山村振興通信NO38(全国山村振興連盟都道府県支部・会員の皆様へ)

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2019.8.2

全国山村振興連盟事務局

 

1 農林水産省が棚田カードを発表

6月12日に棚田地域振興法が議員立法により成立したところですが、この法律に基づき、農林水産省はもとより総務省、国土交通省、環境省、文部科学省など関係省庁が政策を総動員して支援するものとされています。この法律は、6月19日に公布され、2ヶ月以内に施行されることとなっています。

農林水産省では、7月19日、「棚田地域を盛り上げるための第1歩」という位置づけで、「棚田カード」を発表しました。国土交通省の「ダム・カード」が若い世代を中心に人気を博していますが、その棚田版と言えそうです。

棚田カードは、まず第1弾として35府県・56地区の棚田についてのカードが作成されています。カードの表面には棚田の写真、裏面には棚田の枚数(面積)、傾斜、作付け品種などの情報や、棚田の歴史が記載されているとのこと。

「棚田に恋」をキャッチフレーズに、都道府県とも協力してキャンペーンを展開していくこととしています。

カードだけでなく、アクセスなどが分かる旅行ガイドのような「棚田めぐりガイド」と、棚田地域を一覧した「棚田めぐりマップ」も作成しました。

詳しくは、以下のサイトでご覧ください。

 

○棚田めぐりしませんか?~棚田カード第1弾 発表~

http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/nihon/190719.html

 

○棚田に恋

http://www.maff.go.jp/j/nousin/tanada/tanadani-koi.html

 

2 2019年7月の農林水産行政

2019年7月の農林水産行政について、主な動きを以下にまとめてみました。

 

(1) 商業捕鯨を31年ぶりに再開(7月1日)

日本は、昨年末に国際捕鯨委員会(IWC)を脱退することを決めたが、従来は調査捕鯨しか認められていなかったのに対して、脱退に伴い独自に商業捕鯨を再開することが可能となった。

本年6月30日をもってIWCから正式に脱退し、日本は7月1日から、31年ぶりに商業捕鯨を再開した。下関と釧路で、出港式が開催された。商業捕鯨の計画としては、領海及び排他的経済水域(EEZ)内において、12月末までに227頭の捕獲枠が設定されている。(内訳は、ニタリクジラ150頭、ミンククジラ52頭、イワシクジラ25頭)

 

(2) 農水省人事:14幹部中10人が異動(7月8日)

通常国会後の農林水産省の定期異動は、末松事務次官が留任(2年目)する一方で、局長級以上の幹部14人中10人が異動する大幅なものとなった。更に留任の4人のうち2人は本年4月に新任したばかりであるので、ここ数か月のうちに事務次官以外の14人中12人が異動したことになる。

新任となった幹部は、大澤農林水産審議官、枝元官房長、水田生産局長、横山経営局長、牧本農村振興局長、本郷林野庁長官、山口水産庁長官、浅川総括審議官、光吉総括審議官(国際)、菱沼技術会議事務局長(技術総括審議官兼務)の10人。留任は、新井消費安全局長、塩川食料産業局長(この2人が本年4月から)、天羽政策統括官、大杉統計部長の4人。

 

(3) サンマの8か国漁獲枠を合意(7月18日)

資源量が減少しているサンマの漁獲枠について、国際合意が成立した。7月16日から18日まで開催された北太平洋漁業委員会(日本、中国、台湾など8か国・地域により構成)において、年間の漁獲枠を55.6万トン、うち公海上での漁獲枠を33万トンとすることで合意した。2018年の実際の漁獲量44万トンよりかなり大きい水準。

これまで中国が2年にわたり反対しており、合意が成立しなかった。

今回合意した漁獲枠は、2020年の漁業期から導入することとなっており、来年の委員会会合で国別の割当量を検討するものとされている。

 

(4) 豚コレラが福井県でも発生し情勢は緊迫(7月29日)

7月29日、福井県越前市の養豚場で34例めとなる豚コレラの発生が確認された。養豚場での発生は、岐阜県、愛知県、三重県に次ぎ4県めとなった。

野生イノシシでも、新たに富山県高山市で豚コレラ陽性のイノシシが発見され、イノシシへの感染は豚で確認された4県に長野県、富山県を加え、6県に広がっている。

農林水産省は、近隣県を含む9県に対して巡回指導と結果報告を指示するとともに、7月31日豚コレラ防疫対策本部を開催し、全国の養豚場に防護柵を設置するよう義務づけること等を検討することとした。

一方、ワクチンのないアフリカ豚コレラ(ASF)の脅威も高まっており、昨年8月中国で発生して以降、モンゴル・ベトナム・カンボジア・香港・北朝鮮・ラオスに感染が拡大している。

7月30日、国際獣疫事務局(OIE)等は、東京でASF対応を検討するアジア地域専門家会合を開催し、各国から50人の専門家が参集した。

そうした中、7月23日にはASFに感染した豚肉を輸入したベトナム人留学生が逮捕される事件も起こっている。

 

(5)その他

・日米貿易実務者協議をワシントンで開催(7月24~26日)

閣僚級協議(8月1~2日)を含め交渉が加速する見込み。

・農水省内に輸出対策強化特別チームを設置(7月26日)

農産物・食品の輸出拡大を図るための司令塔設立に向けた新組織。厚労省の食品衛生管理審査業務を来春、農水省に一元化する予定。