし住宅」という制度を開始して、町で1週間から1か月暮らしてもらう。

このほか町有の「美土里農園」、みつまたの花のキャンペーンを行うとともに、広域型特別養護老人ホームを建設する予定である。

 

4 意見交換

意見交換として、各県から都県・市町村における山村地域活性化の取組と課題についての説明があった。

[茨城県]

「農業農村体験モニターツアー」を行っている。インバウンドを取り込んで、体験コンテンツの充実や周遊プランの創出を図るため、2泊3日のモニターツアーを実施する。台湾の旅行会社から各回6名程度を招聘する。

[群馬県]

山村と都市の交流としては、川場村と世田谷区の交流、東京区政会館等で「ぐんまの山村フェアin東京」を行っているほか、「ぐんまの山村ガイド」を作成している。「やま・さと応援隊」では、大学生が地域資源を発掘し、磨き上げを行っている。

[山梨県]

道志村では、生産出荷日本1のクレソンを中心とし、耕作放棄地の活用や他作物からの転換を図り、道の駅やアンテナショップで販売している。基盤整備を行った上で集出荷貯蔵施設を整備した。

[長野県]

朝日村は扇状地のレタスが主な農業であるが、カラマツを乾燥させた「プレミアムカラマツ材」で木造施設を造った。また、平成20年に民間路線バスが廃止となったので、村営バスとデマンドタクシーを開始した。これにより学校・病院・道の駅等がある村外までアクセスできる移動手段を確保した。一般財源の負担を減少することが課題である。

[静岡県]

「美しい中山間地域でつながる推進事業」は県単のソフト事業である。茶園・わさび田の景観を利用するとともに、農産物のブランド化・販売促進につなげる。地域協議会が研修により資質向上を図る。外国人観光客も多く、お茶摘みにバスツアーでやってくるようになった。サイクリスト・ツアーも行っている。

 

5 次回幹事県の選出

次回の幹事県として、山梨県が選出された。

 

6 現地視察

翌11月6日は、茂木町において、次のとおり現地視察を行った。

  1. ツインリンクもてぎ

サーキットのレーシングコースを中心にして、家族で楽しめるアトラクションがたくさんある「モビパーク」、緑に囲まれた自然体験ができる「ハローウッズ」、ホンダのレーシングカー等を展示した「ホンダ・コレクション・ホール」を併設している。ハローウッズは640haの森林の中に宿泊施設や体験施設が整備され、森の手入れをする「森づくりワークショップ」や子供が1か月泊まり込む「1か月キャンプ」を行っている。

  1. 美土里農園

茂木町が設立した法人であり、町長が代表取締役社長となっている。農業者4名が雇用されており、うち2人は地域おこし協力隊のメンバーである。6.2haの農地でいちご・アスパラガス・そば等を作っており、道の駅もてぎに出荷している。いちご狩りができる観光農園も行っている。

  1. 道の駅もてぎ

売上げは10億円。道の駅グランプリを3年連続で獲得した「ゆず塩ラーメン」は、最高で1日1300杯を売った。バウムクーヘンを作る工房「ゆずの木」は、月1000万円の売り上げがあり、製品の種類を絶えず増やしている。その他ジャム・ドレッシング・ゆず酢など6次化商品がある。町内の農産物を道の駅が買い上げ、加工している。南側にホテルを建設中で、来年10月にオープンする。

 

  • 山村振興全国連絡協議会九州ブロック会議の概要

 

九州ブロック会議が11月7日(木)~8日(金)の2日間にわたり大分県庁会議室において九州各県の担当者、来賓等16名が参加して開催された。

開催幹事県の大分県おおいた創生推進課中山課長から「大分県は、先日終了したラグビーワールドカップの開催県の一つであり、大変な賑わいであった。山村を取り巻く状況は、他県も同様と思いますが、人口の減少、少子高齢化の進展、担い手不足等により集落機能の衰退等また、自然災害や鳥獣被害の多発など大変厳しいことになっておりますが、山村は国土保全等の多面的な機能を果たしており、当県としても、現在、山村振興にしっかりと取り組んでいるところです。

