全国山村振興連盟メールマガジンNO101

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2020.11.20

全国山村振興連盟事務局

 

今回は、10月21日に行われました山村振興全国連絡協議会東海・北陸ブロック会議(WEB会議)の概要について報告させていただきます。

 

○ 令和2年度山村振興全国連絡協議会東海・北陸ブロック会議の概要について

 

令和2年度山村振興全国連絡協議会東海北陸ブロック会議が10月21日水曜日 14時から16時、ZOOM によるWEB会議により開催された。

会議には東海・北陸ブロックの各県、農林水産省、東海農政局、北陸農政局、全国山村振興連盟から担当者が出席した。

開会に当たり、富山県中山間地域対策課長 舟根秀也課長から、「ZOOMでの会議参加に感謝する。中山間地域を取り巻く環境は、人口減少・高齢化が進んでいるが、日本全体としても今までの人口ボーナス期から人口減少局面に入っている。行政の政策は人口ボーナス期に形成されたものであったが、今後は人口減少を前提に政策を考える必要がある。将来にわたり人々が住みたいところでやりたいことができる社会を作っていきたい。」との挨拶があった。

 

会議の内容は、次の通りとなっている。

 

1 中央情勢報告

農林水産省農村振興局地域振興課 森田昇係長から、「山村活性化支援交付金については今年度7.8億円に対し 来年度は8億円を要求している。農山漁村振興交付金については、荒廃農地対策に新たに5億円を要求している。山村活性化支援交付金の活用はまだ全国の振興山村市町村の2割程度にとどまっているので、周知を行っていただきたい。また山村特産品に特化した商談会を実施しているが、山村地域の実情を理解したバイヤーが多く参加しており絶好の機会なので活用いただきたい。」との説明があった。

また同課鈴木貴博係長から、来年3月に適用期限を迎える山村特例税制について説明があり、「3000万円を投資した場合に、国税・地方税を合わせ128万円の効果が生じうる。この税制特例を活用した熊本県八代市では、米の品質をアップして、ブランド化を図った。山村特例税制を使うための『産業振興施策促進事項』の策定をお願いしたい。」との依頼があった。

 

2 全国山村振興連盟事業内容報告

全国山村振興連盟實重重実事務局長から連盟の事業内容につき報告があり、 「来年度の予算・施策要望についてはコロナ問題を踏まえた感染予防の徹底、産業の復興等を重点としており、各種のオンライン化や防災減災などについても要請することとしている。なお、メールマガジンを毎週掲載し各種の情報を発信しており、利用いただければありがたい。」との説明があった。

 

3 各県の事例報告及び意見交換

各県担当者から、「1 遊休農地解消に向けた取り組み」「2コミュニティ活性化に向けた取り組み」をテーマとして、次のような報告があった。

[新潟県]

遊休農地・荒廃農地の解消に向けた取り組みとしては、非農用地判断により減少しているものの、新たな発生を減少することは難しい。令和元年度から県単事業を行っており、すでに3件 について実施している。

地域づくりの段階に応じた支援としては、「地域の合意形成促進事業」によりワークショップを行い、「地域の見える化促進事業」でアンケートを行い、その上で地域づくり活動に対して「地域づくりサポートチーム」を派遣したり、「関係人口創出拡大事業」やクラウドファンディングを利用した「地域づくり活動応援事業」 を行っている。

 

[富山県]

遊休農地の解消については、県単事業により一般型は 10a当たり7万円、観光地で景観上重要な農地の復元については10a当たり15万円を上限として交付している。

コミュニティの活性化については、「地域の話合い促進事業」で地域住民による話し合いを支援している。キーパーソンへのファシリテーター研修や、ワークショップによる未来予測、街歩き・住民インタビューを行い、最終的にアクションプランを作成するというもの。

 

[石川県]

「いしかわ里山振興ファンド」を行っており、地域金融機関と石川県でファンドを作り、「石川里山づくり推進協議会」に運用益を支出する。平成23年度から3年度までに201件の事業を採択しており、事例としては宇和島市で茅の栽培・販売を行っている。

[福井県]

都市農村交流事業を平成30年度から行っており、農泊情報の発信やイベントを行っている。10月と11月を「福井エコグリーンツーリズム月間」としており、「福井エコグリーンネットワーク」が活動主体となっている。活動内容は153件から196件に増加した。

 

[岐阜県]

荒廃農地の解消については「農地いきいき 再生週間」というものを設け、県内10カ所の農林事務所から支援チームを派遣する。それぞれのチームで対象農地を決めて、8月から12月の間に週間を設定する。市町村・担い手・JAが連携して荒廃農地の解消を行う。平成元年度には267aの解消を行った。「荒廃農地等利活用促進事業」による補助もあり、①不作付け解消活動タイプと②再生利用活動タイプを設けている。

 

[愛知県]

「三河の山里サポートデスク事業」では、「三河の山里集落応援隊」を派遣している。例えば、豊田市の押井組合では、100家族との間で長期契約を結んで米を栽培・供給している。契約者は1俵3万円を負担するほか、バーベキューパーティー・収穫祭などのイベントに参加することができる。

 

[三重県]

「大紀町地域活性化協議会」では平成24年度に10~15事業所の廃業があったことを踏まえ、 農泊を実施することとして平成25年度に協議会が発足した。県の民宿セミナーや商工会の研修会で住民が意思統一し、ワンストップ窓口を設立した。ブランド商品として「大紀うどん」を開発している。ヨガ・アロマテラピー・廃校給食など体験メニューを用意し、サイクリングツーリズムも行っている。19軒により100名の受け入れを実施しており、インバウンドの受入れも行っている。

 

4 次年度の会長選出・幹事県について

次年度の山村振興全国連絡協議会役員(ブロック会長)として石川県、ブロック会議開催県として愛知県が、それぞれ選出された。