本日の会議では、実りのある活発な意見交換をお願いしたい」との挨拶があった。

その後、来賓等の紹介があり議事に入った。

令和2年度山村振興関連農林水産省予算概要について農村振興局地域振興課森田係長より資料に基づき説明があり、続いて全国山村振興連盟事務局千葉事務局次長から全国山村振興連盟の活動について資料に基づき説明があった。

次に、佐賀県から中山間地域等直接支払交付金の第5期対策について、現在取り組んでいる状況の説明があり、第5期対策の制度変更を機に今後中山間地域の活性化に向けてどのように取り組んでゆくのか、各県の意見を伺いたいとの申し出があり、このことについて、各県担当者からそれぞれの取組状況についての発表があったが、検討している県と検討はこれからという県があり、取組については温度差があった。

次に山村振興全国連絡協議会令和2年度九州ブロック幹事県の選出が議論され、令和2年度幹事県は、佐賀県となった。

 

11月8日は、公益社団法人国東市農業公社を視察した。

国東市農業公社は、農地の斡旋や農作業受託及び新規就農者の育成を行い、効率かつ生産性の高い農業の実現と国東市の農業及び地域の総合的な活性化・創生を図ることを目的に平成25年4月から事業を開始している。

国東市農業公社渡辺事務局長から、特に新規就農者育成事業の取組についての説明があった。

他地域からやる気のある新規就農者を幅広く受け入れるために平成26年度に「国東こねぎトレーニングファーム」を開講し、1年間「こねぎ」の栽培技術や農業経営を学ばせ独立できるよう支援している。

令和元年度は6名の研修生を受け入れている。トレーニングファームの研修生への就農支援として、公社が農地利用集積円滑化事業により農地を集団的に借り受け、補助事業を活用して「こねぎ用ハウス」を建設し、リース(14年間)で貸し出すことにより新規就農者の初期投資を抑えているとのことであった。

 

  • 山村振興全国連絡協議会中国・四国ブロック会議の概要

 

中国・四国ブロック会議が、11月11日(月)、岡山県矢掛町美川地区の施設「みかわてらす」で開催された。会議には、中国・四国ブロックの県、農林水産省、中国四国農政局及び全国山村振興連盟から担当者が出席した。

開会に当たり、岡山県農林水産部農村振興課 菅原弘雅 総括参事から「山村は重要な役割を果たしており、森林・農地は国土を保全し、その役割はますます高まっている。しかし山村を守る人口は減少・高齢化し、何らかの手当てが必要と考える。山村の資源を活用した振興が重要である。情報を紹介いただき、良い事例を取り入れて行きたい。」との挨拶があった。

会議の内容は、次の通りとなっている。

 

1 中央情勢報告

農林水産省地域振興課 森田昇 係長から、山村活性化支援交付金、中山間地農業ルネッサンス事業、中山間地域等直接支払交付金など予算要求内容の説明があった。また、「新規要求している人材交流・ビジネス支援対策は専門人材を派遣する事業である。山村特例税制を使うための産業振興施策促進事項の策定を願いたい。山村振興計画の策定もまだまだなので、てこ入れが必要と考える。また、山の恵みマッチングの第2回・第3回は商談会中心であり、出展をお願いしたい。」との説明及び依頼があった。

 

2 全国山村振興連盟 事業内容報告

全国山村振興連盟 實重重実 事務局長から、連盟の事業内容につき報告があり、「連盟の要望書に関しては、災害対策、革新技術の普及、森林環境税に関して主な議論となっている。また、連盟事務局ではホームページを刷新し、メールマガジンを原則として毎週掲載して、農政に限らず各種の情報を発信しており、利用いただければありがたい。」との説明があった。

 

3 次回幹事県の選出等

次回の幹事県として、山口県が選出された。

 

4 意見交換

意見交換として、「山村振興計画の策定について、市町村に対しどんなメリットをアピールできるか」というテーマで議論がなされた。

中四国農政局から、「メリットとしては、山村振興地域に指定されていれば、ハード・ソフト事業の補助率の嵩上げができる。また、辺地対策事業債は、借りた後の交付税が80%出て、過疎債よりも得である。」との説明があり、その上で現地事例が紹介された。

徳島県からは「優遇措置について県庁内の関係部署間で共有することが課題である」、鳥取県からは「山村活性化支援交付金のようなソフトに対する意識が市町村で低い」、島根県からは「全市町村が過疎地域なので、過疎対策債を使う場合が多い」、山口県からは「起業は難しいが、酒造業の増加ができるかもしれない。山村関連のハード事業の使い勝手が良い」、高知県からは「棚田地域振興法で地域指定されると中山間直接支払いの嵩上げがされることはメリットとなる。辺地債、税制、交付金を含め、市町村にあまり知られていないので周知が必要である。」等の意見があった。

 

5 地域活動の事例について

岡山県矢掛町及び同町美川地区の取り組みについて、矢掛町 山野通彦町長及び矢掛町議会 土田正雄副議長から、次のような説明があった。

山野町長「現在の矢掛町は、歴史的には7つの地区が合併してできている。昭和26年に山村地域の指定を受けた。以前には山村振興事業があって、公共施設を造った。関係団体の中で、山村振興連盟は特に政治力が強く、要望が通りやすいと感じている。平成27年の改正のときも、私が100%補助事業を提案したところ、山村活性化支援交付金となって実現したので驚いた。初年度は5億円だったものが、その後8億円になっている。

矢掛町の特産物づくりとしては、やはり地域は農作物の生産が中心なので、ピクルスの振興という発想になった。ピクルスを作るのは良いが、売るのが難しい。そこで山陽新聞東京支社が世話をし、電通が介在して、都会のデパートで売ることになった。公民館を活かした家は、カフェを行うこととなり、ハード事業について県の支援をいただいた。過疎地域の指定を受けていない地域では、山村の事業を活用することが重要になる。県と市町村での連携を更に密にしてほしい。」

土田副議長「電通からピクルスによる地域振興の提案があった。矢掛町は雪も少なく野菜は何でもできる。町の高齢化率は37%であるが、美川地区では50%以上に達する。そこで、ピクルスを生産し、縁側(えんがわ)食堂を開設することになった。行政でなく、地域の人が地域を支えるという時代が来ていると考える。縁側食堂を始めて2年となり、平成30年にプロモーションビデオを作った。

また、地元の双葉タクシーが日本で初めて貨客混載の認可を受けた。弁当・野菜・灯油の配達をする。現在アプリを開発中である。現状を守り、衰退を食い止める仕組みづくりが必要である。

山村活性化支援交付金が100%支援となっているのはありがたい。ピクルス加工品のパッケージやネーミングをブラッシュアップした。地元では野菜を生産するのは得意だが、加工・販売は得意ではなかったので、県外の人の応援が必要だった。変化していくことが時代の流れだと考えている。」

 

6 現地視察

会議の後、古い宿場町である矢掛町の町並みと「やかげ町家交流館」を現地視察した。矢掛町には、江戸時代の参勤交代の大名行列の際に、大名が泊まった本陣(石井家住宅)、大名以外が泊まる脇本陣(高草家住宅)などが残されている。会議の行われた前日(11月10日)に、「矢掛の宿場まつり・大名行列」のイベントが行われた。昭和51年以来毎年続く矢掛町最大の行事であり、100名近い行列が3時間にわたって練り歩くとのことであった。「やかげ町家交流館」は、江戸時代に脇本陣を務め、明治時代に酒店だった建物を再生して観光拠点とした。